日本の文様を素材にしたドキュメンタリー。日本人独特の感覚を描き出すために、室町から江戸までの着物地１７０点、それに古くから家々に伝わる紋章１０００点余りを選び、前衛的な映像手法で構成していく。いわば現代の目で、過去の日本人が生みだしたすぐれた文様を新しい絵巻物にしたもの。解説は全くなく、絵と音楽ですべてを描写している。

幕末の激動の中で必死に生きて、大きな役割を果たしながらも、時の流れに逆らったばかりに、歴史に確かな足跡を残せなかった新選組の悲劇を描いたドキュメント時代劇。それまで単なるチャンバラとしてしか描かれなかった新撰組を内部からの視点で眺め、隊員一人ひとりを浮き彫りにした。原作：子母沢寛。（１９６１年１０月１７日〜１９６２年１２月２５日、全６３回）◆第５６回「鳥羽・伏見の戦い―後編―」

各界の著名な夫婦をとりあげ、夫婦の歩みや日常生活を紹介する。◆新田次郎は気象庁に勤めるサラリーマン作家。妻の藤原ていとは昭和１３年（１９３８）に見合い結婚した。昭和２０年８月、新京の気象台に勤めていた夫を残し、てい夫人は６才、３才、生後１ヵ月の子どもを連れて満州を離れる。命懸けの逃避行の末、翌年９月に長野県の実家に帰りついた。夫は死んだものと思い、遺書のつもりで書いたのが『流れる星は生きている』だった。新田も無事に帰国し、妻のベストセラー作品に刺激を受けて『強力伝』を書き、直木賞を受賞する。二人の小説への取り組みを紹介する。

プロ野球のスター選手と小さな妖精の恋をメルヘンタッチで描くドラマ。◆花形プロ野球選手・丸井連太郎がホームラン１００本を記録した。その賞品として新車が贈られることになったが、彼はそれを辞退し、「くださるなら玩具の自動車を」と言うのだ。この態度は各方面の反響を呼んだ。実は彼には可愛い恋人があり、その娘のために言ったまでだった。その恋人は２０センチたらずの妖精の少女だったのだ…。

新しいテレビジャンルとして誕生した連続テレビ小説。原作：獅子文六。ＮＨＫ連続テレビ小説第１作。（１９６１年４月３日〜１９６２年３月３０日放送）◆フランス人との先妻の間に生まれた娘・麻里の成長を、愛情のこもった眼差しで見つめる父親“私”（北沢彪）。その姿を回想風に綴る。

１９６１年（昭３６）秋、兵庫県水産試験場でエビの幼生を餌に、マダコを飼育することに成功。それまで推測の域を出なかったマダコの産卵と成育の状況を長期取材した。撮影に当たって透明なプラスチックのタコツボを利用したり、わずか数ミリのタコの卵をとらえるために顕微鏡撮影の技術を駆使するなど、その記録フィルムは学術的にも非常に貴重なものとの評価を得た。

新しいフィルム・ドキュメンタリー番組。現代のあらゆる素材をとらえ、斬新なカメラワークによる映像と音声をかみ合わせ、鋭い文明批評を試みた。（１９６２年４月７日〜１９６４年４月４日終了）◆この回のテーマは「コンクリート」。コンクリートが現代文明に投ずるさまざまな波紋を追って、今後コンクリートが生活様式や生活感情をどのように変えていくのかをさぐる。

「なぎ（番組では、サンズイに嵐の文字で表記）」とは、集中豪雨などが山肌をなぎ崩すように土砂を押し流すことをいう中部山岳地帯の方言。水木洋子氏が長野県の水害跡を取材し、書き下ろしたドラマ。現地ロケの映像を多く使い、人間と自然との関係を一人の水害孤児・哲也（田村達也）を通して描く。