父が母に贈ったという指環を通して、娘の亡き母へのレクイエムを描く。◆老人ホームにいる父を婚約の報告に訪れた百合子（島田陽子）は、父が母に贈ったエメラルドの指環が母の遺品を保管するサナトリウムにあると聞く。戦後ジャズピアニストとして名を馳せた父・エディ平川（笈田敏夫）は、華やかな生活を送ったが家を顧みることが少なく、結核を患った母は一人寂しく死んでいった。百合子は２０数年ぶりにサナトリウムを訪れ、そこで意外な事実を聞く。不幸せに死んでいったとばかり思っていた母に、美しい思い出があったというのだ。

「食」をめぐる営みは、最も根源的な「文化」であり、それぞれの民族がそれぞれの風土の中で何千年にもわたって練りあげた知恵の結晶である。このシリーズは、人間が有史以来“何をどのように食べてきたか”を世界各地の食生活と風土の中に探り、食べものがいかに民族の精神を形づくり、文明の質を規定してきたかを明らかにし、飽食の日本人に「食」のあり方を問いかける。◆最終回は「米（コメ）」。米作発祥の地に近い、タイ北部アカ族の村人の生活を取材し、米と人間の豊かなつながりを探る。

四国の小さな田舎町から眺めた庶民の昭和史を温かくつづったドラマシリーズ、第一章・全７回の第５回。（１９８５年４月１３日〜５月２５日放送）◆ミチ（渡辺えり子）は栄太郎（小倉一郎）との結婚をあきらめて東京へ帰っていった。ミチの素顔を知った静子（桃井かおり）は、深い同情と共にミチを見送る。それにミチは巡子（内田也哉子）の声がでるようにしてくれた人でもあるのだ。巡子が少しづつ元気になる様子を、勝二（河原崎長一郎）も喜んだ。それにつけても早く静子に子供ができないかと待ち望む勝二でもある。ところが昭一（中条静夫）の方に子ができてしまう。相手は芸者の蝶子（磯野洋子）。昭一の妻フサ子（藤村志保）は傷つく。

戦前、広島は軍都だった。陸軍は広島、海軍は呉を拠点に中国大陸へ出兵していった。その出兵が満州事変から上海事変へと続くころ、軍港呉で、侵略戦争に反対する兵士の運動があった。反戦兵士は機関誌「聳（そび）ゆるマスト」を発行したが第６号で弾圧された。やがて戦争は、太平洋戦争に広がり、破局へと向かっていった…。軍都広島からヒロシマへ。そこには、原爆投下目標第１号に指定された広島の運命の糸が見えるようだ。

お年寄りの楽しみといえば、ゲートボールや民謡。しかし、幼稚園児さながらにチャーミングな制服に身をつつみ、歌い踊っている高齢者たちがいる。彼らの活動を取材し、老後の過ごし方、シルバーグループのリーダーのあり方などを探っていく。長崎市の郊外にある団地に住む高齢者たちが健康クラブ、通称「老稚園」を作ったのは６年前。園児たちの平均年齢は７３歳。空缶回収で得た現金は、園の活動資金の一部になっている。

登別温泉を舞台に、オペラがとりもつタクシーの運転手と芸者のラブロマンスを描く。福太郎は「オペラ」とあだ名がつくほどオペラが大好きな個人タクシーの運転手。２人の子供と３人で暮らしている。福太郎は、組合の忘年会で彼のためにとオペラの「乾杯の歌」を歌ってくれた、どこか勝ち気で目元のすずしい温泉芸者と親しくなる。

深山幽谷にしか生息しないと思われていたイヌワシも、今や絶滅が心配されている。そのニホンイヌワシの知られざる生態を、イヌワシ研究会滋賀県メンバーとともに３年間にわたって記録したドキュメンタリー。ニホンイヌワシは、翼を広げると２メートルにも及ぶ日本最大の猛きん類で、天然記念物に指定されている。カメラは求愛行動、巣づくりをはじめ、子育て、巣立ちなどを記録した。

児童合唱団の東ドイツ演奏旅行に同行取材し、団員たちのさまざまな表情をとらえたドキュメント。創立４０周年を迎えた静岡児童合唱団（戸崎裕子さん主宰）が、その優れた芸術性に高い評価を受け、東ドイツ政府から「バッハ・ヘンデル生誕３００年祭」に招待された。東ベルリン、ライプチヒをはじめ１１都市での演奏会の模様や、子供たちが肌で感じた東ドイツを紹介する。