古い伝統を持つ“やっちゃば”の移りかわりを背景に、一見あらっぽく見える“やっちゃば”の人々の人情と心意気、それに果物問屋「花時」の４代にわたる運命と、店を取りまく人々の人生を配し、１６歳から６０歳まで、女中奉公を皮切りにやがて「花時」の女主人となるタエの姿、ひたむきな“女の一生”を描く。（１９７４年９月２７日終了、全１５６回）

豪放な力強さ、美しい彩りに富んだ写実などの特色を持った運慶（？〜１２２３）一派の彫像を紹介する。新しい時代をどん欲に表現して、数多くの名品を残した鎌倉彫刻。藤原彫刻の静けさと洗練された美に満足しなかった運慶一派。彼らの求めた美とは一体何だったのだろうか。多くの仏像を紹介していく中で、運慶一派の求めた美を探る。

科学技術は、人類がかつて経験しなかった物質的な豊かさをもたらした。その一方で、環境破壊や公害を引き起こし、人間の精神的な荒廃を招いた。科学技術の発達は、未来に何をもたらすのかを予測するドキュメンタリー・シリーズ。（第１集／１９７３年１０月７日～１９７４年３月３１日放送、全２６回）◆今回のテーマは「コンピューターと教育」。米国ではコンピューターによる学習システムが開発され、すでに実用されている。日本でも様々な教育用機器が導入され、一斉指導から個別指導へと授業の形が変わろうとしている。機器を使っての学習に子どもたちは賛否両論だが、効果は間違いなく上がっているという。研究者は「教師がコンピューターに取って代わることはない」と言い切り、人間が組むカリキュラムの重要さを述べた。一方で、記憶力を強化するなど学習力向上のための薬品が研究されていることにも触れる。

奈良市登大路町にある法相宗の大本山・興福寺とその所蔵している仏像を紹介する。興福寺伽藍に収められた諸仏は、浄土へのひたむきな願いを込めて、また当時関係の深かった藤原氏の力を反映し、けんらん豪華な姿を見せている。時代とともに移り変わる彫刻様式を見せながら、藤原氏とその時代を描く。

語り手自らが名作文学ゆかりの地を訪ね、風景やそこに暮らす人々に直接ふれることで、その作品世界を再認識してもらおうという文学紀行番組。第１集～４集まで制作・放送された。（第２集／１９７４年７月８日～１２月３０日放送、全２６回）◆この回は、鈴木三重吉の小説「千鳥」（１９０６年）を取り上げる。女優の太地喜和子が、三重吉が「千鳥」の題材を得た広島県能美島を訪れる。島の人たちが知る三重吉の青年時代の話や、長女が語る父としての三重吉の話を聞き、彼の人間像を探る。三重吉は死ぬ直前まで児童文芸誌「赤い鳥」の出版に情熱を燃やしていたという。

備前焼に新風をもたらし、後進作家の育成にもつとめた人間国宝・藤原啓さんのひととなりを伝える。明治３２年、岡山県備前市に生まれ、青年時代には文学を志したがかなわず、昭和１３年に３９歳で郷里に帰り、作陶の道に入った。金重陶陽（１８９６〜１９６７）によって開かれた古備前復興期のあとを受け、近代的な造形感覚と豪放かつ端正な作風をもち、さらに窯変（窯の中で火加減によって生じる色や形の変化）による効果を加える。「ちょっと見た目には魅力がないけれども、じっと見ていると飽きない。何かひきつけるものがある」と備前焼の魅力を語る藤原さん。その功績はいまも高く評価されている。

敗戦の頃、美しい瀬戸内の港町にまぎれこんだ戦災孤児の少女のその後を、日本の戦後の３０年に託して描く。作：林秀彦。ＮＨＫ連続テレビ小説第１４作。（１９７４年４月１日〜１９７５年４月５日放送、全３１２回）

病院で赤ん坊を取り違えられ、苦悩する二組の夫婦を描くドラマ。大吉・紀子夫妻は、小学校に入学した長男・一郎の血液型から、育ててきた我が子が実は他人だったことを知る。（１９７４年４月３日～９月２５日放送、全２６回）