「家」を中心に生きてきた日本の家族は、経済の高度成長が始まった頃を境に大きく変わってきた。個の追求の結果、いま家族はどうなっているのか、評論家・川本三郎さんが、ユニークな視点から家族を見つめてきた人々との対話の中から、この３０年の日本の家族関係の移り変わりと問題点を浮き彫りにする。（１９８７年６月９日、全３回）◆第一回は、家族をテーマにした作品を世に問い続けてきたシナリオ作家の山田太一さんを招いて家族論を展開する。

ハバロフスクの収容所でこう頭がんのため死亡した夫から、妻の元へ不思議な遺書が届いた。夫の仲間たちが遺言を暗記し、何通にも分けて書いた遺書だった。なぜこのような方法がとられたのか、すでに７０歳を越えた元同僚を訪ねて当時の事情をきく。シリーズ語り継ぐ戦争（２）。◆戦犯としてシベリアに抑留された山本幡男さんは、死の直前に親しい仲間に極秘裡に家族への遺言を託していた。ソ連軍の厳しい監視のもと一切の所持品は持ちさられることになるため、幡男さんは遺言の一字一句を心肝に銘じて記憶するよう仲間に求めたのだった。

「家族」をテーマに全国５都市で制作された２０分の短編ドラマシリーズ。第１回は北海道・函館が舞台。（１９８７年１１月３０日〜１２月４日放送、全５回）◆「むかし通りの人々」：函館に住む、もと造船職人の徳市（大滝秀治）。独り暮らしで、毎日温泉に通っては老人仲間を相手に大風呂敷で昔話をするのを楽しみにしている。ところが、徳市の初恋大ロマンスを聞き付けたテレビ局が、いるはずもない初恋の人・お鈴さん（初井言榮）を見つけ出してきて、対面するはめになる。

１９８７年は、作曲家・中山晋平の生誕１００年にあたる。童謡、流行歌、民謡など、日本人の心の歌を作曲しつづけた中山晋平。劇的なデビュー曲「カチューシャの歌」は流行歌の祖といわれ、「船頭小唄」は演歌の始まりといわれた。また「東京音頭」は全国大衆の熱狂を呼んだ。そして何よりも「あの町この町」「砂山」「シャボン玉」など童謡の数々は、永遠に歌い継がれていくことだろう。中山晋平生誕１００年にあたって、大衆の心をつかんだ１人の男の秘密を、彼の幼少年期の音楽体験や島村抱月、松井須磨子とのかかわりの中で探る。楽しい音楽ドキュメント。

日本経済新聞紙上で１９５７年（昭和３２）３月に始まった「私の履歴書」のテレビ版。一時代を築いた人物が出演、自らについて語る。（１９８７年４月８日〜１９８８年９月２８日、全７８回。出演者の肩書・年齢は放送当時のもの）◆第１７回は伊藤忠商事相談役・越後正一さん（８６歳）。

子育ても一段落し夫の定年も近づいた主婦が、結婚以来続けてきた目先のことだけの暮らしを虚しく思い、一人旅に出る。あてのない旅を続けるうち、さまざまな出会いの中で自分や家族、家庭を見つめ直す。◆奈美子の毎日は夫・登志夫、学生の息子たちとともに平凡に流れていた。ある日、彼女は養老保険を解約して４ＷＤのロングバンを買い、一人旅に出る。今こそ自分のために金を使おうと思い立ったのだ。一方、妻であり母である奈美子が突然いなくなった理由が分からず、家では大騒動が起きていた。◆第６回読売テレビゴールデンシナリオ賞最優秀賞受賞作品

戦国の世は徳川が制したが、幕府に対する不満や陰謀の火種はいまだくすぶり続けていた。太平を守らんとする徳川三代将軍・家光の活躍を、弟・忠長との継承争いや幾多の陰謀、由井正雪の慶安事変などを通して描く。長編時代劇ドラマ。原作：南原幹雄「寛永風雲録」。（全六部・１３話）◆徳川二代将軍秀忠の長男・家光（北大路欣也）は、城中での安逸な生活に飽き足らず、しばしばお忍びで江戸市中に出ては奔放に振舞っていた。秀忠はこれを嫌い、温厚篤実な次男・忠長を三代将軍の座にすえようと画策する。また、江戸市中では幕府への不満を抱いた旗本組が街中を荒らし、町奴たちも幡随院長兵衛をかしらに徒党を組んで対抗した。両者は事あるごとに抗争を繰り返し、町衆の生活にも影響が及んでいた。

広島で原爆がさく裂した１９４５年（昭和２０）８月６日、広島市の東方３０キロの４町村で、救援のため２５０名からなる賀茂郡北部防衛隊が非常召集された。翌７日から１３日まで、爆心地で負傷者の救護などにあたるうち、発熱や下痢をおこす者が続出。部隊解散後１カ月のうちに数人が死亡したという。残留放射能は、隊員たちにどんな影響を与えたのか。疫学調査や染色体異常調査の報告と気象シミュレーションや実験を通して、残留放射能の実態を明らかにした。