語り手自らが名作文学ゆかりの地を訪ね、風景やそこに暮らす人々に直接ふれることで、その作品世界を再認識してもらおうという文学紀行番組。第１集～４集まで制作・放送された。（第４集／１９７９年１０月６日～１９８０年３月２９日放送、全２６回）◆この回は、小川未明の「赤い蝋燭と人魚」（１９２１年）を取り上げる。女優の吉行和子が未明のふるさと越後高田を訪ね、ゆかりの地を巡りながら物語の背景を探っていく。童話としても知られるこの物語独特の世界観を、吉行自身がいつしか物語に入り込み、人魚のお母さんら登場人物にインタビューするという形で表現していく。それぞれの立場が明らかになるにつれ、人間のエゴイズムや身勝手さが浮き彫りになっていく。

「大福願書」と表書きされた詫び状がある。署名には、当時の井上演劇道場を代表する人々の名が連らねてあり、女優の岡田嘉子の名もある。井上道場は、俳優井上正夫が主宰し、中間演劇の確立をめざした集団として名高い。劇的な樺太越境で井上正夫の元を去った岡田嘉子さんが、帰国後初めて、舞台の父である彼の足跡を関係者の証言を得ながらたどる。

世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズの総集編。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆ノルウェー、フィンランド、スウェーデンの北極圏内の最北端、ラップランド地方にはいまなおトナカイの放牧で生活しているラップ人が住んでいる。トケイノ村の千人の人々は、春になると７万頭のトナカイを追って北極海の島に渡り夏を越す。４月２９日の出発から、５月１５日に目的地のアルノイヤ島に到着するまでを、２千５百頭のトナカイを追う一家族に密着する。夏、女や子どもたちは草原でコケモモの実を摘み、遊び、毛皮を直し、トナカイの肉の薫製を作る。男たちはトナカイを見守っているだけのおだやかな暮らし。９月、秋は突然に訪れて厳しい冬に向かう。１１月に村に帰りつくと、すぐトナカイの選別と出荷。これからは暗く長い冬の生活が始まる。

ある日突然、７２歳の老人が１５キロのマラソンに参加しようと決意する。夏も終わろうとする北国の小さな漁村を背景に、孤独な老人の屈折した想いと周囲のすれ違いを、ユーモラスに見つめながら人生の姿と生の充足を浮き彫りにしていく。

北海道のある市役所に勤める土木課長・小谷（森繁久彌）の娘・夕子（大竹しのぶ）は、自分のルーツ探しに山形県を訪れ、曽祖母・久松よね（北林谷栄）が文久元年（１８６１）生まれであることを記した人別帳を見つけた。戸籍では１０８歳だが、人別帳が正しければあと１カ月足らずで世界新記録の１１９歳になる。誕生の年を証明するヘソの緒も発見され、市長を始め、市をあげての大騒ぎが続く。しかし、よねは唯一の楽しみだった機織りも取り上げられ、新記録樹立の前夜、息を引きとる。

東京、ニューヨーク、カナダ、ロンドンを舞台に、石油代理店獲得へ乗り出す日本の一総合商社の苦闘と崩壊、その過程のなかで利害・成功をめぐってうごめくさまざまな男女の葛藤を描いた、全４部のドラマ。

ゼンマイもモーターもないのに、独りで歩くおもちゃ。２本足のおもちゃは、どうやれば倒れないでうまく歩くようになるか。足の形はどうするか。前後左右のバランスは、どうやってとるか。４本足では、どうだろうか…。こうして次第に進歩した動力なしの「歩くおもちゃ」の馬は、４本足を別々に動かし、首まで振りながら歩くようになった。正に「歩くおもちゃは進化をとげた」のである。

教育テレビ開局２０年を記念した大型企画として乗りものの技術史を取りあげた１０回シリーズ番組。第５回は、「帆船サンタマリアの秘密〜船・前編」。船は人間の歴史とともに古くから使われているが、１５世紀ヨーロッパで帆船の技術が飛躍的に発達したため、歴史は大きく変わった。その代表例、コロンブスの乗ったサンタマリア号を中心に、現代に至るまでの帆船の発達史をひもとく。