世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズの総集編。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆メラネシアの島々には、地球上から次第に姿を消してゆく母系社会が未だにいくつか残っている。中でもパプア・ニューギニアのトロブリアンド諸島はユニークな経済組織を持つ女の島として有名である。前半は、兄弟や母方のオジからヤム芋を贈られるという習慣に支えられた、未婚の少女の自由奔放な生活を描く。トロブリアンドでは未婚の男女の性の交わりは自由で、少年と少女はあけっ広げな求愛の歌を投げかけあう。後半では、掟に縛られた人妻の生活を中心に描く。トロブリアンドの人妻たちは夫に生活を頼らず、兄弟などからイモの供給を受ける。したがって離婚さえも自由意志だが、人妻ゆえの束縛もあり、掟を破った女は激しく非難される。独身時代の自由な男女関係が尾を引いて、人妻同士の刃傷沙汰も珍しくない。女の義務はイモの供給を受けていたオジや兄弟の死後、喪明けの式リサラダブを開くことだ。このため膨大なカスタム・マネーやスカートを作る。

人間国宝・荒川豊蔵さん。８０歳を越えてなお創作にいそしむ陶芸家を訪ねて、作品が出来上がっていく様子を取材した。（当時８１歳、昭和６０年没）昭和５年（１９３０）、荒川さんは岐阜県大萱の古い窯跡から志野焼の陶片を発見。以来、多治見に居を構え、江戸時代に衰退してしまった志野焼を現代に復興。桃山時代の技法を、独自のものとして確立した。「意識しないで自然にできたものがよい作品になる。作ろうと思うと、うまくいかないものだ」と語る。

中国の書を基調とした書体の平安の三筆（弘法大師空海・橘逸勢・嵯峨天皇）および伝教大師最澄、そして日本風の書体・和様体をささえた平安の三蹟（小野道風・藤原佐理・藤原行成）の書と、そこににじみでる人柄や社会を紹介する。三筆のうち嵯峨天皇の『光定戒牒』は勅封（天皇の命による封印）とされ、その開封の様子は５年に１度の法華大会の際に中をあらためるため開封されるだけで、これまで一般の目に触れたことはなかった。

代々唐津藩の御用窯を受け継いできた中里家の１２代目当主にあたる中里無庵さんは、唐津焼の人間国宝。カメラはその仕事場を訪ねた。（当時８１歳、昭和６０年没）土を練り、ひも状に伸ばしたものを積み重ね、内外両側から木片で打ちなじませて形を整えていく。中里さんが古い窯跡を調査、研究した技法＜たたき造り＞は、こうして生まれていく。「模造はいけない。作者独自のものをあみださなくては、よい作品はできない」と語る、１２代中里太郎右衛門の挑戦は続く。

歌人としても著名な人形作りの人間国宝・鹿児島寿蔵さんを東京の仕事場に訪ねて、作品が出来上がっていく様子を取材した。（当時７７歳、昭和５７年没）「色が落ちず、こわれにくい人形を造ろうと研究した結果、“紙塑人形”にたどりついた」。アララギ派の歌人でもあった鹿児島さんは「もろもろのことのはげしき世にひそみ、心直かれと人形つくる」と詠み、その心の内を表現している。紙の原料を電動かくはん機でほぐすところなどは、いかにも現代の作家らしい。

作家の藤原ていさんは、外地での敗戦という過酷な条件の中で、子ども３人をつれて朝鮮半島から祖国へ引き揚げた。その逃避行「流れる星は生きている」は藤原さんの悲惨な体験記。藤原さんたち北朝鮮引き揚げ家族のその後の消息など同じ体験を持つ人々を訪ねながら、今、老境に入ろうとしている戦争を体験した最後の世代の感慨をきいていく。

日本シルクロードの終着駅と言われた横浜は、発展の歴史の中でも生糸、絹織物の産業や貿易が果たした役割は大きい。生糸の集荷地・東京八王子から外国貿易への積出港・横浜まで、約４０キロの日本版シルクロードを歴史の中で検証する。

　世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズ。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆１９７６年３月、雪深いカナダ・マニトバ州の大草原。科学者マイケル・アレクシウクは、数年にわたって、この草原の蛇穴に棲む世界でも例を見ない数万匹のガーター蛇を研究している。寒々と雪に覆われたこの平原に棲むガーター蛇とはどんな蛇なのか。大きさは、毒は、色は、本当に数万匹もいるのか。これはガーター蛇の生態観察を一年にわたって追い続けた自然科学のドキュメンタリーである。