沖縄本島北部の山林地域でヤンバルクイナが発見されたのは１９８１年。それから５年が経ったが、その美しい鳥の詳しい生態はいまだによく分かっていない。世界で初めて撮影に成功した抱卯とヒナ誕生の決定的瞬間を中心に、ヤンバルクイナの様々な行動を紹介し、あわせて沖縄・山原（ヤンバル）の自然保護を訴える。

いま遺言がクローズアップされている。遺言を作ろうとする人が１０年前の２倍に増えているという。その背景としては不動産の値上がりと、一般に言われる「家の崩壊」で財産をめぐる骨肉の争いがある。遺言の公正証書は、まず遺言を残したい人の考えを公証人が聞いて文書にし、利害関係のない証人が立ち会って確認して出来上がる。番組では東京の世田谷公証役場にカメラを据え、遺言作りをする老人たちの姿を追いながら、残された妻の老後保障を例に今日的な社会現象をえぐる。

世界中に動物たちを訪ねてきた“ムツゴロウ”こと畑正憲さんの特集番組。未放送のＶＴＲから面白い素材を厳選、またなつかしい“友人”たちを訪ねて動物たちと再会したり、新しい友人や自然との出会いを紹介する。◆ムツゴロウさんは１９８０年（昭和５５）以来、世界３０数カ国をおとずれて動物・自然、そして人間との交流を深めてきた。彼は動物とのスキンシップを言葉として、互いに意思を通じあわせるという独自のやりかたで動物たちに接してきた。乗った動物だけでもダチョウ、バク、ゾウ、カバ、ラクダ、トナカイ、スイギュウなど色々。

評論家・立花隆が医療現場からのリポートなどを通して、死に対する新しいつきあい方を医学生とともにさぐるシリーズ。（１９８６年３月３日〜３月４日放送、全２回）◆第１回「脳死の周辺」では、これまでの常識をくずす一つの事態としての脳死について、それを死とするかどうかを臓器移植とのかかわりで考える。脳死を人の死と認めるかどうかについての論議がたかまっている今、一般市民に「脳死」の本当の意味がどこまで理解されているのだろうか。「植物状態」など、脳死とまぎらわしい症状を検討しながら、脳死の人間の頭の中では、何が起こっているのか、脳死を人の死と認めてよいのかを、医学生とともに考えてゆく。

結婚を前に、５歳の時に別れたきりの父に会いに行く娘。彼女の胸には父の部屋から持ち出した一枚のジャズ・レコードが抱かれていた。◆二日後に東京に嫁ぐ娘・みどり（三田寛子）は、１７年前に別れた実の父に会いに行くために、稚内行きの列車に乗っている。レコードを返しに行くという口実があるが、会ってどうするか決めているわけではない。ただ、一目会って心の整理をつけたかったのだ。

「俺ら東京さ行ぐだ」で一躍人気を得た吉幾三を中心に、三上寛、伊奈かっぺい、さらに大正１２年に２４時間かけて上京したという大先輩・淡谷のり子を加え、津軽弁を主役に青森県人だけで繰り広げるステージショー。

丹後と若狭の境、青葉山にある金剛院は平安時代、高丘親王によって創建された古い寺である。この寺に伝わる数々の仏像を紹介する。◆金剛院には、快慶が若い頃情熱を傾けた二つの作品がある。その一つ、深沙大将立像は作者のエネルギーがほとばしっているような像である。深沙大将は、多聞天（仏法を守護するインドの神、四天王の一つ。怒りの相を表わし身に甲胄をつける）の化身といわれ、その姿は密教図像を通じて中国から日本に伝わった。像の手のひらに刻まれたのみの跡には、ひたむきに密教図像を学んだ快慶の姿をほうふつとさせるものがある。

大阪市東成区深江は、古くから鋳物の町として栄えた。角谷一圭は祖父の代から続く釜師の家に生まれ、幼い時から鋳物の世界に親しんできた。伝統の名品「古芦屋釜」との出会いが、釜師になるきっかけだった。◆角谷は人知れず苦行を重ね、妥協を許さぬ強い意志で釜の生命であるデザインに独自の境地を開き、他の追随を見ない逸品を世に送り出した。