日本に住む韓国・朝鮮籍の人々の８割は、結婚・就職をはじめとする多くの差別と偏見のために、日本名を名乗ることを余儀なくされてきた。本名、その日本読み名、日本名と３つの呼び名をもつ男性の生き方を通して在日朝鮮人の苦悩を描く。◆彼は子供の頃から日本名を使い、１５年前に日本人女性と結婚する際に日本国籍を取り、帰化した。しかし子供たちに「自分が何物であるかを包み隠さず語りたい。差別に負けず、胸を張って生きる人間になってほしい」と願い、日本名を捨てて生きる決心をした。

素朴な柄模様で庶民的なぬくもりに満ちた久留米絣は江戸中期に井上伝によって完成され、庶民の衣服に革命をもたらした。その技術は福岡県久留米地方に今も受け継がれ、松枝・森山両家が文化財としての誇りを守っている。◆純白の木綿糸に新しい命を吹き込む藍染めの人間味豊かな営みが、筑後平野の自然を背景に息づいている。

明治末期に来日、福岡市に私立学校を創設したバプテスト教会の宣教師チャールズ・ケルシイ・ドージャーの生涯を描く。西南学院創立７０周年記念番組。◆１９０６年、極東の小国日本は大国ロシアを破ったことで世界の注目を集めた。米国ジョージア州アトランタのバプテスト教会も日本に注目していた。神学校を終えた２７歳のドージャーは日本行きを決意、妻モードを伴って長崎の土を踏む。福岡に男子中学校を創設することに情熱を注ぎ、１９１６年４月、西南学院創立。しかし戒律に厳しく、安息日である日曜日にスポーツをすることを禁じて学生と対立し、辞任に追い込まれる。

東京サミット…世界の目が東京に注がれた２日間。世界経済を話し合う場が今、政治サミットの色合いを濃くしている。経済大国になった主催国日本に対する各国報道陣の見方も大変厳しい。今回のサミットをどう評価するか、日本についてどう思うか、中曽根首相の役割は、通貨問題、貿易障壁は、軍事問題、国際社会における日本の位置、将来国際的発言力のある政治大国になりうるかなど、これまで１１回開催されたサミットを取材してきた世界の第１線の取材記者に日高義樹ＮＨＫ特派員がきく。◆副音声は英語

　「シリーズ・４１年目の夏に」の３回目。応召先の旧満州から内地の妻あてに出されたもと音楽教師の葉書の裏にしたためられていた楽譜にスポットを当て、改めて戦争を見つめ直す。シリーズ４１年目の夏に。◆読売新聞が募集した“昭和の遺書”には約千通の応募があった。佐倉久隆さんもそのひとり。望郷の思いを込めて軍事郵便葉書にしたためられていた父の歌を、一人でも多くの子供たちに歌ってほしいと思ったのがきっかけだった。久隆さんの父・晴夫さんは小学校で音楽を教えていたが、１９４１年（昭和１６）に召集を受け中国大陸へ向かい、戦後になって現在の黒竜江省の地で病死、帰らぬ人となった。久隆さんの思いを受け、かつて晴夫さんが教えていた小学校に唱歌「遠足」が響いた。

世界有数のアオサンゴ群落を含む美しい海、沖縄県・石垣島の白保海岸。そこを埋め立てて新空港を建設しようという計画が持ち上がって７年になる。計画が進むなかで行われた石垣の市長選挙をめぐるルポルタージュ。◆石垣島の石垣市長選挙は、保守と革新が毎回激しい一騎打ちを繰り広げてきていた。しかし今回は空港予定地である白保から住民運動のリーダーが加わった。これまで選挙とは無縁だった住民組織を支えるのは、自然とともに生きてきた年配の女性が多い。人口４万３千人の石垣島。９７パーセントという高い投票率での選挙の結果はどう出たのか。

広く全国各地の青年たちに意見発表の場を提供し、現代の若者たちが何を考えているかを一般の人々に訴える。テーマは、?「思いっきり青春〜私の挑戦・私の夢」、?「青春出会いの時〜私を変えたあの人あの事」、?「世界へ向かって青春〜国際化時代の若者として」。コンクールへの応募資格は１５〜２５歳の青年で、この第３２回は４２５９編の原稿応募があった。◆成人の日（１月１５日）に放送された１２０分から、発表の部分をまとめたもの。

１９８６年（昭６１）２月２５日、マルコス大統領が国外へ脱出したことにより、２０年間にわたったマルコス政権は崩壊した。この日の昼、マルコス大統領は就任式を行ったが、実は既にこの時、マルコス体制の終わりを覚悟していた。それでは、マルコス政権はどのような経過をたどり、何が決定的な要因となって崩壊したのだろうか。軍部の反乱、アキノ派の行動、そしてアメリカ側の対応などが、複雑に絡み合っている。このマニラとワシントンを舞台に演じられた政変劇を、さまざまな事実・証言によって検証した国際政治ドキュメントである。