カムチャッカ半島に古来から住む先住民・コリヤーク族のあいだに広がりつつある伝統文化復権の動きを伝える。◆コリヤーク族は、約１万年前に土着して独自の文化を発展させていた。人間も動物もみな自然の一部であり、必要以上の採取、搾取は天の大神の定めに反するという厳然とした自然観で、ながく狩猟採集民族として暮らしてきたが、ロシア革命以後は社会主義の波に飲み込まれてしまっていた。民族学者のアレック博士とコリヤークの若者とともに、失われたコリヤーク族の伝統文化を再現する。シャケ漁・アザラシ狩り、アザラシ祭など、男たちの生活を中心とした文化を紹介する。また「ホロロの祭り」の再現のために行われた祭りで使う毒キノコの野摘み、シャーマンの祈り、犬ぞりの儀式、ウラウの踊りなど、女たちの生活と祭りそのものを紹介する。

　トップモデルにしてミュージシャンの甲田益也子さんが軽井沢の脇田美術館を訪ねる。この美術館は、鳥、子ども、植物をモチーフとして国際的に知られている洋画家の脇田和さんが、東京芸術大学教授を退官した後、１９９１年に個人美術館として開館したもの。９０歳を超えてなお、みずみずしい創作を続けている脇田さんの自然や人生をのびのびと表現した作品にふれることができる。アトリエ山荘をも兼ねている。

バブル景気成長から崩壊の時代を背景に、温泉旅館に嫁いだ主人公が義理の娘たちとの葛藤に悩みつつも“老舗の旅館”を大きく変えていく姿を描く。作：橋田壽賀子。ＮＨＫ連続テレビ小説第４７作。（１９９２年４月６日〜１０月３日放送、全１５６回）◆昭和５５年（１９８０）、師走。１８歳のときに母を失った山代玉子（泉ピン子）は、弟妹の面倒を見つつ父の小料理屋を手伝ってきた。弟は大学、妹は高校へと進学し、一息ついた年の瀬だった。ある日、父・勇造（いかりや長介）に幼なじみから電話がかかってきた。旅行の誘いだというのだが、玉子はなぜか不安な気持ちになる。◆解説副音声あり

殿様の世継ぎを生んだ女性は庶民でも武士と同じように扱われたという背景を含んだ噺。屋敷奉公に上がっていたおつるが殿様の男子を産んだというので、兄の八五郎がお屋敷にお祝いを述べに行く。殿様に対する話し方を大家に教わってきたが、勝手が違って慌てるばかり。普段の町人言葉で話してよいと殿様に言われ、やっと元気が出てくる。いざ話し出すと殿様に気に入られ、八五郎は侍方に取り立てられることになる。

竹と日本人。松・梅・桜とともに日本の代表的風景。日本文学の元祖「竹取物語」をはじめ、東大寺二月堂のお水取りや高千穂夜神楽などで神格化された竹。民具の中に生きた竹。桂離宮や銀閣寺の生け垣に反映する竹。千利休の茶の湯で渋味を添えた竹。美術工芸の中で発揮される素材としての効用など。竹に無常を感じ特別の思いを寄せる日本人の心情を見つめ、現代の竹工芸・茶筅の制作現場とともに、日本人が到達した竹の美を総覧する。◆【重要文化財】竹林七賢人図（円山応挙筆）〔金刀比羅宮〕、竹梅図屏風（尾形光琳筆）◆【その他】竹取翁并かぐや姫絵巻物〔宮内庁〕、竹茶杓銘泪〔徳川美術館〕

３８０年前、伊達政宗がヨーロッパに派遣した慶長遣欧使節支倉常長の足跡と、スペインでハポン姓を名乗る人々のかかわりを探る歴史ドキュメント。◆ハポンとはスペイン語で日本の意味、彼らは先祖が日本人のサムライであると信じている。伊達政宗はイスパニアの植民地ノビスパニア（現在のメキシコ）との交易を求めて、支倉常長一行をイスパニアに派遣した。しかし遣欧使節団はその目的を果せぬまま約３年間を当地で過ごす。この間にはローマ法王庁も訪れている。支倉常長に光を当て、異郷の地での苦難の外交の過程と、次第にキリスト教に帰依していく精神的なプロセスをハポン姓の謎解きもおりまぜながら検証する。

博多の男衆が締め込み一本で夏の街に繰り出す勇壮な祭り、博多祇園山笠。福岡は今も古来の地名・博多を用い、独自の生活文化を共有している。毎年７月櫛田神社に奉納される「追い山」の日までの１週間、博多の街を駆け抜ける山笠と沸き立つ男たちの熱気によって「流れ」は怒とうと激流の渦を巻き、興奮のるつぼと化す。◆飾り山を作る老人形師と祭りを裁量する当番の若商店主の仕事ぶりを通して、静から動へ移りゆく博多祇園山笠の始終を描く。◆【重要無形民俗文化財】博多祇園山笠行事〔福岡県〕

藤間藤子さんにスポットを当て、インタビューと、その至芸を紹介する。◆鑑賞する舞台は常盤津「景清」と清元「北州」の二つ。「景清」はもともと京を舞台にした内容であるが、藤間さんは江戸・品川に置き換えて演じている（１９８６年ＮＨＫホールで録画）。「北州」は１９８１年「邦楽まわり舞台」で放送したもの。