日本は第一次世界大戦後のベルサイユ講和会議で列強のひとつとして国際社会に登場、その後、国連を脱退、孤立化の道を歩んで戦争に突入した。日本の昭和の歴史を世界史の中でどうとらえるか。日本の世界史へのかかわり方にはどんな特徴があるか。東大教授伊藤隆、作家安岡章太郎ほかが語り合う。昭和を体験した学識経験者の鋭い、しかし肩のこらない文明論が続く。

室町時代の絵画・書籍・工芸などの名品を集めた特別展「室町時代の美術」が、東京国立博物館で開催された。その中から、絵画をはじめ代表的な美術品を紹介する。◆室町時代には武家・公家・禅宗寺院のそれぞれに、独自の美術の世界が繰り広げられた。武家は武具類、公家は調度品、禅宗寺院は絵画といったぐあいである。「瓢鯰図」や「秋冬山水図」などの国宝を中心に、東京国立博物館の村重寧さんが解説する。

動物園で生まれ、人間に育てられた未熟児チンパンジーの成長記録。◆多摩動物公園で生まれた雄のチンパンジー、ビリーは今１歳７カ月。超未熟児で、母乳に恵まれない状態だったことから人工保育で育てられた。この春には仲間の群れに復帰させる作戦が展開されたが、すっかり人間になついてしまったビリーは、群れに帰ることができなかった。ビリーは結局、別の動物園に行くことになる。誕生から別れの朝までのビリーと飼育係の愛と試練を描く。

有田の多くの窯の中で色鍋島は、旧鍋島藩直営の窯として特異な存在だった。藩の命運を賭けて完全な美を追及する、ベールに包まれた謎の窯元だった。◆一転して現代、十三代今泉今右衛門は色鍋島を今日的感覚で経営。多くの分業からなる総合技術の頂点に立つ。古きを尊び、近代の美を加えつつ、現代磁器創造の指揮者でもある。

巨大地震が東京を襲ったらどうなるか。専門家や研究機関の協力で、安政地震をモデルにした東京直下型地震による被害予想のシミュレーションを作成、盲点とされる地下構造物に焦点を絞り、近代都市の弱点に鋭く迫る番組。◆東京で予想される巨大地震は直下型で震度は６以上、学者によっては確率５０％を超えるともいう。関東大震災以来、東京は長い平安な時を経て、世界有数の情報都市へと変身した。年ごとに摩天楼は数を増し、街は２４時間眠ることを知らない。そんな東京にとって最大のアキレス腱は大地震対策。東京はどこまで耐えきれるのか。専門家１２人の円卓会議を軸に検証する。

世界一の長寿者・泉重千代翁を追悼する報道特別番組。◆鹿児島県徳之島の泉重千代翁は１９８６年（昭和６１）２月２１日、１２０年の生涯を閉じた。人々は世界一の長寿者である翁を「寿大王（じゅうふっしゅ）」と呼び、親しんでいた。番組では生前の姿をふりかえりながら、江戸・明治・大正・昭和を生きた重千代翁を偲ぶ。

「シルクロード」に続く本格的な日中共同取材番組の第２弾。世界４大文明の一つ、黄河文明を生み育てた黄河全流域を旅し、千変万化の大自然、文明と歴史、さまざまな民族の暮らしを混然一体としてとらえる。全１０回の大型ドキュメンタリーシリーズ。（１９８６年４月１３日〜１９８７年３月８日放送）◆第１集は、中国の歴代王朝が威信をかけてつきとめようとした河源探索の旅。チベットの結婚式、黒くび鶴、白唇鹿、高原の真珠といわれるオーリン、ザーリンの２湖、無数の沼沢が星空のように散らばる星宿海。難航の果てにたどりついた黄河の源は、夢幻のような高原の一角にあった。

加藤嘉、花沢徳衛、浜村純の３人は１９８５年（昭和６０）１２月に世を去った藤原釜足とともに、長年同じ芸能プロダクションに所属してきた俳優たちである。役者にとって“老い”は苛酷なものであり、「老け役」「名脇役」として活躍してきた彼らに、老いは現実のものとして忍び寄る。役としての“老い”と、日常のなかの現実の“老い”。ふたつの老いをテーマに老優たちの日常を描く。盟友・藤原釜足の死を深く悼みながら、残された日々を生きる老役者たちの意地。淡々とした素顔に、人生の尊さとやるせなさが表れている。