かつては山岳修業の行場であった神奈川県足柄上郡山北町のお峯入りは、ここに住む人々の素朴な山の祭りで現在も１０種類の歌舞が伝承されている。この中からいくつかの歌舞を紹介する。◆山北のお峯入りは風流踊り（中世芸能の一つ。囃子を伴う歌舞）、山岳信仰、古代儀礼の三つが融合して一つの民俗芸能になる過程を示すものとして貴重な文化財である。祭りは、おかめの面をかぶった女性のこっけいな踊りで始まり、８１人のふん装した男たちが１０種類の歌や踊りを演じる。その素朴な歌や踊りの一つ一つに山の暮らしの喜び、悲しみ、祈りや願いが込められ今に伝えられている。

科学や技術の最新情報をやさしく解説し、科学と人間、科学と社会のかかわりを考えるシリーズ。（１９８２年４月３０日終了、全４回）◆いまや情報は、天然資源、人的資源に次ぐ第３の資源として、その重要性を再確認されている。マイクロエレクトロニクス技術がもたらすインパクトを探る。第１回は「国際コンピュータ・ネットワーク」。電算機に蓄積されたデータを通信回線と結んだ、コンピュータネットワークが形成されている。気象データ、航空機の座席予約、銀行のオンラインなどのネットワークを紹介、スタジオに端末を持ち込んで実演する。

科学と技術の最新情報をやさしく解説し、科学と人間、科学と社会のかかわりを考えるシリーズ。（１９８２年４月９日〜４月３０日、全４回）◆いまや情報は、天然資源、人的資源に次ぐ第３の資源として、その重要性を再認識されている。◆情報が国境を越え地球的規模で飛び交う現在、それぞれの国の法制度、社会・文化の背景、経済状態の違う中で国の主権は脅かされていないか、個人のプライバシーは保護されているのかなど、国際情報社会での日本の現状を探る。（第２回）

夫に先立たれたあと、姑に仕える一人の女性を主人公に、主婦の幸せ、本当の自由とは何かを問いかけるホーム・ドラマ。水木洋子の書き下ろし。（１９８１年１１月１０日～１９８２年４月２０日放送、全２４回）◆こま子（池内淳子）の店に、またもや人相の悪い三人組（コント赤信号）がやって来た。幸子（志賀美佳）と武（川名浩介）を隠しているだろうという。そのころ、家出した当の二人は上野公園をうろついていたが、武だけがパトロール中のミツル（星野知子）に見つかった。

１人の美しい女の流転を通して、政財界の裏でうごめく黒幕の悪を描く。原作：松本清張（１９８２年１月９日～１月２３日放送、全３回）◆割烹旅館で働く成沢民子（名取裕子）は、病で寝たきりになってしまった嫉妬深い夫を抱え、夢も持てず先の見えない日々を送っていた。そこへ現われた男が、ひとつの取り引きを持ちかける。その誘いに乗って家に放火し、過去をすべて捨てて生まれ変わったつもりになった民子だったが、彼女を執拗に追う刑事がつきまとう。

入院中の老妻の身を案じながらも、息子の転勤のために遠く離れて住まなければならなくなった老人の心の動きを追い、老夫婦の愛を描くと同時に高齢化社会、核家族化などの問題を見つめたドラマ。◆名古屋に暮らしていた隆吉は、入院中の妻を気にしながら息子一家と富山へ引っ越した。しかしどうにも気にかかるので名古屋へ行きたいと息子に打ち明けるが、ひと月もたたないのにと言われてしまう。隆吉は黙って家を出、名古屋へ向かうがお金が足りず途中で電車を降ろされてしまう。

深刻化する老人問題を、ひとりの医師と老人を抱える主婦の目を通して描く。原作：早川一光「わらじ医者京日記」より。（１９８２年７月４日〜８月１日放送、全５回）◆第一回。京都・西陣の一角にある病院に勤務する医師・安川（田村高廣）は、地域の人たちを診察し続けて３０年。最近は老人ばかりが訪れる。中でも石山トク（大路三千緒）はあれこれ病状を訴えるが、実はカクシャクたるもの。嫁も気苦労が多い。そんなトクが骨折で寝たきりになった。動けなくなると痴呆がしのび寄ると安川に言われ、家族は青くなる。

太平洋戦争末期、上野動物園で３頭のゾウを含む多くの猛獣が薬殺・絶食などで処分された事件は有名である。「空襲が激化したため住民保護の目的で処分された」というのが理由であるが、本当にそれほど差し迫った状況にあったのだろうか。ＮＨＫ特集としては初めて子供向けの童話という形式を取りながら、当時の園長代理・福田三郎氏の日記をもとに、行政の圧力で次々と猛獣が殺されていった経過や、戦時下の人と動物の心の交流を描く。