中国残留孤児の影にかくれ、存在をあまり知られていない中国残留婦人を訪ね、祖国から忘れられたまま老いてゆく彼女らの現状と感慨を伝える。◆中国吉林省に発し、黒竜江省のハルピンを通って黒竜江に合流、やがて日本海へと注ぐ松花江。終戦後に日本へ戻れぬまま、生きるために中国人の妻となった残留婦人はこの川沿いにも点々と暮らしている。１９８７年冬、松花江沿いに暮らす３人の残留婦人を訪ねる。

激動する国家の中で生き残りの道を求める加賀藩の努力や、廃藩置県直後の金沢の姿など地方史の一断面を描く。◆明治開幕の前年、慶応３年に英仏の船が石川県の七尾港に入港した。この時の英国人通訳アーネスト・サトウは、幕府にもつかず倒幕側にもつけない加賀藩のあいまいな態度を指摘している。結果として加賀藩は維新後の中央政府から締め出されるかたちになる。◆「ドキュメント石川　維新・デモクラシー・大戦」

新潟県の山間豪雪地の安塚町が取り組んだ大イベントの舞台裏を描き、過疎地の地域おこしのあり方を問う。安塚町は町起こしの起爆剤として東京の後楽園球場に大量の雪を運び込み、ジャンプ台やカマクラをつくって都会の人に雪を楽しんでもらおうというイベントを企画した。役場の総務課長を本部長とする実行委員会を中心に、町内の多くの人たちが何らかの形でこの企画に参加し、イベントは見事に成功した。

東京の大手町・日比谷・兜町の東京証券取引所を結ぶ三角地帯には、いわゆるジャパンマネーを狙う外国の銀行や証券会社が次々と進出し、「トウキョウ・トライアングル」と呼ばれているという。その実態を伝える。◆世界の株価や為替を大きく動かすようになったジャパンマネー、１日の取引額は１０兆円におよぶ。トライアングルの外国金融マンも１年で倍増、５０００人を超えた。ウォール街やシティと連動し、世界の金融相場を左右するようになったこの街の、１９８７年１０月１９日、大恐慌の再来かと思われた株大暴落の一日を中心に、２４時間を追う。

自らの人生のスタート点となり、思考の原点となった郷里と母校。各界の第一線で活躍する人々がその母校の教壇に立ち、後輩たちに自らの培ってきた“知識”を伝えようとするとき、そこにはどんな授業が展開されるのであろうか。その姿を追いながら、知ることの楽しさ、学ぶことのすばらしさを伝える。全３回。◆第１回は、地域学習のパイオニアであり、今良寛と親しまれる高橋延清さん。東京大学名誉教授でありながら一度も教壇に立ったことがないという“どろ亀先生”こと高橋さんが、北海道演習林から得た知識をもとに、森のいのちの不思議、生態系の連鎖を、岩手県和賀郡沢内村立猿橋小学校の４・５年生２１人を相手に教えていく。

エイズは、治療の決め手がない中で、医療の問題である以上に社会問題になろうとしている。１５０万人以上のエイズ患者を抱えるアメリカの対応を追い、日本への教訓を探る。◆アメリカの社会の意識は、エイズをただ恐れる段階から冷静に対処する段階へと変わりつつある。カウンセラーの養成、患者の世話をするボランティア、受け入れる企業などがそれである。日本でも女性患者の出産が行われるなど、対岸の火事と言ってはいられなくなっている。人権を守りながら効果的なエイズ予防策を進めるためには何をすればいいのか考える。

中尾ミエ、森山良子の司会で、芸能人、スポーツ選手、文化人など各界の有名人（原則として男性）をゲストに迎えて、一歩踏み込んだ大人の話を聞くトークバラエティ。（１９８７年３月２７日終了、全３６０回）◆この回のゲストは伊東四朗。シリアスドラマや司会者としても活躍中だが、本人はあくまで“喜劇役者”と言いきる。オカマ役を演じた時のエピソードなど仕事の話のほか、家庭でのグウタラぶりも披露する。

「もはや戦後ではない」と言われた昭和３０年ごろからの約３０年間の東京に生きてきた３人が、それぞれの記憶と現実をもとに「東京論」を展開するシリーズ。（１９８７年９月２３日終了、全３回）◆第１回は、中野生まれの作家・黒井千次氏。東中野、高円寺、吉祥寺、国分寺など、旧国電中央線に沿って転居をくりかえし、各駅ごとの土地に思い出を持つ黒井氏が、その思いを６編のエッセイに書き下ろす。