信念を貫く人々の姿や、人間の可能性と限界を探る異色のドキュメントシリーズ。（１９７２年１０月７日～１９７５年３月２９日放送）◆杉山旗雄、７０歳、長良川の鵜匠である。鵜匠は毎朝鵜を籠から出してなでる。これを鵜匠は“なぶる”という。この肌と肌の触れ合いによって、野生の鵜は鵜匠になつき、次第に鵜飼いの為の鵜に仕立て上げられてゆくのである。鵜飼いの鵜は一代限りなので、常に野生の鵜を補充しなければならない。日本には毎年春と秋に海鵜が渡ってくる。その鵜が捕えられ、日本中の鵜匠の手元へ送られる。杉山さんは鵜を待ち焦がれている。

世界の最先端を行く日本の科学技術と、それを支える人々を紹介するシリーズ。（１９７６年１月１０日～４月３日放送、全１３回）◆第４回のテーマは、海に架ける橋。本四架橋計画を中心に、日本が世界に誇る橋梁技術を紹介する。

蒔絵作りの第一人者・松田権六さんは人間国宝。カメラは仕事場を訪ねて、その細やかな手作業を追った。（当時７９歳、昭和６１年没）ウズラの卵を吟味する松田さん。「漆には“白色”がない。白い絵を描く時は、卵の殻を砕いて使うのだが、ウズラの砕けぐあいが一番よい」と、自らの経験を語っている。「国宝の模写や模造は簡単だが、国宝に匹敵する、国宝でないものを作るのは厳しい」。独創性を生み出す苦労は、並大抵ではないようだ。

６世紀前半、日本に仏教が伝来したときには、すでに礼拝対象としての仏像を伴っていた。仏のすがたを、優しく、また怒りの相としてあらわした数々の仏像が登場する。おだやかで優しい表現をした薬師如来、阿弥陀如来は、それぞれ病と死からの救いを人にもたらすとされる。奈良・興福寺の金剛力士像の迫力のある表情は、仏法を守護し煩悩を打ち砕くことを表す。それぞれの仏像がそれぞれの外観をもつことで、仏が人々に救いを与えるための様々な力を持つことを象徴している。

中国の書を基調とした書体の平安の三筆（弘法大師空海・橘逸勢・嵯峨天皇）および伝教大師最澄、そして日本風の書体・和様体をささえた平安の三蹟（小野道風・藤原佐理・藤原行成）の書と、そこににじみでる人柄や社会を紹介する。三筆のうち嵯峨天皇の『光定戒牒』は勅封（天皇の命による封印）とされ、その開封の様子は５年に１度の法華大会の際に中をあらためるため開封されるだけで、これまで一般の目に触れたことはなかった。

　「科学の目」を持って世界を紹介する、科学ドキュメンタリー番組。（１９７５年４月６日～１９８６年１２月２８日）◆受精卵が成長してゆく過程を追いながら、生命誕生の神秘に迫った作品。細胞が分裂し、神経細胞や体筋、脳や眼、そしてついに心臓が鼓動を開始するまでを丁寧に追う。

第２１回モントリオールオリンピック大会は、１９７６年７月１７日から８月１日（モントリオール時間）までの１６日間、カナダのモントリオール市を中心に２５会場で２１競技が行われた。前回のミュンヘン大会でのゲリラ事件の二の舞を防止するため、選手村はもちろん報道関係者宿舎まで銃を持った兵士が警戒し、また開会式の参加国はエントリーより２５カ国も減るなど、さまざまな点において異例の大会となった。◆この大会の放送は、ＮＨＫと日本民間放送連盟とが日本放送界初のオリンピック共同制作体制であたった。総集編１では開会式のほか、水泳、ウエイトリフティング、自転車、ボクシング、女子バスケットボール、レスリング、ボート、体操などの競技の模様を伝える。

世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズ。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆スペインの血と死の祭り闘牛の世界を、前後編で紹介する。前編では、靴屋の見習いからスター闘牛士の栄光をつかんだマタドール（正闘牛士）パラモ・リナレスの劇的な青春を紹介する。彼はスペイン南部のリナレス生まれの２９歳。１９歳の若さでマタドールの資格を得た。スリリングで勇気のある闘牛は、スペイン人たちに熱狂的な人気を博している。