横浜市の野毛通りは、横浜開港の頃、東海道から外国人居留地のあった港方面への唯一の進入路であった。あらゆる外国文化が通ったこの道の歴史をふり返る。◆野毛本通りは、野毛坂を下って関内にぬける都橋までの全長約４キロの道である。横浜港での外国貿易と共に日本に入ってきた異国文化は、この野毛通りを通って日本全国に伝わっていった。知られざる野毛通りの今昔を伝える。

現代の中学生に取材し、抱えている問題をドラマ化して伝える長寿番組。関心の高いテーマをいち早く取り上げることにも定評があり、１９８８年は「校則」をテーマに２回連続シリーズとして放送した。◆校則への反発から私服登校を始めた昌子だが、予想以上の目だち方に気疲れして制服に戻る。しかし校内放送で校長が一人のわがままな行動に惑わされないように、といったことに再び反発、今度は自分が納得するまでは止めまいと思う。同調する者もあらわれ、校則について皆で考えようという動きもおこるが、ＰＴＡの動きや受験優先の発言で結局しぼんでしまう。少しづつ輪を広げようという担任の言葉も空々しく聞こえ、昌子はここはいつまでもいる学校ではないと心に決める。

熊本県内各地で歌い継がれる「ふるさとのうた」を紹介するシリーズ（１９８８年４月３日～１９８９年３月１９日放送、全５０回）。『肥後シリーズ』は１９８６年日本民間放送連盟賞（放送活動部門）受賞。◆かつて新しい家が誕生する時には、地区の人たちが力を合わせて大きな棒で石を地面に打ち込んで土台を固めていた。その作業で歌われていたのが「どつき唄（じつき唄）」である。飽田町、球磨郡上村、砥用町から、唄と踊りを紹介する。

能管とは、能における唯一の管楽器＝笛である。能や謡曲が盛んな加賀に生まれ、幼いころから邦楽に親しんだ林豊寿は、能笛方・森田流の師範で木型工の腕もある。「自分の笛は自分で作りたい」と念じ、特定の師にも付かず、能管開発に研さんを積んだ。科学では解き難い音の神秘を追究。３０にもおよぶ工程に力と繊細さと竹に対する愛情を込め、２年半もの歳月をかけて、美術品の笛を作る。

口語歌集がベストセラーになったことで注目を集める口語短歌だが、６０年前の大正期にも口語で短歌を詠んだ少女がいた。１６歳で亡くなった歌人・山川弥千枝の短歌を紹介しながら、それを生んだ時代背景と彼女の人物像を探る。◆文語による短歌が全盛だった時代に出した作品集「薔薇は生きてる」は当時ベストセラーとなり、川端康成や高見順らから高い評価を受けた。歌人の母を持ち、ドイツ語教授だった父を早くに亡くした９人兄弟の末っ子。１３歳から短歌を作り始め、８０余りの歌を残して１９３３年（昭和８）３月に肺結核のため早逝した。

敦煌・シルクロードを２０年間に渡って描き続けてきた日本画家・平山郁夫氏。そのスケッチ旅行は５０数回、歩いた道のりはゆうに地球を１３周するほどになったという。集大成となる大作の制作に打ち込む姿を交え、その画業を紹介する。

世界各地に伝わる一風変わったゲームや未来スポーツを紹介する。◆力自慢の荒勢はイギリス・オッタリーの“火炎タルかつぎ”。地元のベテランに負けずと燃えさかる１００キロのタルをかついで約１０秒間、全力疾走し、拍手を浴びた。「これがスポーツの原点だ」と出場者全員がひや汗ものの初体験にチャレンジする。

哲学者の中村元さんが法隆寺東院伽藍にある聖徳太子坐像や救世観音と対面。太子の仏教観を再確認する。◆法隆寺東院伽藍のひとつ八角円堂の夢殿は周りを回廊に囲まれ、法隆寺の中でも特別なたたずまいをみせている。そのあたりは聖徳太子が住んでいた斑鳩の宮があった所で、太子と最も縁の深い聖地である。◆中村さんは聖徳太子の仏教観に深く打たれ、これまで何度も法隆寺を訪れている。「太子の説かれた“和をもって尊しとなす”の精神は、気づかないうちに我々に何かの形で受け継がれている。これは日本の精神史にとって大きな事柄だと思う」と、はるか太子へ思いをはせる。