新時代の波に洗われる大阪船場の、古い伝統を誇る商家の「御寮人さん」の生き方を描く。作：川口松太郎。

「日本の素顔」（１９５７年１１月～１９６４年４月放送）はドキュメンタリー番組の草分け的な存在。社会に潜む問題を様々なテーマから鋭い切り口で掘り下げ、解明していく手法をとった。◆第一次ベビーブームの世代が小学校６年生になった１９６０年（昭和３５）、６年生の人数は全国で２５０万人に達して戦前、戦後を通じて最高となり、学歴社会を生き抜くため、親子で有名大学を目指す進学熱が高まりを見せていた。エスカレーター式に進学できる私立小学校の人気も増し、幼稚園の幼い子どもたちも受験戦争に巻き込まれていく。１問でも多く正解するため受験塾に通い、試験用紙と格闘する受験生の努力と家族の協力を描き、加熱する受験戦争を考える。

テレビが子供たちの学校生活や家庭生活に及ぼす影響を長期取材し、教育におけるテレビの重要性を指摘する。◆栃木県栗山村は、標高千メートル、山林に囲まれた１７０人あまりが住む小さな集落である。ここに３１人の子供たちが学ぶ小さな分校がある。この分校教育にテレビが取り入れられてから、子供たちの生活は様々な面で変化を見せはじめる。◆「教育テレビ・フェスティバル　２５周年記念」放送版。

ＮＨＫ中近東特別報道班は９月中旬から１２月末までの３カ月半、中近東各国、東はアフガニスタン、西はギリシャまで１２カ国を回り、躍進をめざす新興国、中近東の古い歴史の跡、アラブ民族の宗教、風俗、生活などを取材した。（１９６０年１０月４日〜１９６１年１月３１日放送、全１５回）◆「第１集　イランの印象　北部編」では、テヘランのバザールで見たイランの風俗、工場建設など近代国家への一面、いまだに国民のあいだに残る著しい貧富の差を紹介する。カスピ海沿岸へ転じてラムサ、ラヒジャン、レヒト、パーレビなどの都市を巡ってキャビア製造工場や紅茶の栽培などの風景をつづる。

鞍馬天狗をパロディ化した時代劇コメディー。提供スポンサーの商品名から名を取った「姓は尾呂内、名は南公」のとんま天狗（大村崑）と、目明しの親分・子分のからみで展開する一話完結の物語。（１９５９年９月２日～１９６０年１２月２４日放送）◆最終回（第７０話）は「江戸の饗宴」。とんま天狗の一行は、幼い姫を無事に江戸へ送り届けた。しかし姫はこれから人質生活である。そしていよいよ一行と姫がお別れという日に事件が起こる。◆エンディングで大村崑から最終回のあいさつ有り。

歌も踊りも芝居もできる草笛光子を軸に、毎回、各界からゲストを招いて繰り広げるミュージカルバラエティ。年齢・階層を問わず人々に楽しまれる番組を目指して、コメディ要素が強かったそれまでのバラエティ番組に比べ、音楽の比重を高めた。（１９５８年５月１１日～１９６０年１２月２５日放送）◆この回は“テレビ”がテーマ。スポンサー、スタッフなど番組を作る側の人々がユーモラスに紹介され、マスコミとしてのテレビと、視聴率こそがテレビの死命と将来を制するという状況をコント、歌、踊りで表現し、テレビが人々の生活にさらに深く浸透するであろう未来の世界を展開する。タイトルの「イグアノドンの卵」はテレビが人類の幸せとなるか、恐竜のような怪物となるかは、視聴者の育て方次第という主張を表している。

大阪・船場の商人の親子が繰り広げるコメディー。商売には厳しいが一人息子にやたらと甘い父・天野利平（渋谷天外）と、おつむは弱いが心根は人一倍優しい息子・貫一（藤山寛美）が主人公。毎度“ぼんぼん”貫一のとっぴな行動に周囲が振り回されるという、涙と笑いの人情ドラマ。（１９６０年５月４日～１９６０年１２月１４日放送）◆第十五回。貫一は病気療養中の婚約者・信子（和島由紀）のことが心配でたまらない。療養所を訪ねた後、家に帰らず行方不明になってしまう。

昭和初期に「マレーの虎ハリマオ」と呼ばれた日本人をモデルにした冒険活劇。東南アジアが欧米列強の植民地とされていた時代、圧政に苦しむ民衆を救うべく闘う正義の人・快傑ハリマオの活躍を描く。黒いサングラスに白いターバン姿で馬を駆るハリマオの正体は日本の海軍中尉・大友道夫で、ジャワ、タイ、香港、モンゴルなどに活躍の場を広げていく。原作：山田克郎「魔の城」より。（１９６０年４月５日〜１９６１年６月２７日、全６５回）◆「連続テレビ映画　快傑ハリマオ　第３回　どれい船」。植民地支配に苦しむ東南アジア。日本人の拳銃少年・太郎（町田泉）は、死の商人・陳秀明（大竹タモツ）の奴隷密売船に乗った。ハリマオ（勝木敏之）は姿を変え、その奴隷船に潜入する。