重要無形文化財である「組踊」の現状を探り、『銘苅子』上演までの過程を見る。◆組踊は沖縄・琉球王朝に始まる舞踊・音楽・せりふの三要素からなる古典劇である。台本以外に資料がないため、保存会の人たちが再現に努力している。番組は東京国立劇場での公演に向けてのけいこから、公演当日までを追う。

１９４２年（昭和１７）中国・内蒙古からチベットの首都ラサ（拉薩）まで６千キロの巡礼行を敢行した西川一三の足跡を４回にわたって紹介する、その第３回。◆ゴルム市はラサへ通じる道の重要起点。崑崙山脈が目前に迫る。その難関を越えると無人の荒野で、マーモット、ナキウサギが顔を見せる。高山病に悩まされながら通天河を渡り、西川一三の追体験をする。

ササニシキのふるさと、宮城県古川市が舞台。農業は単なる産業でなく文化ではないかというテーマで、新婚夫婦にふりかかった事件を通して、農業の将来をドキュメンタリータッチで描く。◆秋のとり入れも終わったある日、近藤孝とあゆみの結婚式が行われた。その夜、おじやおばが孝の両親に財産分けについてたずねる。孝は「どうせ勤めているのだから、おじさんおばさんに田んぼを分けてもいい」というが、あゆみは農家の嫁になろうと決心してきたと反論する。若い二人を軸に未来の農家、農業のあり方をさぐっていく。

千代の富士が４場所制覇、圧倒的な強さを見せた１９８８年の大相撲のハイライト。◆春日野理事長が勇退して二子山新理事長が誕生した角界。横綱・千代の富士は５３連勝の大記録をうちたてた。その強さの秘密をコンピュータ研究。また、幕下以下では元貴ノ花・藤島親方の二人の息子がデビューするなど、未来の角界を担う力も現れた。頂点を極めた千代の富士と、頂点を目指す若者たちを中心に一年を振りかえる。

日本経済新聞紙上で１９５７年（昭和３２）３月に始まった「私の履歴書」のテレビ版。一時代を築いた人物が出演、自らについて語る。（１９８７年４月８日〜１９８８年９月２８日、全７８回。出演者の肩書・年齢は放送当時のもの）◆第６５回は友禅染色家・森口華弘さん（７８歳）。

薬師寺は６９８年飛鳥藤原京に建立されたが、平城遷都（７１０）に際して現在の地に伽藍が移された。白鳳時代の雄大でおおらかな文化を今に伝える薬師寺を画家の平山郁夫さんが訪ねる。◆国宝「薬師三尊」は厳しさの中に無限の優しさをたたえた薬師如来がゆったりと坐し、その左右に若々しい表情の日光・月光菩薩がそれぞれやや腰を曲げて優雅な美しい姿で立つ。一体一体の端正な造形に加え、三体の見事な調和がまさに浄土をつくり上げている。唯一創建当時の姿を残す東塔は一見六重塔に見えるが、これは各階に裳階をつけているためで、実は三重塔。優美な天人を透かし彫りにした頂上の水煙は特に美しい。

１２００年以上も前に建立された「奈良の大仏」の建立技術の謎を解解明する。◆１９８８年（昭和６３）３月、大仏殿の西回廊に近い傾斜地から大仏建立に用いられた炉片や多数の木簡（字句などを木の札に書きしるしたもの）が発掘され、大仏鋳造の物的証拠として話題をまいた。これによって当時の大仏の推定重量、金や銅などの資材の量、総動員数、建立方法などが裏付けられた。◆番組では、コンピューター・グラフィックスを使い大仏建立に用いられた古代の鋳造技術を再現し、その建立技術を解明する。

作家・津田さち子さんが園城寺を訪れ、１５年ぶりに封印が開かれる秘仏・黄不動と対面する。◆園城寺では智証大師１１００年の遠忌（５０年ごとの法会）を２年後に控え、１９８８年（昭和６３）春、秘仏「黄不動」が１５年ぶりに開封されることになった。「黄不動」には次のような言い伝えがある。智証大師２５歳の時、比叡山中で座禅中の大師の前に金色に輝く像が虚空から現われた。大師はただちに絵師にその不動の画像を描かせ、信仰の対象とした…。◆津田さんはこの２０年来、秘仏を求めて各地の寺を旅し、仏に寄せる人々の心をたずねてきた。今回黄不動の開封に立ち会えたことは仏の恩だと感謝している。