繁栄をよそに繰り返される政治的衝突の中で、立場の違いから、本人の意思にかかわりなく、不幸にも、挫折する姿を描き、日本と若者にとっての幸福とは何かを考える。◆明治百年にあたる昭和４３年、誰もが豊かさを謳歌する昭和元禄の日々。デモで重傷を負って運動機能を失った学生が、その責任は機動隊にあるとして告訴した。無骨な警察官・野上とその学生がデモの中でもみあっている写真が新聞に掲載される。

東京・深川の木場にある材木屋と、湯島天神の近くにある料理屋という二組の家族を主人公に、下町の人情と善意を描くホームドラマ。（１９６８年１０月１４日〜１９６９年１月６日放送）◆第一回。深川の材木問屋「丸中」の娘・和子（高田美和）は２１歳で、母亡き後の一家を切り盛りしている。和子の祖母である「丸中」の会長（沢村貞子）と、湯島の料亭「梅もと」の大旦那（進藤英太郎）は、幼馴染みの囲碁仲間で親しい間柄だ。絵を描いてばかりの大学生・城太郎（森次浩司）は「梅もと」の紹介で、家業である材木の勉強をするという名目で木場の「丸中」にしばらく住み込むことになる。

国道３号線の福岡―久留米間３９キロの沿道にある５つの小学校の“通学事情”を密着取材し、交通量の多い地区の交通事故問題について考える。◆国道３号線は門司から鹿児島まで３８９．３キロの九州縦断の幹線道路で、うち福岡県内を走っているのは１４５．１キロ。その間では前年４７６９件の交通事故があり死傷者は４３００名におよんでいる。いわば“命がけ”でこの道を毎日通っている子どもたち。校区ごとの様々な自衛策をたてているが年々増える交通量に対応し切れず、対策は後手に回っているという。

海・山・川・森など自然の美しさにめぐまれ、四季の変化にも富んだ日本の風土を背景に、有名人から地元の人にいたる様々な人々の眼を通じて、その土地の特色や問題点を描くフィルム・ルポルタージュ。東京・ＴＢＳと大阪・朝日放送が交互に制作。（１９６８年１月４日〜１２月２６日放送）◆三重県・志摩半島。真珠のふるさと英虞湾の冬。冬の陽はうららかだが、海に暮らす人々の生活は楽ではない。冬場はイセエビ漁の最盛期、季節風の吹く海上での漁船の作業、そして岩場の多い岬の影では磯衣一枚で海に潜る海女たち。日本の真珠産業は戦後輸出のホープだったが、生産過剰もあって翳りが見え始めている。

１８年半、７９４本にわたって続いた長寿紀行番組。地域に根ざして生きる人々を描いた紀行ドキュメンタリーのスタイルを確立した。（１９６３年１０月７日～１９８２年３月１０日放送）◆香川県、讃岐地方の西部の都市・丸亀と坂出にスポットをあてて、瀬戸内海の海に生きる人々の今昔を描く。古くは水軍の航海術とその名残、塩田の盛衰、新しくは坂井での「人工土地」による市街地改造事業などを紹介する。

近代日本の形成に大きな足跡を残した人物や事件が現代にどのような影響を与えたかを、発掘した貴重なフィルムや関係者の話から、今日の時点で再評価するシリーズ。（全１３回）◆１９４１年（昭和１６）１０月、近衛内閣の陸相だった東条英機は、首相を拝命し組閣した。太平洋戦争突入後は、参謀総長などを兼ね、軍事体制の強化に努めたが、戦局の悪化で辞職。敗戦によって東条は好戦主義者のレッテルをはられ、東京裁判で絞首刑の判決を下された。東条内閣の書記官長だった星野直樹さん、東久迩元首相、そして東条勝子さんらが、それぞれの東条英機観を語る。

徳川の世、外部からうかがい知ることのできなかった江戸城の「大奥」を描く。関西テレビ放送開局１０周年記念番組。（１９６８年４月６日〜１９６９年３月２９日放送）◆第一回「家光の見染めた娘」。三代将軍家光（中山仁）の時代、大奥は春日局（三益愛子）が総取締まりの任にあたっていた。彼女の権力は絶大であったが、お万の方（桜町弘子）の出現で、大奥の力の均衡は大きく揺れ動く。あせった春日局はある日、元武家の娘お楽（橘ますみ）を大奥に召し出し、将軍の相手をさせようと策を練る。

第二次世界大戦の終戦直前・直後、苦悩にみちた日本の激動期を当時の関係者に聞くシリーズ。（１９６８年５月５日～１９６８年６月９日放送）◆この回は東條内閣の成立（１９４１年）とともに書記官長に起用され、開戦当時の枢機に参画した星野直樹さん（１８９２年～１９７８年）の証言。星野氏は東京帝国大学を卒業後、１９１７年大蔵省に入省。１９３２年、満州国に転身した後は要職を歴任し、同国の財政経済を統括した。終戦後、極東軍事裁判で終身刑を宣告されたが１９５８年に釈放され、後に、東京ヒルトンホテル副社長、旭海運社長、ダイヤモンド社会長などを歴任する。戦争前の緊迫した政治情勢、特に東条内閣の足跡を中心に回想する。聞き手は草柳大蔵さん。