古代から大陸との交易が盛んで、大陸文化の継承地であった対馬を竜宮になぞらえ、海幸彦・山幸彦や浦島の伝承を軸に人間の生の姿、男女の愛を描く。（１９８９年１１月１３日終了、全４回）◆民俗学者・宮前佐智彦（名高達郎）は、ある日大衆料亭で対馬出身の玖美子（松下由樹）という若い女と知りあう。注文したタイのかぶと煮に金の釣り針が入っていたのが縁だった。佐智彦が玖美子をホテルに誘うと、対馬にいる母・須奈（多岐川裕美）に会ってほしいと言いだす。佐智彦はとまどうが、ちょうど対馬町史の編纂の話があったこともあり対馬へ旅立つ。須奈は佐智彦に会って驚いた。佐智彦は須奈の行方不明の夫にそっくりだったのだ。

小田原の伝統工芸のひとつ、佐波理による鋳物の研究と製作に半生を打ち込んできた柏木晴光さん（当時８０歳）を、小田原市中町の工房に訪ねる。◆室町時代の１４９５年、北条早雲の小田原進出築城以来、北条氏５代にわたるひ護の下、城下では職人たちがそれぞれ町をつくりさまざまな工芸文化を生み育てた。佐波理は銅に錫を加えた合金の一種。佐波理を用いた銅鑼や風鈴などの鋳物は天平の頃からその質感と音色の美しさが人々に好まれ、佐波理工芸は江戸時代に最も盛んになった。その澄んだ余韻を長く響かせるためには、材質や形だけでなく高度な技術が必要で、柏木さんの努力は続く。

わが子を殺した犯人の娘を引き取って育てた夫婦の愛と憎しみ、育てられた娘の苦悩、そして意外な真相を描く。テレビ朝日開局３０周年記念番組。（１９８９年４月６日開始、全２回）◆継母・夏枝（いしだあゆみ）の相次ぐいやがらせや兄・徹（野村宏伸）の愛の告白に悩む陽子（万里洋子）であったが、徹の友人北原と恋をする。夏枝の邪魔にも負けない二人であったが、陽子はとうとう夏枝の口から出生の秘密を知ってしまう。ショックを受けた陽子は自殺をはかった。養子をあっせんした啓造の友人が駆けつけ、陽子は実は犯人の娘ではなかったと告白する。

「昭和の歌」の大集成。当時のニュース・フィルムを織りまぜ、時代を彩った数々のメロディーを紹介していく。第１回は戦前・戦中、そして戦争直後の歌。（１９８９年４月２９日〜５月４日放送、全３回）◆佐藤千夜子「東京行進曲」、藤山一郎「影を慕いて」「酒は涙か溜息か」に始まり、田谷力三、市丸、美ち奴、高田浩吉、小畑実、田端義夫、四家文子、ディック・ミネ、楠トシエ、松島詩子、高峰三枝子、灰田勝彦、淡谷のり子、霧島昇、東海林太郎、伊藤久男、並木路子、古川ロッパ、荒井恵子、菊池章子、平野愛子、三条町子、近江俊郎、林伊佐緒、鶴田浩二、岡晴夫、津村謙、渡辺はま子、笠置シズ子、高峰秀子、二葉あき子、岡本敦郎の歌を紹介する。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆蜷川幸雄：演出家。１９３５年埼玉生まれ。１９５５年劇団青俳研究生、１９６７年稽古場公演「ボルヒェルトの作品からの十二章」で初演出。演出のほか、映画監督やテレビ司会者としても活躍。「近松心中物語」再演で１９８１年芸術祭大賞を受賞。このほか主な演出作品に「心情あふるる軽薄さ」（１９６８年）、「王女メディア」（１９７８年）など。

国会審議を前に、消費税に対する与野党の考えを問いなおす。（３夜連続）◆２１世紀の高齢化社会に向けて、消費税は必要なのか。参議院選挙の与野党逆転を背景に、消費税の廃止を主張する野党。税の中身を見直して続しようとする自民党。第２回は自民党の消費税見直しの考え方を軸に討論する。出演は三塚博、伊藤茂、坂口力、中野寛成、工藤晃、内橋克人、大内秀明、加藤寛、見城美枝子、宇野収、長谷川慶太郎、田中直毅、土井隆史の各氏ほか。

ソ連・中国、そして日本と、日本海をはさんだ国々が、ソ中雪解けによって交流を進める“環日本海時代”の到来を告げる友好使節団の旅を紹介する。◆１９８９年５月、新潟からの２００人の友好使節団を乗せた船が、未開放であったソ連・ウラジオストック港に入港した。使節団の一部はソ連と中国の国境を、外国人としては初めて列車で越えた。

世継ぎをめぐって陰謀うずまく大奥を舞台に、春日野局の依頼を受けた主水ら仕事人が忍者・根来衆と死闘を繰り広げる、必殺シリーズの新春スペシャル。◆十二代将軍・家慶の治世下、大奥では女たちが、大御所・家斉が生ませた５５人のうち、自分の血縁を次期将軍にと画策していた。体の弱いお世継ぎ家定の乳母・春日野（小川真由美）は、家斉のお手付き中臈・お美代の方たちにとっては邪魔な存在で、甲賀衆や仕事人にしばしば襲われていた。春日野の密命を受けた中村主水（藤田まこと）は大奥に潜入し、お糸の方殺傷事件に巻き込まれる。