飢きんなどの社会不安や、政情不安が多かった天平時代には仏教が興隆し、仏像彫刻の特色として巨像が多く造られるようになった。そのはしりが、東大寺法華堂（三月堂）の仏像群である。これら仏像を紹介するとともに、はじめ金光明寺と呼ばれた法華堂を営み奈良仏教の頂点・東大寺の開祖としてあがめられた良辨僧正（６８９〜７７３）についても触れていく。

長野県の最北端、典型的な過疎地の集落にたった一軒残った農家。その農家が百頭近い乳牛を飼い、酪農に力いっぱい生きようとする姿を長期取材した。過疎地に生きる農民の姿を詩情ゆたかに描く。

病院で赤ん坊を取り違えられ、苦悩する二組の夫婦を描くドラマ。大吉・紀子夫妻は、小学校に入学した長男・一郎の血液型から、育ててきた我が子が実は他人だったことを知る。（１９７４年４月３日～９月２５日放送、全２６回）

山陰地方のある田舎町。信一は少年時代に殺人事件で家族を失い、右目に重症を負った。心を閉ざす信一（中島久之）は中学卒業後、眼科医の下川文子（栗原小巻）の家に住み込むことになる。信一は文子のおかげで明るさを取り戻し、いつしか彼女への思慕が芽生える。ある日、信一は文子の夫（江守徹）の秘密を目撃してしまう。文子の幸せを願う信一は、意外な行動にでる。脚本：水木洋子。

病人や孤児、孤独な老人に慈悲の手をさしのべた施薬院・悲田院の事業で有名な光明皇后（７０１〜７６０）が創建した新薬師寺を中心に、数々の仏像とともに皇后の精神性にも触れる。女性の崇高さ、美しさ、そしてその愛、いつの時代も人々はそれを願い望む。久しい間日本人は、その理想の姿を光明皇后に見ようとしてきたのであった。天平の美のシンボルと仰がれる光明皇后の姿を追う。

毎週さまざまな生きものを紹介する、子ども向け科学番組。◆ヒラメは砂の中にもぐってかくれている魚だ。目立たないように砂の色に合わせて体の色を変えて、小魚が近づくと飛びついて食べる。ヒラメやカレイの祖先は、タイやスズキの祖先と同じだったと考えられている。生まれたばかりのヒラメはほかの魚と同じように体の両側に目があるが、３週間たつと目の位置が上に上がって、泳ぎ方もおかしくなってくる。やがて右目が左側に移って、砂の上で過ごすようになり、生まれて約１ヵ月で親と同じヒラメになる。

語り手自らが名作文学ゆかりの地を訪ね、風景やそこに暮らす人々に直接ふれることで、その作品世界を再認識してもらおうという文学紀行番組。第１集～４集まで制作・放送された。（第２集／１９７４年７月８日～１２月３０日放送、全２６回）◆この回は、志賀直哉の長編小説「暗夜行路」（１９２１年‐１９３７年）を取り上げる。女優・木内みどりが作品の舞台となった広島県尾道市と鳥取県伯耆大山を訪ねる。尾道では志賀直哉が住んでいた三軒長家にて、当時を知る人に志賀の暮らしぶりや執筆の様子を聞く。そして物語をたどる木内は、主人公・時任謙作と同じく真夜中の大山に登り、彼の思いに迫る。

萩焼、深川窯を代表する作家の一人、ありし日の１４代目坂倉新兵衛さんの姿を伝える。昭和３５年に１４代目を襲名、３６年から日本伝統工芸展に５回入選して、昭和４１年日本工芸会の会員となった。山口県指定無形文化財技術保持者でもあった坂倉さんの作品は、伝統の古式をにじませる端正な気品のなか、ほのぼのとしたやわらかな美しさを備え、＜新兵衛茶陶＞と呼ばれて表千家をはじめ広く茶人に愛好された。番組では、ろくろ、窯出しなどの製作風景のほか、古い窯跡の残る深川の景色も記録している。