開発の波にもまれつづけてきた青森県・六ケ所村。その動きは住民の心をも揺らし、人間関係も壊してしまった。人口１万２千人あまりの村がたどった経過と人間模様を描く。◆一大石油コンビナートを建設しようというむつ小川原巨大開発がオイル・ショックの壁に阻まれ、開発に夢を託して土地を売った村民の期待は裏切られた。このむつ小川原開発が幻の開発に終ろうとしている折に浮上したのが、世界初の核燃料サイクル基地の建設である。立地が決って１年２か月、その第１段階となる海域調査の諾否をめぐって、村は混迷の度合いを深め、漁業補償問題をめぐって漁協内で対立、ついには組合長が２人出現という事態を引き起こしてしまった。

障害者がその想いを綴った詩に曲をつけて発表する「であいのコンサート」で「こいのぼり」という曲が紹介された。詩を作ったのは筋萎縮性側索硬化症患者の男性。この詩も身体でただ一つ動くまぶたでのモールス信号で何時間もかけて奥さんに伝えられ、できあがった。彼の子供達への想い、そして父をやさしく見守る子供たちを描く。

大自然と人間との調和、共存をテーマに描く“ネイチァリングスペシャル”の第５弾。◆南アメリカ大陸のアンデス山脈は数億年の歳月をかけて地球が創りだしたスペクタクル。平均高度４０００メートル、３７日間２８００キロの旅、俳優・緒形拳が自分の目と足で取材する。ナスカの謎の地上絵、インカ文明の遺跡群、インディオの暮らしも体験、標高５４００メートルのチャカルタヤ山も登頂する。

名古屋の徳川美術館に伝わる尾張徳川家の大名コレクションの美術的価値をエピソードをまじえながら紹介するシリーズ。（１９８６年２月１０日〜２月１４日、全５回）◆第１回は家康・秀吉ゆかりの名品を紹介し、桃山文化の息吹きを伝える。

明治維新に出発した近代日本は、アジアの大国になりながら、昭和で敗戦の破局に至った。作家・司馬遼太郎氏がその昭和へ至る歴史を、明治・幕末まで遡って語るシリーズ。（全１２回）◆ペリー来航でショックを受けたが、３年後には国産の蒸気船を完成させた日本人は、古来から技術に特別な尊敬を払う民族だった。だが、昭和初年からは技術を正確に見る目を失い、日露戦争の時と変らぬ兵器と戦術で戦争に突入したのはなぜか、技術の好きな民族性のルーツをひもときながらたどる。

東京都の下町で家業を手伝いながら生活しているたくましい子供たちを紹介する。また、当時の子供たちが壁や道路に落書するのに使っていた「ろうせき」と呼ばれる石が、今どうなっているのかを調べる。◆東京・下町には仕事をする所と住む所が同じという家庭が多い。そこでは家族全員が働き手で、子供たちも一緒に働いている。露天商、風呂屋、紙器業、メリヤス縫製業、折箱屋など下町ならではの商売を手伝って、家族の一員として働く子供たちの生活の様子を覗いてみる。一方昔懐かしい「ろうせき」が今どうなっているのか知るために店を訪ねる。さらにろうせきの作り方を知るために埼玉から新潟まで足を伸ばすうちに、原料の意外な出所を知ることになる。

食管制度に保護されてきた米作り、米の流通は、今どんな功罪を生んでいるのか、米の値段、流通、味を食卓からの発想で徹底分析する。（全３回）◆第３回は、米の“味”を追求する。うまい米として有名な新潟県魚沼のコシヒカリの生産から、大規模精米工場でのブレンド米の調合、またカルフォルニアからは日本とは違うアメリカ流のコメ料理などを紹介する。

尾瀬沼で山小屋を開き、自然保護に生命を賭けた親子３代。それは人間との闘いであり、自然との闘いでもあった。◆１９３２年、（昭７）春、町娘の明子（真野響子）は尾瀬で山小屋を営む、二代目・惣平（北大路欣也）に嫁いだ。朝三時半起床、自給自足、冬は３メートルを超える積雪と、山小屋の生活は厳しい。惣平は尾瀬の自然を守るため、ダム建設反対運動に奔走するが…。