戦争体験を持つ女性が、子どもたちに戦争の悲惨さを直接語りかけるシリーズ。◆愛知県の鈴木三枝子さん（６２歳）は戦時中、東京の飛行機工場で動員学徒の教育係だった。空襲で逃げる時、生産記録のノートを落としてしまい、スパイとして憲兵隊に連行されたこともある。全国各地から動員された若い女子学徒たちは、一昼夜立ちっぱなし、飲まず食わずで働かされた。最低の人権さえも奪われた、軍需工場での苛烈な日々を語る。

“東国一の名湯”といわれ、昔からたくさんの湯治客を集めてきた群馬県草津温泉を訪れ、温泉を中心に暮らす人々の生活の知恵を紹介する。効能の秘密は５寸くぎを１０日で溶かすという強い酸性湯。湧き出す湯はとても熱いが、効き目を弱めないように薄めずに入浴する。草津には時間湯、合わせ湯、かぶり湯など独特の入浴法が発達し、「湯揉み唄」などの民謡も生まれた。

自らの人生のスタート点となり、思考の原点となった郷里と母校。各界の第一線で活躍する人々がその母校の教壇に立ち、後輩たちに自らの培ってきた“知識”を伝えようとするとき、そこにはどんな授業が展開されるのであろうか。その姿を追いながら、知ることの楽しさ、学ぶことのすばらしさを伝える。全３回。◆第２回は、瀬戸内の人口４千人ほどの広島県生口島で生まれ育った日本画家・平山郁夫さん。小学校時代に絵心にめざめた平山さんが描いた、当時の瀬戸内の島々の絵はいまも手元に残してあるという。こうした絵を使いながら、広島県豊田郡瀬戸田町立瀬戸田小学校の子どもたちに図画の授業を行う。

能ワキ方宝生流の森茂好は、美声と芸風で他を寄せつけない。ワキの心と技の真髄を聞く。◆能のワキは舞うことも面をつけることもなく座り続けることの多い辛抱役である。「シテは陰にうたえ。ワキは陽にうたえ」の先代の言葉通り、シテを超えず、こびず、和して競う境地こそ森茂好が求めるものである。

自らの人生のスタート点であり、思考の原点となった郷里と母校。各界の第一線で活躍する人々がその母校の教壇に立ち、後輩たちに自らの培ってきた“知識”を伝えようとするとき、そこにはどんな授業が展開されるのであろうか。その姿を追いながら、知ることの楽しさ、学ぶことのすばらしさを伝える。全３回。◆第３回は、石油化学のエキスパートの昭和電工会長・岸本泰延さん。石油を原料とするものを例にとって、その性質を調べながら、それを利用して生活にどう役立てるかを教える。授業を受けるのは岡山県岡山市立可知小学校の子どもたち。

北アルプス立山連峰で、過酷な自然条件の中で子育てをするライチョウの珍しい生態を紹介する。◆南北アルプスにのみ生息し、厳しい冬にも高山地帯にとどまりつづけるライチョウは、特別天然記念物に指定され数はおよそ３０００羽。３月、ライチョウは真白な冬羽に足指の先まで覆われ、雪の上も沈まずに歩く。群になって生活し、ハイマツの若芽を食べて飢えをしのぐ。５月の繁殖期に入ると雄は縄張りを争い、雌の気を引くために尾羽を広げる。雌を獲得したあとも、雄は縄張りに入ってくる他の雄を見張り、追いはらう以外のことはしない。交尾は条件を見はからって雌が主導し、子育ても雌が行う。

輸入食品の激増は、一方で食べ物の安全性の問題を投げかけている。トルコ産のナッツ、スウェーデン産のトナカイ肉などのチェルノブイリ放射能汚染は大丈夫か、添加物入りといわれる韓国製即席メンはどうかなど、拡大の一途をたどる輸入食品の安全性の“チェック体制”に的をしぼり、その現状を明らかにして対策を探る。（１９８７年４月１１日開始、全２回）

その紬は透明度があって丈夫で、軟らかくて腰が強く、渋みがあって暖かい。日本人の普段着「絣」。縦横二筋の単純な糸の組み合わせを、新しく現代によみがえらせた宗廣力三の絣織。◆精ちな技は、糸が奏でる美の世界を究極まで追究する。多くの若者を育て、土地の産業として紬織りを定着させた手腕は、美と善の集大成でもある。