「日本の素顔」（１９５７年１１月～１９６４年４月放送）はドキュメンタリー番組の草分け的な存在。社会に潜む問題を様々なテーマから鋭い切り口で掘り下げ、解明していく手法をとった。◆第一次ベビーブームの世代が小学校６年生になった１９６０年（昭和３５）、６年生の人数は全国で２５０万人に達して戦前、戦後を通じて最高となり、学歴社会を生き抜くため、親子で有名大学を目指す進学熱が高まりを見せていた。エスカレーター式に進学できる私立小学校の人気も増し、幼稚園の幼い子どもたちも受験戦争に巻き込まれていく。１問でも多く正解するため受験塾に通い、試験用紙と格闘する受験生の努力と家族の協力を描き、加熱する受験戦争を考える。

開発途上の北海道には数々の苦難がある。不毛の泥炭地に挑み、米づくりに汗する開拓農家の苦闘の姿もその１つであり、それは北海道開発の１ページをかざるにふさわしい偉業である。石狩平野美原開拓地の人々の泥炭地への挑戦と米を育てるまでの苦しみをとらえ、北辺の大地を征服した人間の偉大さを描く。

ＮＨＫ学校放送番組。人形を使って夏の夜空の星や星座を知り、星の等級についても学習する。◆夏の夜空を眺めていたエンピツ君とカメラ君は北の空にひしゃくの形をした北斗七星を発見した。そしてこの北斗七星をたよりに真北で動かない星、北極星を見付けられること、同じようにカシオペア座をつかっても北極星を確かめられることがわかった。さらに白鳥、こと、わし、大熊、小熊、さそりなどの星座の位置と形を学び、その中でよく見える星と見えにくい星があることから星の明るさには違いがあり、等級で分けられることも学ぶ。

大学在学中に安保闘争の激動を経験した青年が、就職という壁に直面して志を試される。時代を背景にした、一種のディスカッションドラマ。１９６０年の安保闘争が若者たちにどう影響したのか、闘争後の生きかたはどうであったかを、就職試験を通して問題提起する。作：大島渚。

現実の事件を基にドラマ化する手法をとった本格的“捜査もの”。警察庁、警視庁、並びに全国警察の協力を得て、セミドキュメンタリータッチで警察活動の実態を描く。血なまぐさい事件だけでなく、隠れた美談などの感動的な明るい話も取り上げる。特定の主人公はなく、警察そのものが主役のシリーズ。（１９５７年９月３日〜１９６４年９月６日放送）◆公開しているのは「上野発２２時１５分」。東京・上野駅付近ガード下の路上で、福島県に居住する若い男性の刺殺体が発見された。被害者のポケットの中からは「２２．１５」と書かれた紙の切れ端が出てくる。

ＮＨＫ中近東特別報道班は９月中旬から１２月末までの３カ月半、中近東各国、東はアフガニスタン、西はギリシャまで１２カ国を回り、躍進をめざす新興国、中近東の古い歴史の跡、アラブ民族の宗教、風俗、生活などを取材した。（１９６０年１０月４日〜１９６１年１月３１日放送、全１５回）◆「第１集　イランの印象　北部編」では、テヘランのバザールで見たイランの風俗、工場建設など近代国家への一面、いまだに国民のあいだに残る著しい貧富の差を紹介する。カスピ海沿岸へ転じてラムサ、ラヒジャン、レヒト、パーレビなどの都市を巡ってキャビア製造工場や紅茶の栽培などの風景をつづる。

１７の国が独立し「アフリカの年」といわれた１９６０年に、５カ月をかけてアフリカを一周し２２カ国を訪問したシリーズの総集編。エジプト、エチオピア、ケニア、南アフリカ連邦、ベルギー領コンゴ、カメルーン共和国、ガボン共和国、ナイジェリア、ガーナ、モロッコ王国、アルジェリアの順で各国の顔に当たる部分を綴って紹介する。ＮＨＫ初の海外取材番組。

ひとつの壷のまわりで揺れ動く人間たちと運命の皮肉を描く。◆陶芸家の卵・啓助は博物館でみた「仁清の壷」に惹かれ、その模作を焼きあげる。一方、博物館長の中河原は「仁清の壷」を他の美術館に貸出し、それを持ち帰る途中盗まれてしまった。困った中河原は、啓助にニセの壷を焼かせ、本物の代わりにする。啓助は自分の壷が展覧会に飾られているのに気づいて驚き騒ぐが、誰にも相手にされない。◆（開始から約２分は無音です）