語り手自らが名作文学ゆかりの地を訪ね、風景やそこに暮らす人々に直接ふれることで、その作品世界を再認識してもらおうという文学紀行番組。第１集～４集まで制作・放送された。（第２集／１９７４年７月８日～１２月３０日放送、全２６回）◆今回は、樋口一葉の代表作である「たけくらべ」を取り上げる。「たけくらべ絵巻」の映像と「たけくらべ」の朗読を挟みつつ、樋口一葉研究家である上島金太郎氏と女優の日色ともゑが、千束神社、お歯黒溝跡や角えび、信如の墓がある大音寺など、樋口一葉ゆかりの地と作品の舞台をめぐる。上島氏は、当時の社会背景や家族のつながり、樋口一葉の人生を東京らしい語り口で紹介。日色とともに、登場人物や当時の人々の生活を想像して語り合う。番組の最後、日色はテレビ局の衣装部と相談しながら、主人公・美登利に寄せた着物や髪型を身につけ、当時を生きる女性の気持ちに想いを馳せる。

奈良東大寺の修二会行事のクライマックスといえる、著名な達陀の火の行事やお水取りの行事などを紹介する。火の行事は、十数名の修業僧が堂童子に１２本の篭松明をかつがせて本堂の舞台廊に上り、火の車のように松明を振り回すもの。お水取りは、修業僧がつえをつき堂童子が松明を持って二月堂を出、若狭井（お水取りの時だけ開かれる井戸）から手おけに水をくみ取って二月堂に運ぶ行事である。

従来のアナウンサーが「読む」ニュースから、現場の取材者が直接「語りかける」ニュースを基調にしたワイドニュース。前年、報道局をニュースセンターに改組したＮＨＫが、本格的なテレビ・ニュース番組を目指して企画したもの。磯村尚徳前外信部長がキャスターを務める。◆第１回の主なニュース項目は「春闘」「エアバスの就航」「物価動向」「３０年ぶりに帰国した小野田寛郎元少尉の二重橋訪問」「世界の異常気象」「中東情勢・スエズ運河」「文楽の新しい試み」「第４６回選抜高校野球大会５日目」「気象情報」。◆後に磯村キャスターの語りかけ調が定着し、「ＮＣ９」の名で親しまれるようになった。１９７７年（昭和５２）４月から複数キャスター制となり、１９８３年（昭和５８）からは国際情報コーナーを常設。（１９８８年４月１日終了）

およそ４０人の「ヤング１０１」と名付けられたメンバーが中心となり、司会者やゲストたちとともに歌や踊り、コントを送る音楽バラエティー番組。ＮＨＫ放送センター・１０１スタジオで収録。（１９７０年１月１０日〜１９７４年３月３１日放送）◆最終回はヤングのメンバー４４人の卒業式ということで、オリジナルやポピュラーから思い出の名曲を歌う。曲は「君のコスモス」「人生すばらしきドラマ」「若い旅」「でごいち」「マイ・マイ・マイ」「やさしく歌って」「気になる女の子」「にくい太陽」「君の友達」「レット・イット・ビー」「明日に架ける橋」、フィナーレ「涙をこえて」。

人は巨大なものにあこがれる半面、限りなく繊細な細部に密度を求めてきた。装飾文様の壮大な交流の旅を跡付ける。◆水墨画などに見られるように日本の美は空白を尊重するが、一方日光東照宮のような造形もある。偶像を否定して幾何学文様や植物文様で密度の濃い空間をつくるイスラム文明のアラベスク、逆に偶像で神殿を覆い尽くすインド。諸文明の持つ密度はどのような呪術的性格を持つのであろうか。◆ペルセポリス王宮〔イラン〕、ウシュマルの壁面装飾〔メキシコ〕、マスジド・イ・シャー〔イラン〕、東照宮陽明門〔栃木県〕、スーリヤ寺院〔インド〕、ガンダーリャ寺院

毎週さまざまな生きものを紹介する、子ども向け科学番組。◆金魚は１７００年前に中国でフナから突然変異で生まれ、室町時代に日本に来た。観賞用に改良されてきた金魚は自然の中では生きられない。そして、美しいものだけが人間に選ばれて生き残れる。奈良県大和郡山市では金魚が養殖され、毎年１億匹がアメリカやヨーロッパに輸出される。人気のあるのは「アズマニシキ」「リュウキン」など。金魚は４月に３００～５００個の卵を藻に産み付ける。かえった稚魚は３～４日でエサを求めて泳ぎ始め、１４日目ごろ赤くなってきて、２０日で変身する。

　世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズ。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆赤道直下の南米エクアドル。本土から西方約１千キロのところに、ダーウィンに「種の起源」を書かせたことで有名なガラパゴス諸島がある。小型の恐竜を連想させる、リクイグアナとウミイグアナの２種類のイグアナが棲む。取材班は水深三十メートル・四十五メートルの海底へウミイグアナと潜り、どのくらい潜っていられるか実験する。また、八十五匹のウミイグアナと同居し、食事を与えるカール・アンゲルマイヤー氏も紹介する。

中宮寺に取材し、門跡（一門の本寺に住み、教義を伝え、仏門の伝統を継ぐ僧）の信仰の姿を中心に伝える。中宮寺は奈良県生駒郡斑鳩町の法隆寺の東隣にある聖徳宗の尼寺であり、江戸時代には門跡は代々伏見宮家から入った。番組中の門跡も旧公家華族の家に生まれ、３０歳で門跡に迎えられている。著名な菩薩半跏像（弥勒菩薩像）とともに、門跡を中心とした尼僧の生活ぶりを紹介する。