１９８８年１１月、ＮＨＫ放送文化研究所が行った「昭和世論調査」をもとに、激動の昭和を個人史と全体史の両方から分析、表現する。◆調査は１６歳以上の男女３６００人を対象に、昭和という時代の時代観を２９項目にわたって質問し、２５７３人（７２パーセント）から回答を得たもの。この調査の結果をもとに日本人の“昭和像”を評論家の草柳大蔵さんが分析するほか、女優の沢村貞子さん、美容家の山野愛子さん、脚本家の早坂暁さん、作家の安岡章太郎さん、漫画家の水木しげるさん、女優の森光子さん、ジャズドラマーのジョージ川口さんなどから昭和の個人史を聞き、価値観を探る。

リクルート事件をきっかけに、戦後最大の政治的危機と評されるほどに国民の政治不信が高まっている。最終回では財界人や有識者、一般国民の具体的・建設的な提言を通して、政治改革の可能性を探る。（１９８９年４月２日開始、全３回）◆出演は内田健三、後藤田正晴、石原俊、高坂正尭、立花隆、安原美穂、山口鶴男、大久保直彦、米沢隆、金子満広、阿部昭吾、吉野俊彦の各氏ほか。

京都の東寺は、数多くの国宝がある真言宗の寺。現存する塔では最も高い五重塔で有名。また講堂には、密教の仏像が２１体も立ち並ぶ。うち１５体が国宝で、弘仁様式と呼ばれる仏像彫刻の傑作。大日如来を中心とし五智如来・五大菩薩・五大明王を左右に配した構成で、密教の根本教理の曼陀羅世界を立体的に表現したもの。「智拳印」という仏像の手の結び方の意味を説き、また壮大な大宇宙を具現化した密教美を味わう。◆【国宝】教王護国寺（東寺）の五重塔、大師堂、五大菩薩坐像、梵天坐像、帝釈天半跏像、四天王立像、両界曼陀羅図〔教王護国寺〕

１０００人にのぼる日系ブラジル婦人が付き添い婦として働いている。家族と離れ遠い日本へ出稼ぎにやってくる彼女たちの暮らしを追う。◆藤千恵子さん（４３歳）はブラジル生まれの日系２世である。昨年４月に夫と３人の子供をサンパウロに残したまま、寝たきり老人の付き添い婦になるために初めて日本に来て蒲田の個人病院で、８８歳の女性に付き添うことになった。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆蜷川幸雄：演出家。１９３５年埼玉生まれ。１９５５年劇団青俳研究生、１９６７年稽古場公演「ボルヒェルトの作品からの十二章」で初演出。演出のほか、映画監督やテレビ司会者としても活躍。「近松心中物語」再演で１９８１年芸術祭大賞を受賞。このほか主な演出作品に「心情あふるる軽薄さ」（１９６８年）、「王女メディア」（１９７８年）など。

インドに住む８億人のヒンズー教徒の信仰の拠り所・ガンジス河。この全長２６００ｋｍのガンジス河の雄大な自然と、信者たちと河との関わりを、２回にわたって紹介する。◆第１回。デリーから源流のリシュケシュまでを辿りながら、ヒンズー教徒の行者たちの修行の様子を紹介していく。

京都五山の雄、天龍寺。南北朝動乱で悲運の死を遂げた後醍醐天皇の霊を祭るため、夢窓疎石が足利尊氏に献策して建立された寺である。◆時を大きく動かした両雄から共に信任を得、２人の融和に心を砕いた夢窓疎石の心の葛藤。天下の名庭の内に秘められた特異な歴史展開を底辺に、鎮魂の寺・天龍寺建立の意義を振り返る。そして夢窓疎石の禅の理想を表現した名庭の隅々までを観賞し、天翔る龍の寺から歴史の綾を見透かす。◆【史跡・特別名勝】天龍寺庭園◆【重要文化財】応永釣命絵図〔東京国立博物館〕、青磁の花瓶、香炉〔天龍寺〕◆【その他】夢窓国師像〔臨川寺〕

１，２００年前、たった１人の青年僧が比叡山の隅に草庵を編んだ。自らの仏教の理想を追究しようと烈々たる決心を発願した。その時灯した灯明は、永劫絶えることなく今も燃え続けている。◆比叡山延暦寺を開いた伝教大師最澄（７６７〜８２２）の、理想と信念のすべてを明らかに。また法然・栄西・親鸞・道元・日蓮・一遍などの一宗の祖たちが比叡山から巣立っていった、日本仏教のふるさと・延暦寺の全容に触れる。◆【国宝】延暦寺根本中堂、伝教大師将来目録、天台法華宗年分縁起〔延暦寺〕◆【重要文化財】延暦寺の戒壇院、瑠璃堂、常行堂及び法華堂、大講堂、千手観音立像〔延暦寺〕