１９６２年秋に学校教育法が一部改正され、通信制の高校教育は一層の発展が期待されている。通信高校に入学した少年に焦点をあて、その生活の紹介とともに通信教育の問題点を考える。

町内でも有名ないじわる婆さんのおくにが、検察審査会委員に任命された。ヤクザに家を壊されたたねの事件で、家主を共謀者として起訴すべきかどうかを審査するのだ。たねの土地は学校の敷地に内定しており、市長、土地屋がグルになって買い占めを図っていた。一味はたねを買収し、訴訟を取り下げさせた。しかしおくにはあきらめなかった。自分の使命に目覚め、汚職事件を摘発するおくにをユーモラスに、またリアルに描く。

自動車にはねられて右足を折った６歳の少年。彼のその後の生活と自動車へのあこがれを追いながら、自動車のもつ凶器性と幻想性を描きだす。

千葉と茨城の県境の村で、８４歳の老軍鶏師が“おまえの軍鶏は強いが汚い”と言われて奮起し、姿が美しくしかも強いという軍鶏を育てあげようと執念を燃やす。第１３回ベルリン国際テレビフェスティバル最優秀芸術作品賞を受賞。

民間放送がシリーズ化した本格的ドキュメンタリー番組のさきがけ。（全２７２回）◆ネパールにある病院に志願してやってきた岩村医師夫妻と、託された子どもたちとの国境を越えた人類愛を記録したドキュメンタリー。「異国に叫ぶ日本人」シリーズの３。◆ネパールには病気が多いが、医者は１０万人に１人の割合でしかいない。ネパール西部山岳部に唯一のミッション系の病院には、１１ヵ国から１０人の医師・看護婦が来ている。岩村医師も志願し、ここへ来て２年になる結核医である。

大都会の地下鉄工事で鉄板のすきまから空を見上げて働く９人の若者の物語。◆都会の舗道には、鉄板が敷きつめられている。その鉄板の下では明日の都会文明を背負って、地下鉄工事が間断なく続けられている。なにげなく鉄板を踏み鳴らし通りすぎる人々は、その下で作業している人の存在など気にもとめない。若者の素朴な願望や夢を穴倉から見た「ちっぽけな四角い空」に託しながら描く。

１９６３年に発生し、死者４５８人と一酸化炭素中毒の重軽傷者を出した大牟田市の三井三池炭鉱の炭じん爆発事故は、戦後最大の炭鉱災害となった。この中の一人、４９歳の男性は一酸化炭素中毒で記憶を喪失し、自分の名前も妻の顔すら覚えていない。彼の記憶回復の治療と、彼を支える妻の日々を追跡すると共に、２か月間の苦悩の闘病生活を記録する。

北海道の東部雌阿寒岳のふもと阿寒村付近で村民が野生のタンチョウヅルに餌付けをしている。村里に餌を求めてくるタンチョウヅルの群れ、春から秋にかけて原野の湿原での抱卵、ヒナの誕生、そして巣立ちまでを観察した。世界でただ１か所確認されているタンチョウヅルの営巣地として知られる釧路湿原での記録。