厳格な明治の気骨を持った父親と息子の確執。年老いてゆく父親との絆を息子の視点で描くドラマ。◆雄一（中村嘉葎雄）の父・義道（小沢栄太郎）は元海軍の艦長であった。雄一は作家を志したため父と意見が合わず、弟・憲二（伊武雅刀）に父母を託していた。老いても頑固な父の扱いに困った母や弟たちは、父を病院へ入れてしまう。艦長の誇りを捨て切れない義道は、息子たちの厄介者になるよりは死を選ぼうとする。

ＮＨＫとフランス・テレビ１（ＴＦ１）との共同制作により、世界最大級の美術館・ルーブル美術館の全貌を紹介するシリーズ。（１９８５年４月２８日〜１９８６年４月２０日、全１３回）◆第５回は、中世ロマネスク・ゴシック美術を紹介する。ヨーロッパ中世はかつて“暗黒時代”といわれた。しかし今、中世の面白さにひかれる人は多い。簡素な中にも神秘性を持つロマネスク期の彫像、静けさと崇高さを感じさせるゴシック期の彫刻の数々などを紹介、中でも中世の信仰心が絵画として結実した「アビニョンのピエタ」は圧巻。

四国の小さな田舎町から眺めた庶民の昭和史を温かくつづったドラマシリーズ、第一章・全７回の最終回。（１９８５年４月１３日〜５月２５日放送）◆静子（桃井かおり）の初恋の人、清沢中尉が妻とともに現れた。静子と結婚できなかった理由を釈明、わびに来たのだった。その夜、静子は勝二（河原崎長一郎）に事情を詳しく説明した。優しい勝二はそんなことより静子と結婚したのは自分だということの方が大切と考え、巡子（内田也哉子）と生まれてくる子の将来を楽しみにしていた。ところが蝶子（磯野洋子）が産気づき、幸三（森本レオ）とおこう（永島暎子）が駆け落ちする騒ぎにキリキリ舞いの静子は流産してしまう。

四国の小さな田舎町から眺めた庶民の昭和史を温かくつづったドラマシリーズ、第一章・全７回の第４回。（１９８５年４月１３日〜５月２５日放送）◆ハミルトン（リチャード・キャリー）と結婚してアメリカに行くという文子（佐藤友美）を、井原（小林亜星）は必死に説得。ウメ（沢村貞子）も彼女を引き止める。結局、文子はふたりの言葉ではなく赤ん坊ふびんさにひかれてハミルトンと別れ、井原と結婚するのだった。その夏、第１回中等野球大会の最中に昭一（中条静夫）とフサ子（藤村志保）の長男・英太郎（小倉一郎）が東京から帰ってくる。しかも突飛な格好のモダンガール・ミチ（渡辺えり子）を連れてきたため、静子（桃井かおり）をはじめ一同は目を見張る。

２つの国、２つの血の間で苦悩する女性の人生をみつめるドキュメンタリー。◆大本営工事現場だったころの長野市松代町で、朝鮮人と日本人の間に生まれた４４歳の女性。１９６０年（昭３５）に一家は松代から北朝鮮（朝鮮民主主義人民共和国）へ渡るが、彼女は１人日本に残る道を選んだ。それ以来朝鮮人の血が流れていることを隠してきたが、今、自分の生まれを明らかにして、消息のわからない家族の安否を調べはじめた。しかし国交のない国・北朝鮮へ渡っていった家族の消息は容易に知れない。

世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズ。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆パプアニューギニアは大小１万あまりの島で構成され、５００以上の異なった文化と言語がある。ニューギニア高地に住む村の女性たちの生活を描き、エンガ族を中心に彼女らの結婚式や夫婦間のトラブルを調停する裁判などを紹介する。◆南ハイランド、エンガの二省は、１９５０年代まで外界との接触がなく、石器時代が続いていたが、ハイランドハイウェイの建設によって大きな変化がもたらされた。その一つは教育の普及であるが、教育の恩恵にあずかる女性は少ない。人生の重要な契機や社会活動には豚が欠かせない。結婚式も花婿の親族が婚資を集める献豚、献金集会である。エンガ族のアナさん（２０歳）の結婚では、婚資総額は豚２１匹、約５万円だった。

ラジオのＤＪを担当している夏子（岸本加世子）は、脳血栓で倒れた父の見舞いに故郷へ帰り、不倫の恋を清算する決心をする。そのドラマの中で、向田邦子の９編の作品が朗読される。（１９８５年８月５日〜８月９日放送、全５回）◆最終回。朗読は「三角波」。波多野との結婚を控えた巻子は、波多野の部下・達夫の態度が変わったのに気づく。やがて二人は結婚し、巻子は達夫の執着が波多野に対するものと判って、愕然とする。朗読しながら、夏子は不倫を清算しようと決める。

東京・上目黒にあった明治の元勲西郷従道邸は、鹿鳴館での華やかな舞踏会を偲ばせる木造建築である。フランス人の設計で明治１０年代に完成した。およそ百年を経た今も、建築が志向する鮮やかな世界が明治村の空間を支配する。室内の家具建具類のほとんどがフランスからの直輸入であるなかで、サロンを飾るマントルピースだけは瀬戸の焼物が使われている。西洋化一辺倒の時期になぜ瀬戸焼だったのか、窯元にその経緯を探ってみる。◆西郷従道邸