終戦直後、日本からフィリピンの捕虜収容所に送られたはがきのうち８４通が、どうしたわけか受け取り人に渡されないまま２８年もたった１９７３年（昭４８）春、日本に戻ってきた。これらを寄せられたＮＨＫでは、差し出し人を探し訪ねた。その模様を通して戦争の傷あとを見つめ、平和を考えるドキュメンタリー。

語り手自らが名作文学ゆかりの地を訪ね、風景やそこに暮らす人々に直接ふれることで、その作品世界を再認識してもらおうという文学紀行番組。第１集～４集まで制作・放送された。（第１集／１９７３年１月１１日～４月５日放送、全１３回）◆この回は、森鴎外の小説「高瀬舟」（１９１６年）。女優の岸田今日子が作品を朗読をしながら、物語の舞台である京都・高瀬川沿いを巡る。主人公ゆかりの六角獄舎跡の様子や、作中に登場する西陣の織場で働く人々のインタビューを交え、「高瀬舟」の世界を感じる。

青春ものをテーマにアクションをプラスし、娯楽作品とした刑事ドラマ。（１９７２年７月２１日〜１９８６年１１月１４日放送、全７１８回）◆第５３回「ジーパン刑事登場！」。高級住宅街で若い人妻が射殺され、犯行に警官用の拳銃が使用されるという事件が起きた。マカロニが殉職、人手不足の七曲署に配属されジーパン姿で現れた柴田純刑事（松田優作）は、さっそく“ジーパン”と名づけられる。◆第２、第３の犯行が起き、犠牲者は皆同じテニスクラブの会員とわかった。なぜか拳銃所持の命令をかたくなに拒むジーパンは、第４の犠牲者に銃口をむける犯人めがけて素手で飛びかかっていく。

どのような人間にも深い愛情をもって接する医師“赤ひげ”こと新出去定と、彼の影響を受けて成長していく若き蘭方医・保本登を中心に、江戸末期の小石川養生所の医師たちの活躍を描く。原作：山本周五郎。（１９７２年１０月１３日～１９７３年９月２８日放送）◆夜の急患を断った登（あおい輝彦）に赤ひげ（小林桂樹）はおかんむり。“医者も人間だ”という登の考え方に“医者は、病人にとっては神だ”の赤ひげが対立。登は憤慨して養生所を飛び出してしまう。周囲は登に同情的だ。◆１９７３年１１月１０日２２時３０分～放送で芸術祭参加。

時代を昭和４６年暮れから４９年３月までに設定し、ある庶民の家族５人がさまざまな試練に直面しつつ、それらを乗り越えて生きていく姿を、函館、金沢、横浜、宇和島を舞台に描く。この家族のさすらいを通して、現代において家族とは何かを問うオリジナル作品。作：楠田芳子。ＮＨＫ連続テレビ小説第１３作。（１９７３年４月２日～１９７４年３月３０日放送）

語り手自らが名作文学ゆかりの地を訪ね、風景やそこに暮らす人々に直接ふれることで、その作品世界を再認識してもらおうという文学紀行番組。第１集～４集まで制作・放送された。（第１集／１９７３年１月１１日～４月５日放送、全１３回）◆この回は、女優の左時枝が詩人・萩原朔太郎の生前を追う。朔太郎の詩集「純情小曲集」（１９２５年）に描かれる彼の故郷・群馬県の前橋を巡り、朔太郎と交友があった人や彼の詩を愛する人たちから話を聞き、その作品を振り返る。そして、左は自身の故郷への思いも深めていく。

毎週さまざまな生きものを紹介する、子ども向け科学番組。◆日本の盲導犬に最も多いシェパードは元々ドイツの牧羊犬で、仕事好きで忠実、そして一度おぼえたことは忘れない点が盲導犬に向いている。時間のかかる盲導犬の訓練は、命令に服従することから始まる。３週間目で路上訓練に入り、車や障害物、段差などを経験する。３ヶ月目の人を誘導する訓練では、危険な時には命令に従わない「知的な不服従」もおぼえる。４ヶ月目で総仕上げをして、５ヶ月目で実際に目の不自由な人と歩く。人と車の多い銀座を無事に歩けたら合格。１９７３年、日本に盲導犬は１００頭いるが、盲導犬が必要な人は２５万人もいる。

毎週さまざまな生きものを紹介する、子ども向け科学番組。◆九州の南の島々と沖縄にすむ嫌われ者のハブは、クサリヘビ科の毒ヘビ。頭は三角形だ。奄美大島はハブがいちばん多いと言われ、１年間に３００人が噛まれて数人が死亡する。ハブを研究する沢井さんは「ハブトキソイド」という予防薬を作った。毎年ハブを２万匹とる人は、商売よりも少しでもハブを減らしたいと言う。ハブの天敵、マングースは家畜も襲うのであまり増やせない。ハブが怖くても島を出るわけにもいかず、奄美の人々はハブと戦っていかなければならない。