Ｎ響誕生からの６０年間の世相を織り込みながら、Ｎ響のエピソードと折々の演奏を中心に、Ｎ響が生き抜いてきた激動の時代を証言ドキュメントとして構成した。◆日本で最も古い歴史を持つオーケストラ、ＮＨＫ交響楽団が、創立６０年を迎えた。６０年前、Ｎ響が新交響楽団として誕生したときは、ヨーロッパから「極東に咲いた音楽の奇跡の花」として注目されたが、Ｎ響の歩みは、そのまま時代を映す昭和の文化史でもある。

琵琶湖東岸、彦根市松原水泳場で行われた「鳥人間コンテスト」の中継録画。◆“鳥のように大空を舞いたい”という人々が、北は青森から南は鹿児島まで手作り飛行機６５機で参加、昨年の新記録の更新をめざし猛暑の中でがんばる。シリアス部門では滞空記録９０秒、これまでの大会記録を２００メートルも超える５１２．２メートルの新記録を達成した。コミカル部門では抱腹絶倒の奇抜なアイデア機が登場する。

戦後４０年。戦争があったことすら知らずに青春を送る少年・貝二（大鶴義丹）と少女・さやか（仙道敦子）が、戦闘機の風防用に使われた“匂いガラス”に結ばれて、さまざまな体験を重ねる。大人の世界の入口に立つ精神的旅立ちを、大人たちの抱える戦争の傷痕を背後に浮かび上がらせながら描く。アンデルセンの童話「雪の女王」をモチーフとしたファンタンタジックな映像詩。

良妻として知られる「山内一豊の妻」の美談をふくらませて、武家社会の女の悲しさを描く。◆山内一豊（西田敏行）は５０石の武士。２年ぶりに戦から帰ったが、愛馬を戦場で失い途方にくれていた。安土の市でみつけた良馬は１０両という破格値で、とても手が出ない。しかしあきらめきれずにいると、日ごろつましくしている妻の千代（佐久間良子）が旦那様のためにと１０両を出してくれた。そして、馬の持ち主であった孫兵衛とうめという兄妹が馬の面倒を見るために雇われた。一豊とうめは馬を通じて親密になっていく。一方で千代には後継ぎの男子がおらず、一豊の母は側女を置くように言う。千代は家のためと涙をのんで一豊とうめを説得するのだった。

　混迷するカンボジアを逃れ父の祖国日本に帰国する夫婦を追うドキュメンタリー。（１９８６年３月１６日開始、全２回）◆カンボジアで２０年を生き抜いて妻とともにタイの難民キャンプに逃れてきた渡辺史遍（しへん）さん。かつてロンノル政権の混乱の中で父が子に与えた日本国籍が決め手となり夫妻に日本への渡航許可が下りた。１９８５年１１月成田空港に到着、生まれてはじめての日本での暮らしが始まる。言葉、気候、習慣すべてが異なる環境の中、史遍夫妻と周囲の人々の交流そして心情を描く。

ロシア人が母なる川と呼んだボルガ川を、源流から河口に至るまで５３日間の取材を通して紹介する。◆ボルガの源は、モスクワの北西２８０キロにある海抜３００メートルのバルダイ丘陵。白樺やモミに囲まれた湿原にわき出した水が深い森をめぐり、いくつかの支流を集めてやがて大河となって世界最大の湖・カスピ海にそそぐ。古来重要な交通路としての役割を担ってきたボルガは幾度も戦場となった。その沿岸の豊かな自然と苛酷な歴史、そして様々な民族の営みに出あう旅である。

一年間、テレビを中心に活躍した演芸界の芸能人を各部門から選び、新人賞・名人賞などを贈って精進をたたえる。◆最優秀新人賞はシティボーイズ、最優秀番組賞はさだまさし。特別賞は横山やすし・西川きよし、功労賞は柳家小さん。名人賞はたけし軍団、片岡鶴太郎、コント山口君と竹田君、オール阪神・巨人で、最優秀名人賞はサブロー・シローであった。第６回の花王名人大賞はビートたけしに贈られた。

日本の名作文学を分かり易く親しみやすいアニメーションにして紹介するシリーズ。第１回は川端康成「伊豆の踊子」。住友生命青春アニメ全集。原作：川端康成。（１９８６年４月２５日〜１２月２６日放送、全３２回）◆孤独な心をかかえて伊豆を旅する旧制高校生の“私”は、途中で旅芸人の一座と同道することになる。一座にいた明るく清純な踊り子と知り合ううちに“私”の孤独はいやされていく。