昨年（１９７６年）、学校で現金と預金通帳窃盗の疑いをかけられ、教員から詰問された中学３年の少年が「学校がこわい」という遺書を残して自殺した。彼の周辺を取材することにより、関係者や地域住民のエゴ、無責任、閉鎖性などを指摘、教育の根本にまで迫る異色ドキュメンタリー。

人形作家であり、短歌も詠む鹿児島寿蔵。彼の話を交えながらその作品と制作風景を紹介する。◆鹿児島は人形制作とほとんど同時期に短歌に親しみ、その歌集は既に２０冊を数える。人形にも文学的要素がなければいけないと主張し、彼の作品には美術的造形と文学的叙情の見事な融合が見られる。

エネルギー資源、食糧、人口、海洋など、一国では扱いきれない問題が国際的に議論され始めた“地球時代”に、それぞれの問題に日本がどのように対処しているかを探り、その課題について考えるシリーズ。（１９７７年１月１０日～４月４日放送、全１３回）◆第１０回は、省エネルギー型の社会を目指す新しい技術について。私たちの日常に欠かすことのできない石油は、そのほとんどを輸入に頼っており、しかもあと数十年で燃え尽きてしまうともいわれている。番組では、ゴミ焼却による発電、プラスチックの再利用、資源再生システムの研究、そして太陽熱を利用したソーラーハウスを取材。また、発電の効率を引き上げて省エネルギー化を図る方法として、揚水発電やＭＨＤ発電も取り上げる。次の新しい時代へ向けた省エネルギー技術の研究開発について紹介していく。

世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズ。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆南米コロンビアの小都市、シンセレホの１月は連日４０度の猛暑が続く。そのさなかに行われる「コラレハ」はこの牧畜地帯に繰り広げられる凄まじい闘牛祭り。仮設スタンドは５万の人々で埋まり、闘牛場には男の意気を示さんとする若者たちがひしめく。牧場主が提供する猛牛の群れが放たれ、熱狂の一大スペクタクルが展開される。ラム酒に酔った男たちの酒臭い息がむせかえらんばかりのスタンドは興奮に包まれる。

福井県にある吉祥山永平寺は、１２４４年（寛元２）に道元禅師によって開山された曹洞宗の大本山で、参禅道場である。この山内にテレビカメラを持ち込み、午前４時半から午後９時までの１日、厳しい寒さの中で修業をつづける雲水の生活を中心に、永平寺周辺の冬を紹介する。

女手ひとつで育て上げた一人息子の戦地からの帰国を、たった一人でひたすら待つ「岸壁の母」を描くドラマ。（１２月３０日終了、全４０回）◆昭和６年（１９３１）、酒乱の夫が急死し、義母から再婚を強いられていた端野いせは、一人息子の新二を連れて逃げるように函館から上京した。しかし、世界恐慌のあおりで街には失業者があふれ、仕事が見つからない。

　「科学の目」を持って世界を紹介する、科学ドキュメンタリー番組。（１９７５年４月６日～１９８６年１２月２８日）◆脅迫、恐喝事件などの捜査に成果をあげている声紋、ソノグラフを、１４年前に起きた誘かい事件の脅迫電話の声と犯人とを分析・対照する実験などによってその信頼度を調べた。

世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズの総集編。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆ナイルはアフリカの“母なる河”である。全長５７６０キロ、世界第二の淡水湖ヴィクトリア湖を源に持つ「白ナイル」、エチオピアのアビシニア高原から流れ出す「青ナイル」の二大支流を束ね、地中海に注ぎ込む。取材班は白ナイルを遡行、スーダン南部をエチオピア国境近くまで踏み入った。ナイル河の流域に住むヌバ族は、容赦ない大自然の試練を生き抜くため、いろいろな生活の知恵を働かせている。モロコシの収穫が終わると行われる、木刀による実践さながらの激しい大合戦もその一つである。負傷者の続出する大合戦は一種の模擬戦争であるが、この大合戦で日頃の鬱積したエネルギーを発散させるため、ヌバ族の村と村との争いごとは防止され、また村自体の力と結束力が鍛え上げられることになるのである。