埼玉県の小川町や東秩父村には、古くから紙すき技術が伝えられてきた。正倉院にその記録が残っている。細川紙は、かつて高野山ろくですかれていたが、江戸での需要が多く、紙問屋の注文で江戸に近いこの地の産業となった。材料の差や製法で郷土色豊かな風合いを競った和紙は、手間と労働の厳しさで産業として縮小を余儀なくされた。しかし現代になって再評価され、各地で伝統の技に新技術をとりいれて復活の機運をみせている。

中国残留孤児受け入れの現状と、永住帰国を果たした孤児たちが抱えるさまざまな問題を伝える。（全２回）◆第２回「突然の日本」。日本語学校へ通う１１歳の孤児２世の心の葛藤を描く。残留孤児の父が祖国と切り離されたのと同じように、彼も生まれ育った中国と切り離されてしまった。日本国籍は得たが、学校で友達はできない。彼にとって祖国とは日本なのか、中国なのか。

戦前から戦後にかけて克明に記された日記の朗読で構成し、昭和を回顧する。◆第２回は、高松宮殿下から戦局の真相を集めるように依頼された細川護貞、軍需工場で働きながら医学校への進学をめざしていた山田風太郎、世の中の動きをさけて自分だけの世界にとじこもっていた永井荷風、東南アジアや中国を従軍し終戦の数カ月前に帰国した高見順などの日記から、空襲のはげしかった戦中から戦後までをふりかえる。

「加賀蒔絵」をはじめ漆工芸で多くの工芸家を輩出してきた金沢の漆職人の家に生まれた大場松魚は、２３歳で上京し近代蒔絵の開拓者松田権六に師事。戦後の第１回日展に入賞以来、数々の作品を発表してきた。◆金銀の薄板をはる蒔絵装飾技法「平文」の第一人者。四季の風情を題材に、平文で花や鳥をちりばめ、太陽の光の輪を金銀貝の蒔絵で表す。

東京の大手町・日比谷・兜町の東京証券取引所を結ぶ三角地帯には、いわゆるジャパンマネーを狙う外国の銀行や証券会社が次々と進出し、「トウキョウ・トライアングル」と呼ばれているという。その実態を伝える。◆世界の株価や為替を大きく動かすようになったジャパンマネー、１日の取引額は１０兆円におよぶ。トライアングルの外国金融マンも１年で倍増、５０００人を超えた。ウォール街やシティと連動し、世界の金融相場を左右するようになったこの街の、１９８７年１０月１９日、大恐慌の再来かと思われた株大暴落の一日を中心に、２４時間を追う。

女優の桃井かおりがサハラ砂漠１万キロ、５０日間の過酷な縦断旅を体験リポート。アルジェリアのアトラス山脈を越え、グランドコルグの大砂丘を踏破し、ニジェール、マリへと旅する。

木工芸の技法は大別して、指物・刳物・挽物・彫物・曲物がある。中薹瑞真は、刳物技法の第一人者。◆通常、刳物は堅いケヤキなどを使うが、中薹はあえて軟らかい桐を素材にして挑む。ノミの鋭い刃先が厚い一枚板をえぐり、やがて鮮やかな木肌が浮き上がる。刃物が切れにくく、仕上げも難しいとされる桐材で『菱形輪花箱』を仕上げるまでの４カ月を追う。

一億総グルメといわれる現代の食文化を背景に、若いカップルとその周辺の人々を描く。ドラマはマイク・ニコルズの名作“卒業”の後日談。それにさまざまなグルメの話題を絡め、バラエティー風な楽しさを盛り込みつつ、いま流行の料理のうんちくをふんだんに利かせたニュータイプの“情報混入型ドラマ”。