第２次世界大戦で、ポーランドはナチス・ドイツに踏みにじられ、６００万人の命が奪われたといわれる。首都ワルシャワにある国立現代資料館には、戦争体験を描いた子供たちの絵と作文が保存されている。◆番組では、父母の銃殺、収容所への強制連行の場面などの作品が次々と紹介され、４２年ぶりに判明した作者へのインタビューを通して戦争の記憶の風化を問う。素朴なタッチで描かれた作品と再会した作者たちは、「子や孫に同じ体験をさせたくない」と語る。

１９８６年（昭和６１）１１月１０日、天皇陛下御在位６０年を記念する金貨が発行される。額面は１０万円、日本では５４年ぶりの金貨発行であった。金貨のデザインは、平山郁夫画伯が描く「鳩と水」の絵で、日本の豊かな自然を表している。このデザインに決定されるまでには、記念貨幣としては異例の審議会が設けられ、２０数案のデザインが検討された。原案の中には、天皇の肖像も含まれ、その原画と肖像の使用をめぐるさまざまな秘話があった。国際金融市場の実態を含めて伝える。

京都・祇園祭の山鉾を例に、伝統行事を支える人々の姿を紹介する。◆八坂神社の礼祭として繰り広げられる祇園祭は、京都の夏を彩る風物詩。人々が心を躍らせるその祭りの歴史は、１０００年をさかのぼることができる。祇園祭の呼び物である「山鉾」は、現在３２基。その維持・管理は各町の人たちが行っている。中京区の小結棚町では「放下鉾」を受け継ぎながら、最も伝統的な形を今に伝えている。祇園祭山鉾連合会の会長を務める田中常雄さんは、祇園祭は“人の祭り”だ。後継者の育成が大切だと語る。田中さんの、祭りのしきたりと心意気を若い人たちへ、そして未来へ残したいという熱意がうかがえる。

エミリー・ブロンテの名作「嵐が丘」をモチーフに、舞台を昭和初期の日本に移して、風雲児・猛の波乱に富んだ人生を描く。（１９８６年６月３０日〜１９８６年１０月３日放送）◆甲州の裕福な一家・三枝家に拾われた猛（渡辺裕之）と三枝家の娘・ひかる（田中美佐子）はいつしか愛し合うようになるが、周囲の目は冷たい。三枝家の没落、ひかるの政略結婚などの困難に負けず、猛はその生涯をかけて、ひかるへの愛を貫く。

名古屋の徳川美術館に伝わる尾張徳川家の大名コレクションの美術的価値をエピソードをまじえながら紹介するシリーズ。（１９８６年２月１０日〜２月１４日、全５回）◆第５回はわが国最古の物語絵巻、国宝源氏物語絵巻をとりあげる。この絵巻の４巻１９面のうち３巻１５面は尾張徳川家に伝えられてきた。吹抜屋台、引目鉤鼻の特徴ある手法で描かれた絵巻の幽玄の美の世界をその時代背景とともに紹介する。

「心中宵庚申」「おさんの恋」に続く近松門左衛門シリーズ第３弾。義兄と妹のかなわぬ恋の結末を描く。近松の「新版歌祭文（お夏狂乱）」を題材にしながらも、“お夏”という名前と播州室津という場所を借りただけの秋元松代オリジナル脚本で、現代版ギリシャ神話を目指した。◆姫路の海産物問屋、但馬屋の娘・お夏（太地喜和子）は、腹違いの兄・十兵衛（中村嘉葎雄）をひそかに慕っていた。十兵衛がお菊（いしだあゆみ）を妻に迎えると知った日から、お夏は京都・冷泉家の奥勤めに出る。しかし５年後、久々に里帰りすると、お菊は離縁されていた。

金沢市に住むある夫妻は、全盲という障害を乗り越え、ひとり娘を育てている。娘が生まれて５年、家族３人は、より強い絆で結ばれている。家族の原点を見つめた５年間の感動の記録。

都市部で墓地不足が起こる一方、まつる人が絶えて無縁墓地となる墓が増加している。知られざる“お墓ブーム”の実態と、墓によせる現代人の感情を描く。◆高齢化社会の到来で、生前に自分のお墓を求める人が増えている。しかし墓地は宅地以上に不足しており、試算によれば２０００年には全国で３００万基が不足するといわれている。◆一方、家族の崩壊などで荒れ果てた墓、無縁墓なども増えている。知られざる“お墓ブーム”の実態と墓に寄せる心情を描く。