西域南道は、南を崑崙山脈、北をタクラマカン砂漠に区切られた帯状の流砂の道。楼蘭から西南に道をとる。タクラマカンとは、ウイグル語で「死の砂漠」を意味する。猛烈な砂嵐と熱暑、乾燥の中を、古代仏教都市『ミーラン遺跡』とオアシスの町チェルチェンを経て、楼蘭王国の出先があった『ニヤ遺跡』に至る。２０世紀初頭、各国の探検隊が入って以来６５年目の踏査となる。ニヤ遺跡へは道に迷い、悪路の中、ラクダですら消耗するほどの難行軍。◆ミーラン遺跡、ニヤ遺跡

北海道のある市役所に勤める土木課長・小谷（森繁久彌）の娘・夕子（大竹しのぶ）は、自分のルーツ探しに山形県を訪れ、曽祖母・久松よね（北林谷栄）が文久元年（１８６１）生まれであることを記した人別帳を見つけた。戸籍では１０８歳だが、人別帳が正しければあと１カ月足らずで世界新記録の１１９歳になる。誕生の年を証明するヘソの緒も発見され、市長を始め、市をあげての大騒ぎが続く。しかし、よねは唯一の楽しみだった機織りも取り上げられ、新記録樹立の前夜、息を引きとる。

初老の男が自分の出生に疑問を抱き、そのルーツをたどっていくドキュメンタリータッチの異色作。作家・山口瞳氏の自伝的・母への賛歌。小林桂樹が主人公ほか４役を演じる。（全５回）◆最終回。暗い血でつながった血族がみんなで過去を隠していたと知った瞳（小林桂樹）が、その事実を兄に告げる。瞳の苦しさを分かってくれた兄が、「父方の血も流れているよ」と言ってくれ、瞳は気をとり直して父方の故郷・佐賀を訪ねる。父の親族は快く瞳を迎えてくれた。瞳は故郷を見つけた喜びと、母を思う気持ちがこみあげてくるのを感じた。

明るさと負けん気、ユーモアを武器に昭和の激動期を生き抜いた混血児マリの物語。（１９８０年３月３１日〜９月２７日放送、全１２５回）◆母親がアメリカ人を愛し、身篭ったが、日米の緊張の中で父は帰国。母を愛していた材木問屋の男が、何もかも承知で養父となる。出生の秘密を知ったマリは家出し不良グループに入るが、母の真情を知り、戻る。やがて第二次世界大戦、養父は爆死し、マリと母は幾多の困難を乗りこえ、戦後を迎え、進駐軍として日本にやって来た父とめぐり会う。

敗戦直後の食料確保や農地改革、農業基本法、そして減反政策と次々と課題に追われた日本の戦後農政史を、東大名誉教授・東畑精一氏の証言をもとに振り返る。（１９８０年４月２８日〜５月１日、全４回）◆第２回は、戦後次々と打ち出された農業改革と、それに呼応して活発化した農業団体再編成の動きなどについて語る。

各界で活躍する女性をゲストに招き、桂三枝の軽妙な話術により本業では見えないもうひとつの顔を引き出していく娯楽対談番組。（１９８７年３月２９日終了）◆この回は第１回目の放送。番組最初のゲストは女優の岡田茉莉子。

語り手自らが名作文学ゆかりの地を訪ね、風景やそこに暮らす人々に直接ふれることで、その作品世界を再認識してもらおうという文学紀行番組。第１集～４集まで制作・放送された。（第４集／１９７９年１０月６日～１９８０年３月２９日放送、全２６回）◆この回は、斎藤茂吉の「赤光」（１９１３年）を取り上げる。日本を代表する歌人、斎藤茂吉の生家がある山形県を女優・吉行和子が訪れ、茂吉や茂吉の家族たちの生活から「赤光」を見つめ直す。歌人で茂吉とも面識のあった山上次郎さんや茂吉の弟子である板垣家子夫さんが、歌人としての茂吉だけでなく、茂吉の素顔を語る。また、東京の斎藤病院では茂吉の妻・輝子さんに、夫、父親としての茂吉についてインタビュー。茂吉の周囲の人々の話から、茂吉の人間性が見えてくる。

１１～１３世紀に栄えた西夏の古城、黒水城（カラホト）。ゴビ砂漠の厳しい自然の中に埋もれた黒水城へは自動車では入れないため、エチナからラクダ隊により取材行。荒廃した黒水城の遺跡から発見された絹、布の靴、陶片、西夏文字の文物などのタングート族の遺物、内蒙古自治区のエチナ旗（県）のトルフ族の馬乳酒づくり、漢代の烽火台や城跡などを紹介。学術的にも実りの多かった調査行の記録。