太平洋戦争の主戦場となったアジアの国々。これらの国々の運命はこの戦争によって決定づけられた。世界史的な視野からアジアと太平洋戦争を描く４回シリーズ。（１９９１年８月１５日終了）◆第１回はインドネシアの独立宣言に至る経緯。インドネシアではスカルノを中心とする独立派が、太平洋戦争終結の直後にインドネシア独立を宣言した。終戦からわずか７２時間のうちに宣言を発した独立指導者たちのたぐいまれな政治感覚と、彼らに協力した日本人たちの息づまる秘話を描いた。

厳戒体制が続いていた長崎・雲仙普賢岳では６月３日、大規模な火砕流が発生して４３人の死亡者・行方不明者を出した。火砕流とは何か、地下のマグマはどう動いているのか。雲仙岳の活動を科学的に分析し、避難体制に警鐘を鳴らす。

日ソ間に横たわる問題をテーマに５回にわたって特集する。（１９９１年４月１〜５日放送）◆第２次大戦の末期に満州に進駐したソ連軍によって、６０万人におよぶ日本兵が捕虜になった。彼らはソ連各地の収容所に連行され、強制労働に従事した。１１年間もの抑留期間に、寒さや飢餓により６万人近い将兵が死亡したがその埋葬地や抑留の実態は明らかにされていなかった。１９９１年４月のゴルバチョフ大統領の来日に当たって、抑留者名簿が日本に渡されることになった。

中世の芸術は、工房と呼ばれる共同制作と徒弟制度の機能の中で生産されていた。ルネサンスは、こうした工房職人の制作作業の中から表現上の革新が起こっていく時代であった。工房というユニークな創造の現場からマザッチオやダ・ヴィンチという逸材が輩出される。◆新鮮という意味の「フレスコ」画の壁画制作、遠近法の導入など。『聖三位一体』や『楽園追放』などを具体例として創作技術を探り、近代絵画の源流となる美の挑戦者たちを描く。◆ユダの接吻、キリストの磔刑（ジョット作）、キリストの洗礼（ヴェロッキオ作）、天使（レオナルド・ダ・ヴィンチ作）、楽園追放、聖三位一体（マザッチオ作）

穴山小左衛門という小ざむらいが、年越しの金に困り友人の松野陸奥守に無心を頼んだが、遣いの者が間違えて松平陸奥守の屋敷へ行ってしまう。穴山という名前は記憶になかったが、大名中の大名と見込まれての無心とあっては…と大金を持たせて返す。驚いた穴山が処置に困るが、智恵伊豆のはからいで円く収まる。◆「陸奥間違い」・作／池上勇・曲師／加歌恵・玉川福太郎

「読書する少女」。肩越しに窓の光が差し込み、本に反射して彼女の顔に柔らかく当たる。光と少女たちをこよなく愛し、広いキャンバスに描きつづけた印象派の画家、オーギュスト・ルノワール。描く表情や服装に世紀末の移りゆく時代相・風俗が活写されている。彼の絵にはくつろいだ表情と、素朴な生き生きとした市民がいる。「私は絵筆で愛を交わすのだ」と語っていた。近代化していくパリは変わり、以後暗い絵画が多くなる。◆ピエール・オーギュスト・ルノワール（１８４１〜１９１９）「読書する女」１８７４、「ピアノを弾く娘たち」１８９２、「ぶらんこ」１８７６、「雨傘」１８８１−８６、「赤い道化師」１９０９、アンドレ作「家族を描くルノワール」１９０１

１９８７年６月１日の放送開始以来、６０００回を超えて続く長寿ミニ番組。列車での旅を通して、美しい風景とそこに住む人々の生活を描く。◆今回は「車内販売」と題して、イギリスの保存鉄道・フェスティ二ヨグ鉄道を紹介する。

ガラス絵は１７世紀に西洋で始まり、中国を経て江戸後期、長崎に伝来した。板ガラスに普通の絵とは逆に描き、裏返して見る。浮世絵版画と共通したところがあり、当時北斎を筆頭に江戸浮世絵のらん熟期と重なり多くの絵師が競って描いた。新奇さと不思議な情緒に豪商や粋人の間でもてはやされた。浮世絵との出合いで日本独自の様式を形成したが、ほとんどは作者不明である。明治に入って急速に衰え、わずか１００年のきらめきで消えた◆画本彩色通〔今治市河野美術館〕、長崎名勝図絵〔長崎市立博物館〕、浮世絵風俗美女競万点水蛍〔日本浮世絵博物館〕、洛中風俗図屏風〔東京国立博物館〕