観音菩薩像を諸寺に訪ね、その歴史的価値とともに人々の信仰の姿を伝える。観音を阿弥陀如来の脇侍としてではなく、独立した仏として信仰する思想が日本に伝わったのは白鳳時代といわれる。天災や病気の流行をなくし国の政治を安泰にするという願いから、現世の個人の苦しみを救うということへと変化してきた信仰の流れを追い、人々の観音信仰の強さを描く。

語り手自らが名作文学ゆかりの地を訪ね、風景やそこに暮らす人々に直接ふれることで、その作品世界を再認識してもらおうという文学紀行番組。第１集～４集まで制作・放送された。（第２集／１９７４年７月８日～１２月３０日放送、全２６回）◆この回は、壺井栄の小説「二十四の瞳」（１９５２年）を取り上げる。１９５４年の映画化で大石先生を演じた高峰秀子が、作者・壺井栄の故郷である香川県小豆島を訪問する。島の人々と交流しつつ、作品の舞台を物語の朗読ともに紹介していく。高峰は壺井との思い出や映画での役作りについても語る。

　世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズ。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆１９７３年１１月１２日より、ガラパゴス諸島全１６島のうち１３島の島々を航海しながら、そこに生息する生物達とその生態を記録した。寒地の動物と暖地の動物が一緒に住んでいる不思議な島々ガラパゴス諸島。南極に生息するはずのペンギンが赤道直下にすむ。羽根の退化したコバネウ、赤い足のアカアシカツオドリ、青い足のアオアシカツオドリ。水中に、海底に、陸にカメラを向け、不思議な島の住民達を隈なく紹介する。

信念を貫く人々の姿や、人間の可能性と限界を探る異色のドキュメントシリーズ。（１９７２年１０月７日～１９７５年３月２９日放送）◆関東平野を見晴らす山梨県の正丸峠に、鍛冶場を設けて１５年にもなる刀鍛冶・小澤さんの伝統技術で、日本の伝統美「日本刀」が生み出されるまでを記録している。職人魂が、キラリと輝く場面がみられる。日本の美と伝統を「日本刀」を通して垣間見ることができる。昨今の刀剣ブームをよそに山中静かに日本刀を鍛え続ける、刀鍛冶の夫婦の記録である。

歌舞伎舞踊の「松島」と「傀儡師」及び山田流箏曲「岡安砧」の演奏を紹介する。◆「傀儡師」とは、首に吊るした人形箱にいろいろな人形を入れて諸国を歩き、町の辻々で見物人を集めて人形を操って見せる大道芸人のことである。人形遣いが各々の人形に合わせて、「三人子宝」、「八百屋お七」、「舟弁慶」などの物語を聞かせる。それら一つ一つに様々な趣向がある。ＮＨＫホールで収録。

大和の国の東方、雨を司る神が宿ると信じられた奈良室生の山中にある室生寺を紹介する。古くからの民間信仰では山に住む神は女性であるとみなされ、同性である女性が登山すると山が荒れると信じられた。このような時代に室生寺は女人高野をうたい、多くの大衆の信仰をかちえたのである。雨ごい竜神の神宮寺として歴史の始まった室生寺を、室生川などの鮮やかな水の流れをところどころに交えながら描いていく。

日本の文化の夜明けといわれる飛鳥時代の政治をリードし、仏教の理解者としての思想家でもあった聖徳太子（５７４〜６２２）。太子の晩年の地、斑鳩の里の法隆寺夢殿を足がかりに聖徳太子絵伝などを交えながらその生涯を追う。聖徳太子は、十七条憲法を制定した翌年に斑鳩に移っている。太子は、政治の＜かたち＞としての憲法を作り出したのち、＜こころ＞の問題としての仏教について考えようとしたのではなかったか。国宝物を通じ、太子の足跡をたどっていく。

南山城（山城はいまの京都府の南部のこと）の野にある蟹満寺、観音寺などとそこに安置されている仏像を紹介し、奈良時代に帰化人が定着し、古くからひらけた南山城の文化を伝える。弥生時代からの人々の生活文化の流れを解説、さらに朝鮮半島から新しい思想と文化と技術を伝え、それによって国作りと生活の発展に大きく貢献した人々が住みついた土地として南山城を紹介する。