江戸時代、武家の裃に用いられて発達した小紋。その紋様を創り出すのが伊勢型紙。型を彫る技術の中で最も難しく、最後に行き着くところが縞彫りといわれる。◆この道６０年の児玉博は、より細い縞の彫りを追求。江戸時代３センチに２４本が限界とされてきたものを３３本にまで増やし、職人の意地をみせた。針の先より細かい刃先で彫る１本１本の線。単調で神経を使う仕事は心との葛藤でもある。

幕末から明治維新という近代国家形成の激しい流れの中に生きた男・西郷隆盛の波瀾万丈の生涯を描く大型時代劇。◆安政の大獄の後、奄美大島・徳之島へと二度の流罪、さらに沖永良部島への遠島と、苛酷な運命に耐えた西郷（里見浩太朗）。ようやく許されて鹿児島へ帰り、イト（秋吉久美子）を正妻に迎える。やがて倒幕の動きが本格化、西郷は鳥羽・伏見の戦い、江戸開城、彰義隊討伐と倒幕運動を指揮する。維新なって明治４年、政界に復帰した西郷は、徴兵令、廃藩置県と数々の政策を断行するが、明治６年、征韓論に破れて盟友・大久保利通（近藤正臣）と決裂する。

戦国の世は徳川が制したが、幕府に対する不満や陰謀の火種はいまだくすぶり続けていた。世の太平を守らんとする徳川三代将軍・家光の活躍を、弟・忠長との継承争いや幾多の陰謀、由井正雪の慶安事変などを通して描く、長時間時代劇。（全六部・１３話）◆将軍職の宣旨を受けるため京に上った家光は、幕府転覆を企てる由井正雪、天下動乱を図る甲賀甚内、将軍の座を窺う越前藩主松平忠直、そして公卿・九条実知らにつけ狙われる。数々の危機を乗り越えようやく宣旨を得た家光は、同時に鷹司家の姫君孝子の心を射とめ、妻に迎えることを約すのだった。

地球上のさまざまな景観を紹介し、その背後に秘められた４６億年という地球史のドラマを特殊映像によって再現。水や大気など、人間を支えるすべてのものがその中からつくられてきたことを伝えるシリーズ。（１９８７年１月２５日～１２月２７日放送、全１２回）◆第１１回は、生命を守る防護壁ともいうべき多重バリアーの仕組みを紹介する。地球表面は大気によって強い光、放射線、隕石がとびかう宇宙の厳しい環境から隔てられている。ほどよい気温を保つ対流圏の濃い大気、太陽の強い紫外線を吸収する成層圏のオゾン層、宇宙線の突入を防ぐ磁気圏、これら地球の防護壁を垂直にたどる。

「シルクロード」に続く本格的な日中共同取材番組の第２弾。世界４大文明の一つ、黄河文明を生み育てた黄河全流域を旅し、千変万化の大自然、文明と歴史、さまざまな民族の暮らしを混然一体としてとらえる。全１０回の大型ドキュメンタリーシリーズ。（１９８６年４月１３日〜１９８７年３月８日放送）◆第９集では、大和の地で天平文化として花開いた仏教伝来の道を黄河流域にたどる。インドからシルクロードを経て中国、そして日本へと仏教は東漸してきた。４世紀以降、この道に開かれてきた炳霊寺、麦積山、龍門などの壮大な石窟寺院を訪ねる。

ＮＨＫ特集「大黄河」をテーマ別に再構成したシリーズ。紹介しきれなかった映像を中心に、黄河の風土・文明を周辺に生きる人々の生活・文化にふたたび迫る。（１９８８年３月３１日終了、全２０回）◆第１回は、黄河の河源および河口を旅しながら、不思議な風景や動物たちにスポットをあてる。全長５４６４キロ、単なる河というイメージを超えた黄河の姿をとらえる。

日本経済新聞紙上で１９５７年（昭和３２）３月に始まった「私の履歴書」のテレビ版。一時代を築いた人物が出演、自らについて語る。（１９８７年４月８日〜１９８８年９月２８日、全７８回。出演者の肩書・年齢は放送当時のもの）◆第９回は元読売巨人軍監督、野球評論家の川上哲治さん（６７歳）。

子どもたちの興味を引く海の生物のミステリアスな生態を、バラエティー豊かなコーナーで紹介する。生物がもっとも神秘的な姿を見せる受精や産卵、孵化、誕生に至る場面などを、様々な映像技術で多角的に研究する。（１９８７年３月３日開始）◆全長２０００キロ、日本列島もすっぽり入ってしまう世界最大のサンゴ礁、オーストラリアのグレート・バリア・リーフから、サンゴのなぞに迫る。昼間は石のようなサンゴだが、夜は触手をなびかせ、動物プランクトンを捕まえて食べる。また、サンゴの赤ちゃん・プラネラ幼生は、波に乗って遠くの岩礁へと旅立つ。このような珍しい生態を紹介していく。ほかに、佐渡にある魚の温泉リポートも紹介。