「科学の目」を持って世界を紹介する、科学ドキュメンタリー番組。（１９７５年４月６日～１９８６年１２月２８日）◆南海の秘境といわれる西表島は、開発によって急激に失われつつある太古の森林を残す数少ない地域の一つである。この西表島を海から川をさかのぼり分水嶺を経て、再び川を下り、海に出るまでの横断ルートを完全踏破し、その自然を記録したものである。川床中にできたポットホールや、ジャングルの木々の不思議、不思議な生態を持つ昆虫類、そして手つかずのマングローブ林など、貴重な自然を紹介する。

明治維新に出発した近代日本は、アジアの大国になりながら、昭和で敗戦の破局に至った。作家・司馬遼太郎氏がその昭和へ至る歴史を、明治・幕末まで遡って語るシリーズ。（全１２回）◆ペリー来航でショックを受けたが、３年後には国産の蒸気船を完成させた日本人は、古来から技術に特別な尊敬を払う民族だった。だが、昭和初年からは技術を正確に見る目を失い、日露戦争の時と変らぬ兵器と戦術で戦争に突入したのはなぜか、技術の好きな民族性のルーツをひもときながらたどる。

「心中宵庚申」「おさんの恋」に続く近松門左衛門シリーズ第３弾。義兄と妹のかなわぬ恋の結末を描く。近松の「新版歌祭文（お夏狂乱）」を題材にしながらも、“お夏”という名前と播州室津という場所を借りただけの秋元松代オリジナル脚本で、現代版ギリシャ神話を目指した。◆姫路の海産物問屋、但馬屋の娘・お夏（太地喜和子）は、腹違いの兄・十兵衛（中村嘉葎雄）をひそかに慕っていた。十兵衛がお菊（いしだあゆみ）を妻に迎えると知った日から、お夏は京都・冷泉家の奥勤めに出る。しかし５年後、久々に里帰りすると、お菊は離縁されていた。

歌舞伎と共に歩み女形一筋に生きてきた中村歌右衛門に、女形を演じる芸の真髄や伝承について聞く。◆足の悪いことをバネにして女形へ進んだ歌右衛門が、踊りや芸の伝承について、自分の経験を踏まえて語る。若い時と違って、今は華やかに咲く花を散らさないように、散っても色の変わらない花でありたいと結ぶ。

若山牧水の生誕１００年を記念して、牧水の半生を描く。リポーターが牧水の知人や旅した所を訪ね、牧水の人となり、作品などを広く紹介する。◆１８８５年（明１８）、宮崎県に生まれた若山牧水は、歌集「別離」（明４３）で自然主義的傾向の新しい歌人として注目された。この年より詩歌雑誌「創作」を編集、酒と旅を愛した歌人として親しまれ、その歌は今も広く愛誦されている。

尾瀬沼で山小屋を開き、自然保護に生命を賭けた親子３代。それは人間との闘いであり、自然との闘いでもあった。◆１９３２年、（昭７）春、町娘の明子（真野響子）は尾瀬で山小屋を営む、二代目・惣平（北大路欣也）に嫁いだ。朝三時半起床、自給自足、冬は３メートルを超える積雪と、山小屋の生活は厳しい。惣平は尾瀬の自然を守るため、ダム建設反対運動に奔走するが…。

画家の平山郁夫さんが、新薬師寺を再訪し、長年関心を持ち続けてきた十二神将像を紹介する。◆新薬師寺本堂内の円形土壇上に、本尊薬師如来を囲む形で安置される日本最古の十二神将像。１２体のうち宮毘羅大将は昭和の補作。各像が憤怒の表情と威嚇の姿勢を示すが、その表情は東大寺法華堂の執金剛神立像（国宝）に比べ、かなりおだやかに抑制されている。１９１２年（明治４５）の修理の際に、因陀羅大将の台座裏に「天平」の墨書が発見され、これらの像が天平年間（７２９〜７４９）の造立であることが確認された。

１９８５年（昭和６０）、アメリカは４９７億ドルにのぼる史上最高の対日貿易赤字を記録。日本への不満の声は一挙に高まった。一方、円高は予想を越える急ピッチで進み、日本国内では企業倒産に備え“円高対策”が叫ばれている。しかし、アメリカ側は日本の円高対策そのものが輸出産業保護だと非難している。円ドルの適正レート・安定した通貨制度・市場解放・自由貿易・金利の引き下げなど、日米経済体制の中で最も賢明な方途を求める日米テレビ討論。◆副音声は英語