地球の姿が変わりつつある。いつも目にしてきた大気や水が汚れ、自然本来の豊かさや美しさが失われつつある。世界各地からの報告をもとに、未来の子どもたちに残す「環境」を考える。◆酸性度が強く、生物の住めない澄みきった湖。スウェーデンでは石灰中和を試みている。周囲の国から大気汚染の大原因と非難されているポーランドも、石像が溶けるほどの酸性雨に見舞われ国民にも健康被害がでている。温暖化現象により、両極の氷が溶けて低地は洪水に、また穀倉地帯は旱魃に襲われる。日本でも、千葉県の川で奇形のおたまじゃくしが多く見られるようになったり、ゴルフ場の多い町で水から発癌物質が検出されたりしている。

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」で始まる、平家物語の流麗にして哀調を帯びた語り口。悲運に生きた建礼門院（１１５５〜１２１３）の生涯と、寂然と京の奥にたたずむ寂光院の歴史の周辺を見届ける。◆建礼門院は出家後、わが子安徳帝と母の二位尼の供養に明け暮れた。壇ノ浦で平家一門中ただ１人救い出され、苦しみの一生を生き延びた建礼門院の悲哀。平家物語の最後、後白河法皇の「大原御幸」をからめ、人の世の哀れをいとおしむ。◆【国宝】平家納経〔厳島神社〕◆【重要文化財】地蔵菩薩立像〔寂光院〕◆【その他】三尊仏来迎図〔寂光院〕、建礼門院木像、安徳天皇御衣幡〔長楽寺〕

瀬戸大橋の建設で、瀬戸内海をとりまく地域の状況は激しく動き始めた。検証・瀬戸大橋時代をメインテーマに、瀬戸内エリアの観光・経済などの新しい動きをタイムリーに伝える。（１９８８年５月７日～１９８９年９月３０日、全６９回）◆伸び続ける山陽自動車道のその後を追う。

この世の栄華を極めた平清盛によって造られた厳島神社と平家納経に表現された光の美しさを、照明デザイナーの石井幹子さんが追い、また夜の社殿を照明に浮かび上がらせる試みを描く。◆厳島神社が創建されたのは５９３年、推古天皇の頃と伝えられる。のちに夢のお告げを受けた平清盛がここを平家一門の守護神とし、現在の形の社殿を造った。潮が満ちれば、回廊で結ばれた建物の隅々にまで水が及んで朱塗りの柱や白壁を鏡のように映し、揺れる水面に反射した光は軒や壁に美しい模様をつくる。◆また清盛が栄華への感謝と極楽往生への願いをこめて造らせた平家納経も、金銀や色彩を惜し気もなく使った輝かしい美しさで知られる。

遺言状をめぐり鋭く対立する長男と異母弟を描く。◆長田立夫の義母・則子が入院した。陽子が差し出した古い千円札を見てショックを受けたのだった。陽子はその千円札で長田家の土地を全部売ってくれといった。陽子に理由を聞こうとアパートを訪ねた立夫はそこで意外な事実を聞かされる。陽子の出した千円札は戦後、新円封鎖の直前に発行された幻のような短命な札で、立夫の父はその金で陽子の祖母から土地を奪うように買ったのであった。（１９８９年１２月１６日開始、全２回）

スターがスターのものまねに挑戦、トーナメント方式の勝ち抜き戦でグランプリを目指して競い合う。火曜ワイドスペシャル。

第２次世界大戦勃発から５０年、繁栄の道をたどる西ドイツで、人がいかに戦争の罪や傷と向かい合っているかをとらえる。◆ナチス・ドイツの戦争犯罪の象徴ともなっているアウシュビッツ強制収容所で、青年たちが労働奉仕しながら歴史に対する理解を深める。３０年前に設立された「ナチス犯罪追及センター」は今も活動し、責任を追及している。右翼政党が勢力をのばす一方で、戦争の責任から目をそらさないドイツの国家としての生き方を掘り下げる。

都会のけん騒を離れ、山里に住むことに憧れた日本人。大原の里はその昔、貴族たちの閑居の地としてブームを呼び寺院も建った。比叡山のふもとにある三千院は、女人信仰の寺で皇室の門跡として各寺の中心だった。宗教音楽の発祥地といわれ、邦楽のルーツである「声明」はここで生まれた。樹林の奥深く建つ往生極楽院は、大原の自然と溶け込んだ古刹で、静けさの中に往時の美を残す。◆【重要文化財】往生極楽院阿弥陀堂、阿弥陀如来両脇侍坐像、救世観音半跏像、不動明王立像〔三千院〕、来迎院三重塔〔来迎院〕◆【その他】三千院施餓鬼会