競輪選手を続けながら、障害児施設の理事長として福祉に取り組んできたある男性を追うドキュメンタリー。山崎勲さんは、その道３５年のベテラン競輪選手であるとともに、重症心身障害児施設「土佐希望の家」の無報酬の理事長でもある。山崎さんと福祉との出会いは１９６３年（昭３８）、次男が脳性マヒと診断され、自費で「希望の家」を設立した時だった。以来、ペダルを踏み続けながら障害者の心の支えとなってきた山崎さんだが、寄る年波には勝てず、１９８６年（昭６１）３月高松競輪場でのレースを最後に引退することになった。

実年夫婦のマンネリ化した愛情の危機と回復を、軽妙でユーモアに富んだ含蓄の深いせりふに託し、シチュエーションドラマの新境地を開いた作品。（１９８６年２月１５日終了、全６回）◆東京下町。佃大橋のたもとで磯島周吉（鶴田浩二）はシャツ職人として半生をすごしてきた。１枚１枚、オーダーの手縫いで、日本一の職人というプライドがある。だがそのガンコさについに堪忍袋の緒が切れた女房・由子（八千草薫）と息子の秀一（佐藤浩市）は３カ月前に家を出た。以来、弟子の昭夫（平田満）が周吉の面倒を見てきたが、これまた息が詰まって近くのアパートを借りた。口には出さないが周吉は見捨てられた思いだ。そこへ秀一がさらに問題を持ち込んでくる。

太夫・三味線と共に人形遣いで文楽は成り立つが、足遣い十年といわれる芸の真髄を吉田玉男に聞く。◆人形遣いは首こしらえから着付けまで参加しなければならないが、人形を遣うについてはいつも人間よりも人間らしく、心を込めて遣うと話す吉田。文楽の将来の隆盛のために若い人の中からスターが出てくることを希望している。

ユニセフ（国連児童基金）親善大使の黒柳徹子は、世界の飢餓地帯の旅を続けている。今回はインドのデリーとマドラスを訪問。◆マドラスは市内の９割の子どもが栄養失調状態にある。黒柳はその実態や救援活動を見て回る。年間４００万人の子どもが死亡するインドの現実に対し、われわれは何ができるのかを問う。

徳光和夫アナウンサーがキャスターを務める情報番組。この回の特集では東京・大阪の通勤の実態を体験調査、サラリーマンの生活に与える影響や元気の出る通勤方法を考える。◆国鉄駅の一日乗車人数ベスト５、混雑率２００パーセントを超える沿線ベスト５など、通勤ラッシュにまつわる様々なデータを紹介する。また司会の徳光アナが満員電車の体験乗車を報告、通勤途中に事故にあった場合、労災は適用されるかなど解説する。さらに通勤の有効利用法、疲れない電車の乗り方など少しでも楽な通勤方法を探る。

１９８６年（昭６１）５月、東京で開かれた先進国首脳会議の舞台となった迎賓館・赤坂離宮は、日本で初めてつくられた本格的な洋風建築で、元来は東宮御所として建設された明治最大のモニュメント。片山東熊の設計により、明治の建築技術と美術工芸の粋を尽くしたこの建物を、建築当時のさまざまなエピソードを織りまぜて紹介する。

大みそか恒例の特別番組、１９８６年（昭和６１）第３７回ＮＨＫ紅白歌合戦。ＮＨＫホールからの公開生放送で、初出場６組を含め、紅白２０組が出場。歌手の持ち歌による歌合戦をベースとした新しい形の「シンプルな紅白」を目指した。多様化の時代にふさわしい新鮮な話題と情報を正確に伝えるために複数の司会陣を設定し、従来の「紅白」とはひと味違った進行を試みた。また、視聴者の幅広い参加を番組に生かすために、ＮＨＫホールだけの審査にとどまらず全国８地区に審査員を置き、さらに公募によって選ばれた全国５００家族からの電話による審査も加え、新しい情報システムを使った画期的な審査方法を採用した。◆司会は加山雄三、斉藤由貴、千田正穂アナウンサー、目加田頼子アナウンサー、総合司会は吉川精一アナウンサー。

紬織作家・宗廣力三の神奈川県南足柄市にあるアトリエを訪ね、紬織が出来あがるまでを紹介し、話を聞く。◆宗廣力三は１９１４年（大正３）、岐阜県郡上郡八幡町生まれ。３１歳の時、郷土の青年育成運動の中で紬織の研究を始めた。伝統の織に新しい手法を加え、郡上織を世に出した。１９８０年（昭和５５）南足柄市に移り住み、自然を生かした紬を織り続けている。