Ｎ開発公団の汚職事件に関連し、検察は会計課長を取り調べる。彼は上層幹部や政治家に捜査が及ぶのを防ぐため、部長の意を受けて犠牲となる。妻子については十分面倒を見るという部長の言葉にも拘らず、渡されたのはわずか３５万円だった。保険勧誘員となった妻は、総裁や幹部の家を訪れたが…。作：松本清張、西川清之。

昭和の初期から敗戦に至るまでの、２０年間の日本の動き、世界の動きを、当時の貴重な記録フィルムを駆使してつづるドキュメンタリー。記録フィルムだけでは史実がつながらない場合は、ドラマやゲストの懐旧談などで再現し、歌謡曲やファッションなどを織り混ぜたバラエティーに富んだ構成にする。（１９６１年１１月１１日終了）◆第１回は「走馬燈」。進行役は田鶴浜弘と別当旬子。

熊本県水俣市で６年ほど前から発生している「水俣病」は、原因不明のままに風土病の一種として扱われてきた。しかし、調査が進むに従い、罹病者は水俣湾で獲れた魚を食べている人に多く、湾に流れ込む川には近くの工場から水銀を含んだ汚水が流れ出ていることが判明。水銀中毒の疑いが濃くなってきた。罹病者の実態をとらえ、なおざりにされている薬物処理の実情にメスをいれる。

炭鉱離職者の悲惨な生活を描くとともに、失業対策のない合理化政策の矛盾を指摘し、離職者対策の必要性を訴える。◆昭和３０年代初頭から石炭産業の合理化が進み、３４年８月には三池争議がはじまった。石炭産業の斜陽化で炭鉱街は疲弊の一途をたどる。生活にあえぐ中小炭鉱の労働者と家族を救済するため、３４年秋に一主婦の発案で黒い羽根運動が始まったが、それも救済の決め手にはならなかった。

紀伊半島に上陸した台風１５号（伊勢湾台風）は昭和３４年（１９５９年）９月２６日夕刻、名古屋市を襲い、伊勢湾一帯の愛知、三重、岐阜の３県に大きな被害を与えた。この台風で、死者は明治以降最大の５０４１人、被害家屋５７万戸、冠水田畑２１万ヘクタールに及んだ。この台風災害から１週間後の名古屋市南部に取材し、今なお水の引かない泥海の中で暮らす人々の実情を伝える。

ジンギスカンの隠し財宝をめぐって、その遠い子孫の日本人青年モリーこと黒田杜夫と、悪の組織「豹（ジャガー）の眼」らの争奪戦を描く冒険物語。原作：高垣眸。（１９５９年７月１２日〜１９６０年３月２７日、全３８回）◆「連続テレビ映画　豹の眼　第十三回　波乱の道」。黒田杜夫（大瀬康一）が亡き母から託された宝石は、ジンギスカンが遺した財宝の謎を解くカギの一つであった。杜夫が持つ「フビライの矢」、青龍党の錦華（近藤圭子）が持つ「オルコンの弓」、片目の男ジャガー（天津敏）が持つ「ダッタンの的」、三つを合わせると財宝の在り処が分かるという。香港や東シナ海、九竜島で、杜夫は三つ巴の危険な戦いに巻き込まれていく。そして追い詰められた杜夫の前に正義のジャガーが現れる。モノクロ作品。

主人公・速水庸三は、第二次大戦激戦の地フィリピンから復員して十数年、今は、紡績会社の課長として、一見平和に暮らしている。平和で穏やかで、あの暗く悲惨だった戦争などまるでなかったような生活の中で、ふとこれでいいのかという疑問にとらわれる。平和について問い直すドラマ。

昭和３４年秋、北関東のひなびた町の一杯飲み屋で、初老の元巡査が倒れた。彼は戦争末期、東北の村で脱走兵狩りを陣頭指揮した話をしながら息絶えた。作：安部公房。◆それは昭和２０年２月、吹雪の夜のこと。大貫巡査は脱走兵が村に向かったという知らせを受け、戸締まりを厳重にするようにと村を巡回する。村人たちは、脱走してきたのは自分の夫や息子かもしれないと思いつつ、固く戸を閉ざす。村人たちが自分を受け入れてくれないことを知った脱走兵は…。