京都神護寺に残る多くの仏像や美術品を紹介、高山寺の鳥獣戯画にも触れる。延暦年間（７８２〜８０６）、和気清磨呂が河内国に神護寺という寺を建て帰依していたが、のち天長元年（８２４）、和気仲世がこの寺を今の高尾山の地に移した。ここに空海（７７４〜８３５）が初代住職となり、新たに寺号を神護国祚真言寺と改め、以後その最初の２文字が通称となった。

各地に残る遺跡は古代人の喜び・悲しみ・願いなどをさまざまな形で語りかける。繁栄をおう歌したであろう遺跡をしのぶ。トルコのカッパドキア、住むに適さないからこそここを選んだ修道士たちの思い。石の暦を使い、天文学を知ったチチェン・イツアに残るマヤ人の知恵。自己顕示欲をあらわにしたエジプトの王たちの神殿群。シルクロードのオアシス・パルミュラの栄枯。歴史は物語に満ちているが自らは何も語らない。◆カッパドキアの修道士が住んだ洞窟〔トルコ〕、バビロンの遺跡〔イラク〕、チチェン・イツア遺跡〔メキシコ〕、パルミュラ遺跡〔シリア〕、ルクソールの神殿〔エジプト〕、カルナック神殿

南山城（山城はいまの京都府の南部のこと）の野にある蟹満寺、観音寺などとそこに安置されている仏像を紹介し、奈良時代に帰化人が定着し、古くからひらけた南山城の文化を伝える。弥生時代からの人々の生活文化の流れを解説、さらに朝鮮半島から新しい思想と文化と技術を伝え、それによって国作りと生活の発展に大きく貢献した人々が住みついた土地として南山城を紹介する。

地唄「曲鼠」の演奏と宮薗節「鳥辺山」の舞踊を紹介する。◆「曲鼠」は、作物（こっけいな内容のおどけ物）の一つで、ネズミが家の中を走り回る様子を描いた曲で、三味線の技巧が聞きどころとなっている。◆「鳥辺山」の舞台・鳥辺山は、京都の東山の中腹、清水寺から西大谷に通じる辺りのこと。添い遂げられぬ男女が身の不運を嘆き、親に先立つ不幸を陰ながらわびて、道行きの悲しみを踊る。ＮＨＫホールで収録。

古い伝統を持つ“やっちゃば”の移りかわりを背景に、一見あらっぽく見える“やっちゃば”の人々の人情と心意気、それに果物問屋「花時」の４代にわたる運命と、店を取りまく人々の人生を配し、１６歳から６０歳まで、女中奉公を皮切りにやがて「花時」の女主人となるタエの姿、ひたむきな“女の一生”を描く。（１９７４年９月２７日終了、全１５６回）

老いた母と息子だけの旅。東京から北海道にむかう一隻のフェリーを舞台に、交錯する二人の人生の感慨を、母と子の別れを通して描く。セットを使わず、フェリーにＶＴＲ車を積んで、ハンディカメラ１台だけで撮影。昭和４９年度芸術祭参加作品。◆自分から言い出した老人ホーム行きの船旅。しかしまるで５０年ぶりの里帰り観光旅行かのように明るく楽しげな母。子どもたちは結局この母を捨てたのか。

愛知県幡豆郡幡豆町大字東幡豆字大沢。まわりを山に囲まれた戸数わずか８戸の農村。村人は農業を捨て町に働きに出る。“一番かみ”のおばあさんは７５歳、一人暮らし。そのおばあさんの一人息子は日本でも有数の大企業の部長である。そして、孫も今春父親と同じ会社の東京支社に入社した。おばあさんから二代、農民から日本経済を動かすエリートに家系は変身した。おばあさんを中心に１９７４年（昭４９）の春の日本をとらえる。

三十三間堂の一千一体の観音像を中心に仏像を紹介、その思想・信仰を探っていく。一千一体とは、千プラス一ではなく千即一、一即千という東洋哲理である。この数の論理は現世の欲望を一切捨てた無の境地から、物事の奥にひそむ真実に迫ろうとする心といえる。番組では観音像の解体修理を取材、体内の経文や御仏が納められている様子も紹介する。