文学作品のゆかりの地を訪ね、風景やそこに暮らす人、その作品に影響を与えた人にふれることで、文学作品のもつ「もうひとつの世界」を探る、文学紀行番組の新シリーズ。第２集まで制作・放送された。（第１集／１９８１年１０月４日～１９８２年３月２８日放送、全２６回）◆第１回は太宰治の代表作「富嶽百景」（１９３９年）を取り上げる。太宰の命日にちなんで行われる桜桃忌に集まったファン、小説で描かれた富士山の麓、山梨県河口湖に住む人々、太宰と親交のあった人の話から、太宰治とはどのような人物であったのかを探る。また、評論家・作家の松永伍一氏が、「富嶽百景」が書かれたころの時代背景を解説する。近眼の太宰には富士山がどう見えていたかも検証する。

タクシー運転手・朝田英一の目を通して現代社会に生きる人々を描くシリーズ。（連続３回）◆第三話。英一（緒形拳）の同僚運転手・工藤（花沢徳衛）が引き逃げ事件に巻き込まれ、犯人の疑いをかけられた。実は事件直後の現場を通りかかった工藤が被害者を助けて通報したのだが、被害者は思い違いから「犯人の車はタクシー」と主張したのだ。英一は工藤の無実を証明するため、現場から立ち去った目撃者の青年を探しはじめる。

国際政治の仕組みと全体像を解明しながら、複雑に絡みあう国際社会の中で、いま日本に何が求められているかを考える。全３回。最終回は情報戦略を検証する。外交政策のかぎは、十分な情報を入手し、相手の状況や意図を正確に読むことである。地球上空の人工衛星の多くは、１５センチのものを識別できるという高性能テレビカメラをそなえた米ソのスパイ衛星。それらはお互いに監視しあい、不要な疑いや過敏な反応を予防するための情報を与えあっている。スウェーデンは各国が公表している情報を丹念に収集分析して世界の軍事情勢をまとめ、毎年公表している。現代の情報戦略の実態を探り、日本の進路を考えるドキュメント。

　世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズ。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆現在のオーストラリアで最大の有袋類カンガルーも生れた時は体重わずか０．８グラム、体長は１センチにも満たない。人間でいえば未熟児の状態で生れた赤ちゃんは、目も見えず、耳も聞こえない状態で、乳の匂い目指して母親のお腹にある育児袋まで必死にたどりつく。カンガルーは牧場の草を大量に食べるため、その保護をめぐっては意見の衝突が見られる。

第一線で活躍中の各界著名人をゲストに招き、その人と縁の深い人とともに、ゲストの歩んできた人生を浮き彫りにする。１９６８年（昭４３）５月１５日の第１回は文藝春秋社社長の池島信平氏がゲスト、今回が最終回。丸１３年４カ月の放送で、登場人数は５７６名をかぞえた。◆母もの映画の子役としてデビューした高峰秀子は、日本映画の歴史と、自分の人生を重ね合わせるように生きてきた。トーキー映画の第１作、カラー映画の第１作など日本映画の節目となる作品にも出演、数多くの映画賞を獲得。番組では、複雑だった家庭環境、東海林太郎さんの養女になったいきさつ、ご対面ゲスト・藤田まさとさんとの交友などを語る。

古代シルクロード、天山南路と西域南道の合流点・カシュガル。現代も人口２０万、７割がウイグル族でイスラム教を信仰する。カシュガルにはパキスタンのギルギットから７００キロ、４日がかりで交易（物々交換）に来るが、絹は今も花形。世界の屋根といわれるパミール高原越えは、古今ともに難所。タジク族の結婚式に出合うが、顔や習慣はこれまでと明らかに違う西洋風である。パキスタン国境クンジェラブ峠に建つ碑は、「ここが行き止まりである」と示す。◆エイティカル寺院、ホージャ家の墓所、三仙洞、タシクルガン城

病いに冒されながらもひたむきに生きる夢千代と、それぞれ暗い過去を背負いつつもしたたかに生きる芸者たちの姿を、山陰という独特の風土の中で描くドラマ。（１９８１年３月１５日終了、全５回）◆夢千代こと永井佐千子（吉永小百合）は、被爆２世。母のあとを継いだ春屋という芸者置屋を細々と営んでいる温泉芸者。自分の病状をつぶさに日記につけている。春屋には、なぜかユニークな芸者ばかりが集まってくる。

プロ棋士をめざす青年と子連れダンサーを主人公に、将棋の世界のきびしさと二人の愛情をコメディータッチで描いていく。（１９８１年６月２９日〜７月２４日放送、全２０回）◆第一回。将棋３段の根本信吾（川谷拓三）は、今、プロ棋士になれるかどうかの瀬戸際に立っている。９年間昇段できず、弟弟子に先を越されたうえに、密かに思いを寄せていた師匠の娘もとられてしまった。連敗続きの気を紛らわそうとふらりと旅に出た先で、ひょんなことから子連れダンサーの千草（根岸季衣）とめぐりあう。