日本最古の絵巻「源氏物語絵巻」の作画技法にスポットを当て、その豊かな芸術性の秘密に迫る。◆源氏物語絵巻の柏木の第三段、生まれたばかりの薫を手に抱いている源氏の図がある。これをＸ線写真で見てみると、眠る姿に描かれている赤子が、手を伸ばして源氏の方に微笑みかけているという図柄に描きかけられていることが分かった。つまり段々塗り重ねながら絵を変えていく。ちょうど西洋のレンブラントの絵などが、やはりＸ線撮影すると元の違う絵が出てきたりするのと同様である。これは日本の絵では大変珍しいことといわれる。

地方オーケストラを率いる指揮者の姿を通して、地方の文化について考えるドキュメンタリー。東北初のプロオーケストラとして発足した山形交響楽団が、創立１５年目を迎えた。その歳月は、創設者・村川千秋さんの苦難の歴史でもある。運営資金の調達や活動の場など、地方であるがゆえの困難も多い。演奏会のほかに、県内の学校を巡回する「音楽教室」が山響の演奏活動の１つとなっている。１人でも多くの子どもたちに、生の音楽に触れてもらいたいという村川さんの考えだ。ある日、山響に東京のコンサートホールから出演依頼が来た。上京、リハーサル、そして本番。クラシックのほかに、山響のオリジナル「鄙歌」（ひなうた）も演奏された。

長崎県五島列島に、人里離れて住む老夫婦の自然に溶けこんだような淡々とした毎日を追い、現代では忘れられてしまった心のふるさとを描く。◆五島列島の福江島に住む小畑さん夫婦の家には、電気も電話もひかれていない。古い漁船のエンジンをまわして電球をともし、水はせせらぎから引く。シケの日には漁を休んで家の中で凪ぐのを待つ。自然に逆らわずに生活する老夫婦のもとへ、正月には子供たちの家族が集まり賑わう。皆が帰ったあとは、また静かな日々が過ぎる。

わんぱく盛りの男の子３人を持つ男やもめの船長と結婚した新米ママの奮闘ぶりを描く。◆看護婦のちか子はソフトボールの試合中に倒れた浩三を助け、それが縁で浩三と結婚することになった。が、彼には小学５年生の長男を頭に３人もの子供がいた。母親の愛情に飢えた子供たちは突然の母親出現に反抗しながらもしだいにちか子に心を通わせていく。

戦国の世は徳川が制したが、幕府に対する不満や陰謀の火種はいまだくすぶり続けていた。世の太平を守らんとする徳川三代将軍・家光の活躍を、弟・忠長との継承争いや幾多の陰謀、由井正雪の慶安事変などを通して描く、長時間時代劇。（全六部・１３話）◆徳川幕府打倒を誓い、家光の宿敵であることを自らに定めた軍学者・由井正雪は、ついに幕府転覆の企てを本格化させる。家光の治世で大名の減封・改易がすすみ、多くの浪人が巷に溢れていた。再仕官の道も険しく盗賊や追いはぎにまで身を落とすものも多く、幕府に対する不満を鬱積させていた。正雪は彼らを自らのもとに集め始める。

無人島に流れ着いた１５人の少年たちが、困難や仲間どうしのいさかいなどを乗りこえ、助けを待ちながら成長していく日々を描くアニメ。原作：ジュール・ヴェルヌ。◆１８６０年２月、ニュージーランド。夏休みに予定されている船旅を待ちきれなくなったチェアマン学園の１５人の少年たちが、こっそりと船に乗りこんだ。船上を探検するだけのつもりだったが、船はいつのまにか沖へ出てしまっていた。小島に流れついた少年たちは救助を待ってそこで暮らすことを決意し、島の探検に出かける。そこで発見したのは５３年も昔に流れついた人の遺骨だった。

一定温度の環境下で電気抵抗がゼロになるという超電導現象をめぐって、世界の科学者が超電導物質の開発競争を続けている。もし常温で超電導現象を起こす物質が開発されれば、電気の送電ロスがなくなり、コンピューターの高速化も可能になる。エネルギーと情報の両面に革命をもたらすであろう超電導研究の現状を伝え、将来を展望する。

広島型原爆の５００倍の放射能を放出したチェルノブイリ原子力発電所事故から１年余りを経た時点で、ヨーロッパ各国が直面している放射能汚染問題を取材する。◆最大の問題は土壌汚染から起こる食料の放射能汚染である。最大の汚染地帯、スウェーデン・ラップランドでは、トナカイの飼育で暮らす人々が深刻な影響を受けている。西ドイツ・バイエルンでは汚染された粉ミルクの処分をめぐって国内が揺れている。各国の住民が見えない汚染と戦う姿をとらえ、原子力発電の事故が多層的に長期にわたって人類に影響を与え続ける実態を明らかにする。