俳句革新をはじめ、近代文学に金字塔を築いた正岡子規は、脊椎カリエスを病み晩年はほとんど病中にあった。全身に走る激しい痛み、しかし夜を徹して俳句に添削を続け、また驚くほどの食欲、そしてわがまま一杯に欲求を投げつける妹・律への狂気。それらのすべては、生存中は公表されなかった彼の日記「仰臥慢録」に克明に記されている。子規の後半生を、生涯の介護人となった妹・律の目を通して描く。

１９７８年（昭５３）６月１８日に移民７０周年をむかえた日系ブラジル移民にスポットを当て、一世たちの苦闘の歴史やブラジル人として新生ブラジルをになって活躍している二世、三世たちの姿を、のべ３００人におよぶ日系人へのインタビューや実話にもとづく再現ドラマで構成するドキュメンタリードラマ。◆１９０８年（明治４１）、第１回ブラジル移民船が神戸を出発した。生存する２８人に当時の思い出を語ってもらいながら、いくつかのエピソードを再現する。

中東紛争解決のため対イスラエル和平交渉にふみ切ったサダト大統領に単独インタビューし、その思考と行動を紹介。同時に、今日のエジプトの息吹をも伝える。

新春の３日間、人間国宝の演奏を紹介するシリーズ。第３日は、義太夫「寿式三番叟」と義太夫「壺坂霊験記」。◆「寿式三番叟」は祭儀的な演目で、翁・三番叟・千歳の３老人の祝福舞の総称である。◆「壺坂霊験記」は大和国壺坂寺の片隅に住む沢市、お里夫婦の物語である。沢市は疱瘡で目が不自由になってしまい、お里とともに壺坂寺へお参りするが、お里の隙をみて裏山の谷に身を投げる。それを知ったお里も絶望して後を追う。そこへ壺坂の観世音が現れ、死んだ二人の命を救い、お里の夫を想う心をめでて、沢市の両目が開いた…。

アメリカ国防総省戦史室に東京大空襲に関する綿密にして膨大な作戦計画書類と空襲時に撮影した映像記録が保存されている。その記録によると、大空襲は残すものと焼きつくすべきものとを計算しつくして緻密に練り上げ実行されたものだったことがわかる。日本焦土作戦全体を貫くアメリカの戦争遂行の思惑を解きあかす。

わらべ歌のメロディーは、ピンクレディーのヒット曲につながっている―。このような仮説の元、日本の詩情と現代に生きる日本音楽の流れを探った音楽ドキュメンタリー。全１３回。◆第４回は、宮廷の儀式音楽について考える。【番組内に登場する地名、人名、役職名、引用資料等は制作当時のものです。現在とは異なっている場合があります】

外務省機密漏洩事件が「情を通じ…云々」という問題にすり替えられ、真相をうやむやにされたことに怒りを覚えた作家・澤地久枝が、頭脳と感性と足で探り出したドキュメントのドラマ化。報道の自由、取材の自由、国民の知る権利が政治的圧力によってねじ曲げられる恐ろしさを告発する。原作：澤地久枝。（英語字幕入り）

日本の伝統芸術の枠組みや手法をさらに洗練し、伝えている女性芸術家たちの人間模様を紹介するドキュメンタリー。（１９７８年１月５日～３月３０日放送、全１３回）◆第２回は、水墨作家・篠田桃紅さんにスポットを当てる。