茶道家元の後妻に入り、先妻の子供を育てあげたが夫との仲は冷えきっている女。やがて義理の息子が自分を想っていると知り、それを避けるように他の男に溺れてゆく。原作：立原正秋。◆直子（山本陽子）は京都の茶道大槻流の家元・信宗（平幹二朗）の妻。二人の間に子はないが先妻の子、信貞（山下規介）と徳子（南きよみ）がいる。他に茶屋の女にも子を生ませているが、直子と子を作ろうとはしない。直子は信貞と徳子を育てることに心を傾け、二人も直子を慕った。ある時、信貞の慕情が母としての自分に向いているのではないと知り、直子はひたむきな信貞の想いをさけるように知り合ったばかりの劇作家・深津（竹脇無我）におぼれていった。

“裸の大将”と呼ばれた放浪の天才画家、山下清（芦屋雁之助）が、旅の途中でさまざまな人と出会っていくシリーズ。この回は埼玉県の秩父を訪れる。◆秩父の夏祭りにやってきた清は、造り酒屋・田島屋のふるまい酒でひっくりかえってしまう。桑畑の小屋近くで寝ていると、葬儀の一行がそばに棺を置き去りにしていった。驚く清だが、棺の中は生きた人間で田島屋の若だんな・喜八郎（尾藤イサオ）。女道楽から足を洗って出直すという厄落としだという。それが縁で清は田島屋の居候になるのだった。

高度情報化社会の今日、コンピューターと人間生活は切り離せないものとなっている。人間社会へ両刃の剣を突きつけるに到ったコンピューターの発展と人間存在の調和を求め、近代テクノロジーと人間社会のより良い共存関係を模索する。◆コンピューターを購入したが、プログラミングの方法がわからず、一度も手を触れないままに倉庫の片隅に仕舞い込むことになった中小企業。工場が自動化されシステムエンジニアに配転、コンピューターをゼロから学ぶことになった工員の苦悩。また、コンピューターハッカー、プライバシー問題など幅広く接点を探り、コンピューター時代に人間はどう生きていけばよいかを考える手掛かりを探る。

障害者運動に取り組む難病者の活動を取材した番組。◆宮城県七ヶ浜町に住む山田富也さんは、兄弟３人が共に難病の進行性筋ジストロフィー患者だった。２人の兄は既に他界し、この病気の平均寿命を過ぎた富也さんは、残された命をかけて障害者運動に取り組んでいる。詩集、自叙伝の出版、映画制作、そして長い間の夢だった福祉ホーム建設。離婚と再婚、支援者の死、励ます仲間たちとの交流などをまじえて、５年間の継続取材で構成したもの。

カメラマン・池中玄太と、血のつながらない３人の娘たちを描いた人気ドラマのその後を描くスペシャル版。ついに持ち上がった長女・絵里の結婚話を軸に、“花嫁の父”となる玄太のおだやかならざる心境を描く。◆グラフ誌のカメラマンをしている玄太（西田敏行）もそろそろ４０歳。長女・絵里（杉田かおる）は幼稚園の保母、次女・未来（有馬加奈子）は短大生、末っ子・弥生（安孫子里香）ももう中学生。彼女らの継母にあたる暁子（坂口良子）は喫茶店をまかされ、妻と母の二役を両立させて、今や一家は彼女を中心にまわっているといっても過言ではない。

１９１２年（大正１）、岡山県総社市に生まれた大野昭和齋が、家具職人の父から初めて木工の手ほどきを受けたのは１５歳。以来、生涯師匠を持たず、恵まれた素質を生かし独力で木工芸の可能性を追及してきた。◆最良の木材を吟味し最高の技術を駆使して作り上げた気品のある作品は、寸分の狂いが出ることも、磨き上げた光沢が無くなることもない。細心ち密な制作技法と、衰えを見せない老いの眼光が工房で息づく。

いま遺言がクローズアップされている。遺言を作ろうとする人が１０年前の２倍に増えているという。その背景としては不動産の値上がりと、一般に言われる「家の崩壊」で財産をめぐる骨肉の争いがある。遺言の公正証書は、まず遺言を残したい人の考えを公証人が聞いて文書にし、利害関係のない証人が立ち会って確認して出来上がる。番組では東京の世田谷公証役場にカメラを据え、遺言作りをする老人たちの姿を追いながら、残された妻の老後保障を例に今日的な社会現象をえぐる。

仕事一途に生きてきた男が転職をきっかけに家庭をかえりみる。すっかり親和力を失った家族をまとめ直そうとする父と家族を描く。（１９８６年１月６日〜１月３１日放送、全２０回）◆早野亮（中条静夫）５０歳、カーク物産に勤めて２８年。事業開発の腕を認められてきただけに内示された閑職にあきたらず、転職を決意する。それを家族に打ち明けたが、家族は亮の悩みに全く関心を示さない。