西岡常一は法隆寺大工の家に生まれ、世界最古の木造建築の宝庫の中で育った。１，３００年を経てもゆるぎない木の生命力をじかに見、それを現存させた古代の匠たちの心に触れ、棟梁として立つ身を自覚する。◆建築は和の仕事。棟梁はその心を束ねる。昭和の薬師寺大復興は千年の技と心を後世へ伝えること。彼が伽藍にこめた技とは、木と語り合うことだった。

明治維新に出発した近代日本は、アジアの大国になりながら、昭和で敗戦の破局に至った。作家・司馬遼太郎氏がその昭和へ至る歴史を、明治・幕末まで遡って語るシリーズ。（全１２回）◆最終回は、日本人が自己解剖に臆病で自らを正確に相対化し得ないことから、明治が築いた国家が、８０年で崩壊したことを指摘し、一価値主義の時代へ陥らないように警告する。

華麗な源平絵巻の中を鮮烈に大胆に駆けぬけたスーパーマン・弁慶を、さわやかに描いた同題番組の総集編。原作：富田常雄。全２回。◆前編では、承安４年正月に播磨国書写山円教寺にやってきた弁慶（中村吉右衛門）が法師たちとのいさかいから寺を追われ、京の五条大橋の上で源義経（川野太郎）と出会って主従の縁を結び、源頼朝（菅原文太）の命をうけて壇の浦に平家を攻め滅ぼすまでを描く。

子をもつ母親に育児や養育の手掛かりを提供する番組「おかあさんの勉強室」、この３回シリーズでは地域に根ざした児童館の役割を紹介する。（１９８７年６月２９日〜７月１日放送）◆前に太平洋、背後に釧路湿原と雄大な自然に恵まれた釧路市の米町児童センター。壁いっぱいに子供ひとりひとりの名前と顔写真が貼られている。お母さんたちの企画・演出で開かれる親子おたのしみ会、センター側が１年がかりで準備したウォーク・ラリーなど、自然と調和した手作りの活動を行っている。

群馬県のシンボルで、上毛三山の一つである赤城山。その豊かな自然と数々の温泉を紹介する。赤城山は、関越道前橋インターから車で３０分。富士山に次ぐ全国第２位の裾野の広さをもつ。旅人の加納竜と林葉直子は、紅葉の美しい赤城山ろくで手打ちそば、いのしし料理、きじ料理、りんご狩りにきのこ狩りと楽しむ。

比叡山千日回峰行は比叡山の峰や谷の霊跡、一木一草に祈りながら千日にわたって歩きつづける天台密教の荒行である。１９８０年（昭和５５）に千日を満行した阿闍梨酒井雄哉師がさらに千日を歩く。比叡山を紀行しながらその行を追う。◆一度この行に入ったら途中で止めることも後戻りすることも許されない。天候や体調の如何を問わず、千日に向けてひたすら前に歩く。

日本経済新聞紙上で１９５７年（昭和３２）３月に始まった「私の履歴書」のテレビ版。一時代を築いた人物が出演、自らについて語る。（１９８７年４月８日〜１９８８年９月２８日、全７８回。出演者の肩書・年齢は放送当時のもの）◆第５回は日本ビクター技術最高顧問の高柳健次郎さん（８８歳）。

日本人の生活の中で古くから親しまれた竹は、日用品の細工物としての印象が強く、美術工芸としての認識は浅かった。しかし、正倉院の宝物には竹工芸が残っており、伝統工芸の高い技術が証明されている。竹の繊細にして優美な編みの交差が、美しい光と影を演出する。◆油絵志向だった飯塚は、名人だった厳父に鍛えられ、この道を継ぐ。竹工芸でただ一人の人間国宝である。