世界的な東洋学者であり、元駐日大使としても日本になじみの深いエドウィン・ライシャワー博士が、初めて自らの生涯とその時代を語るシリーズ。（１９８２年６月５日〜７月３日、全５回）◆１９６１年４月ライシャワーは第１７代駐日大使として着任した。駐日大使として日米両国の政治的接点に立った時期の豊富なエピソードをまじえながら、長い人生経験から得た国家と人間の理解の意味を語る。（第５回）

深刻化する老人問題を、ひとりの医師と老人を抱える主婦の目を通して描く。原作：早川一光「わらじ医者京日記」より。（１９８２年７月４日〜８月１日放送、全５回）◆最終回。京都・西陣の一角にある病院に勤務する医師・安川（田村高廣）は、地域の人たちを診察し続けて３０年。最近は老人ばかりが訪れる。石山のトクおばあさん（大路三千緒）の痴呆はひどく、家庭の理解と協力もなく看護に疲れた嫁の延子（江波杏子）は家を出る。妻の家出で問題の深刻さに気づいた夫の達夫（小島秀哉）は、母を老人ホームに入れようとするが、延子はやはり自分が最後まで面倒を見ようと決心する。延子の温かな看護で姑は安らかに息を引きとる。

戦後３７年、あの戦争が今なお問いかけているものを、庶民の女たちの生き方を通して考えるシリーズの最終回。（１９８２年８月２日開始、全４回）◆戦争で夫を失った女性たちの戦後はひときわ厳しいものだった。戦死した夫の実家で労働力として頼りにされてきた人、遺骨も帰らなかった夫の墓地を買おうとして骨がないから対象にならないと公営霊園に断られ、その不条理を嘆く人。登場する戦争未亡人の戦後はまだ終わっていない。

若い教師の死に至る軌跡を通して、地域の中での学校や教師のあり方について描く。◆保守的風土の強い町の小学校に赴任した青年教師が、２年後、突然自殺した。遺書はなかったが、この教師あてに出された匿名の脅迫状の存在が、彼の死後明らかになった。彼の教育に対する情熱が、地域の有力者を中心とした保守的な雰囲気と衝突をくり返したのであった。

四国一の工業都市、愛媛県新居浜市の１９８２年（昭５７）は、住友アルミ磯浦工場の操業休止宣言で明けた。２００人にのぼる出向者と退職者、企業城下町新居浜を構造不況の波がもろに襲ったのである。果たして再生の道はあるのだろうか。構造不況の実態にメスを入れながら、その道を探る。

市制施行６０周年を迎えた函館市の歴史・文化・人々の暮らしを、市街地を網羅する路面電車に乗ったリポーターが紹介する。◆旧函館区公会堂、ハリストス正教会、元町カトリック教会、外国人墓地、五稜郭公園など、函館は観光資源に事欠かない歴史のある街である。番組では、江戸時代後期に函館と大坂を行き交う廻船問屋として活躍した北海の豪商・高田屋嘉兵衛の銅像や、函館生まれの文芸評論家・亀井勝一郎の生家、かつてこの地に住み、数々の短歌を詠んだ石川啄木の青柳町借家跡地などを訪れ、函館の文化・歴史に触れる。また、イカソーメン作りに挑戦したり、朝市・谷地頭温泉などで“普段着”の市民生活にも触れる。

大阪府箕面市。忠魂碑の移設に市の費用が使われたことから、主婦を中心とした住民たちが市長を相手に訴訟を起こした。１９８２年（昭和５７）３月、弁護士をつけない６年間もの自前の闘いの後、大阪地裁で全面勝訴を得たが、遺族会や戦友会は、原告の市民たちに脅迫や罵声をあびせた。一方、護憲や平和運動の団体からは各地の集会に招かれ、控訴審に向けての支援を呼びかける毎日が続く。

アニメと実写の合成、コンピュータグラフィックス、歌、スタジオ構成などを組み合わせた新しい試みの数学番組。原作：赤塚不二夫（１９８２年８月１１日〜８月２５放送、全３回）◆第一夜は、０（ゼロ）の発見、確率、代数の歴史について。