青森県田子町で農鍛冶を営む中畑長次郎。日本でただ一人、漆かき用具を製作する鍛冶職人。漆の採取には木を傷めず、多くの樹液を採る必要があるため、特別の型のカマやカンナなどが使われる。◆漆かき職人の癖や使い勝手に合わせて１本ずつ注文に応じる。東北の漆林近くの山間の町でほとんど知られることなく、日本の伝統文化を彩る漆工芸を影で支える人の存在を知る人は少ない。

両親と死に別れ、アメリカ・オレゴンにいる叔父に引き取られた明少年の成長記の４作目。今回は日本からきたかつての同級生を通して、カルチャーギャップや友情を描く。◆明がオレゴンの栄蔵一家の一員になってすでに４年。夏休みを利用して明の友だちのタケシと健吾が日本からやってきた。二人はそれぞれ近所の農家と老夫婦の家にホームステイすることになった。４年ぶりの再会に３人は喜びあう。だがタケシと健吾は、生活習慣や文化のあまりの違いにステイしていた家を飛び出し、立ち寄った空き家で火事を起こしてしまう。

現役の年老いた結婚サギ師が４０年前に別れた初恋の人に会い、サギ師稼業から足を洗うことを決意する。◆雄三は６７歳、今でも現役の結婚サギ師。２年前にも警察に捕まって最近出所してきたばかりだが、こりもせず元駐外大使というふれこみで高級有料老人ホームに出入りしはじめる。そのホームで出会った女・セイは、４０年前に引きさかれた初恋の相手にそっくりだった。他人の空似とかたづける二人だが、どうにも気にかかる。ついに雄三は足を洗って結婚を申し込む決心をする。

１４００年の伝統を受け継ぐ大和瓦。中でも、あらゆる邪悪なものから家を守る鬼面は、鬼瓦として日本人の心に定着し、優れた工人によって想像性のある鬼面が棟を飾っている。◆小林章男は東大寺仏殿の鬼瓦復元をはじめ、数々の文化財の屋根を修復してきた。粘土を手で練りながら、ヘラひとつで頭の中にある百鬼百様の表情を一気に仕上げる。全国を訪ね歩き、瓦を熟知する瓦博士でもある。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆森下洋子：舞踊家。１９４８年広島生まれ。州和みち子、橘秋子に師事。牧阿佐美バレエ団を経て、松山バレエ団所属。１９７０年芸術選奨新人賞ほか、芸術祭大賞など数々の賞を受賞。

ジュネーブの赤十字本部に残された消息不明の兵士の膨大な記録を手がかりに、４０年ぶりに夫を捜しあてた妻や、息子の生息を信じて消息を求め続ける母など、戦争にふみにじられる“家族の絆”を描く。◆赤十字国際委員会には、第２次大戦から今日までの捕虜や未帰還兵のリストが６０００万枚もある。世界各地から舞い込む、家族の消息を訪ねる手紙は１年間で２００万通。あと３０年は調査が続くといわれている。

１６１の国と地域がエントリー、史上最大規模となるオリンピック・ソウル大会を前に、数々の名勝負を生み、思い出をつくってきたオリンピックを振り返る。（１９８８年７月３日〜２４日放送、全４回）◆第１回は、前回・１９８４年の第２３回オリンピック、ロサンゼルス大会の模様を振り返る。東側諸国の多くがボイコットした“片肺”大会であったが、１４０の国と地域が参加。陸上ではアメリカのカール・ルイスが４冠達成、走れなくなりながらもゴールを目指した女子マラソン・スイスのアンデルセン、日本期待の柔道では山下泰裕が悲願の金メダルを勝ちとって感動をよんだ。

首都圏の地価上昇で、マイホームは“夢また夢”を過ぎて、あきらめの時代。全財産かきあつめて１千万円で、家を手に入れようとするサラリーマンのやるせない戦いをリアルに描く。◆平山晋介（長渕剛）は羽田空港で整備士をしている３２歳。月収は手取りで約２０万円。妻の一枝（伊藤蘭）と小学生の子供二人の４人家族で２ＬＤＫ、家賃９万５千円のアパート住まい。妻も自宅でデザインの仕事をして家計を助けている。この一家もマイホームの夢ははなから捨てていた。そんな矢先、一枝の親が亡くなり、遺産７００万円が転がりこむ。家の貯金をあわせて１千万円。次の休日、うさぎ小屋の住人たちはピクニック気分でモデルルームへ出かけてゆく。