クジラと遠洋漁業、近海漁業の基地として知られる高知県室戸市。ここには旧暦６月１０日に魚の供養と漁招きを祈願する「シットロト踊り」が伝えられている。３００年以上も続くこの踊りには、生活のすべてを海に依存している漁師たちの海の幸への感謝の念と豊漁への願いが込められている。番組では、早朝４時から踊り始め、市内各地に踊りを奉納して回り、日没まで踊り続ける様子を伝える。「シットロト踊り」は、１９６３年（昭和３８）、高知県無形民俗文化財に指定された。

昭和半世紀の節目にちなみ、５０年間の記録フィルムと関係者の証言で時代を分析し、昭和を動かしたものは何かを考える。（１９７５年４月６日～１９７５年１２月２８日放送、全３９回）◆この回のテーマは特別高等警察。レポーターは小中陽太郎。

評論家村山リウさん（７１歳）は、源氏物語を通して女の生きかたを語り続け四半世紀を迎えた。村山さんは、主婦業のつれづれに源氏物語をひもとき、焼け跡の大阪の町で、大丸百貨店サロンを中心に女性たちとともに読書サークルをひらく。現在のカルチャーセンターの元祖ともいえるこの集いで、女の自立、紫式部の視線を通した男性論、女性論など、いわゆる“村山源氏”とされる境地が展開されてきた。

中世以降の東西交流は「絹の道」が陸であったのに対して、海の道を経由した「陶磁の道」が象徴的である。◆エジプトの『フスタートの遺跡』では中国の陶器の破片が出る。美しい陶磁器は西の世界の人々にとって世界を動かす貴重品であった。壊れやすく、だからこそ人々は欲しがった。千年も前から海を渡って東と西は結ばれていたのである。そして海上の道は、中国から九州の伊万里へと伸びる。◆フスタートの遺跡〔エジプト〕、ミナブの遺跡〔イラン〕、のぼり窯〔韓国〕、トルコ細工〔トルコ〕、有田の秘窯〔佐賀県〕、マイセン磁器〔ドイツ〕、伊万里焼〔佐賀県〕

終戦間近の混迷にまぎれて投下された長崎原爆の意味するものは一体何であったのか。この疑惑に対する解明を怠った加害国と被爆国は、３０年間にその隔たりを強めてしまった。アメリカに取材して長崎原爆の特殊性を訴え、従来とかく国内的主張にとどまっていた原爆問題を、全人類的視野にまで広げた。

１９６２年（昭和３７）サリドマイドによる身体不自由児が誕生して社会問題化した。そのひとりの誕生から１３年間、４７４５日の苦闘のあとをドキュメントする。◆サリドマイド児の誕生は全国で千人にものぼった。その原因は市販の睡眠薬や胃腸薬に含まれたサリドマイドだった。両手に障害を持つ彼が、本人の努力と、両親と姉それに周囲の人々の温かい連係プレーで障害をのりこえ、中学生になるまでの日々を綴る。

昭和半世紀の節目にちなみ、５０年間の記録フィルムと関係者の証言で時代を分析し、昭和を動かしたものは何かを考える。（１９７５年４月６日～１９７５年１２月２８日放送、全３９回）◆この回のテーマは、昭和２１年（１９４６）４月に処刑された２人のＣ級戦犯。レポーターはフランキー堺。

シルクロードの終着点としての奈良を描くドキュメンタリー。放送開始５０周年記念番組。◆古代の東洋と西洋を結ぶ道であるシルクロードの終着駅と呼ばれる正倉院。シルクロードを交流した美術工芸品とともに、かつて隊商都市として栄えたアフガニスタンのヘラート、ソビエトのブハラ、シリアのパルミュラ、そして古都奈良の姿を紹介していく。