京都の神護寺に伝わる源頼朝と平重盛の肖像画を作家の栗田勇さんが訪ね、「東洋の逸品」とたたえられたその魅力を探る。◆５月上旬の５日間、神護寺で年に一度の虫払いの行事が行われる。経文や掛軸を蔵から取り出して風に当てるこの行事では、２０００を超える重要文化財や国宝の中から由緒ある６０余りの宝物が書院に並べられ、公開される。頼朝と重盛の２枚の肖像画は、この折、京都国立博物館から里帰りする。鎌倉幕府を開いた征夷大将軍・源頼朝と平清盛の長男・重盛の像画は、ともに国宝で、日本の肖像画の最高傑作といわれている。

真冬の日本海の孤島へ渡った作家・五木寛之が、中央に翻弄されながらも熱い思いに生きる島民の生活に触れ、憤怒の大黒天像にであう心の紀行番組。◆出雲地方は神々の集う神話の国である。大国主命の国譲りの神話には、中央に屈服させられた地方の怨念が映し出されている。出雲には、怒髪天を突く憤怒の大国主命像がまつられていると聞いた作家・五木寛之は、出雲をたずね歩いているうちに、古代の神話に変わって現代につながる国譲りの神話を発見する。それは、明治維新前後、中央からは「隠岐騒動」と呼ばれてきた、島民自治政府への決起事件である。

神の宿る河「ガンジス」の河口カルカッタから、俳優・小林薫の旅は始まる。中流域の聖地ベナレス、ガンジスが恵みをもたらす肥沃な大地を、ガンジス河に沿って北上、ヒマラヤ山脈のふところガンゴトリーに氷河が溶け出す源流を訪ねる。小林はインドの自然の多様さに魅れ、旅は西インドに広がるタール砂漠、そして西チベットの秘境ラダックを訪ね、そこに生きる人々に触れ合う旅を続ける。様々なインドの自然、そこに生きる人々との祈り、悠久ともいえる時間の中で、祈りというモラリティが創り上げた人間の内なる自然を、インドを旅することで知る。

１９６０年代後半から７０年代にヒットした歌謡曲を、スタジオに歌手を迎えておくる音楽番組。当時のＶＴＲを見ながら当人に感想を語ってもらうほか、引退した歌手には現在の生活をＶＴＲ取材する。全曲に歌詞スーパーを挿入し、副音声はカラオケ。（１９８７年７月９日〜９月１７日放送、全９回）◆第１回の曲目は「白い蝶のサンバ」森山加代子、「浪曲子守唄」一節太郎、「なみだの操」殿さまキングス、「花の首飾り」加橋かつみ、「あなた」小坂明子、「白いブランコ」ビリー・バンバン、「潮来笠」橋幸夫。司会はうつみ宮土理と土居壮アナウンサー。

音信のとだえた恋人を追うアキコ（木佐貫邦子）の旅を通じて、彼女にかかわりあう人々の善意とロマンを描いていく映像詩。◆オーストラリアに渡った恋人のトランペット奏者・ヒロシからは７枚の絵はがきが届いたきり。絵はがきの住所を頼りに、アキコは渡り牧童のアランの家を訪ねるが、アランも旅に出ているという。妻のジェーンにヒロシの消息を聞くが、アランでないと分からないといわれ、アキコは再び旅に出る。

一億総グルメといわれる現代の食文化を背景に、若いカップルとその周辺の人々を描く。ドラマはマイク・ニコルズの名作“卒業”の後日談。それにさまざまなグルメの話題を絡め、バラエティー風な楽しさを盛り込みつつ、いま流行の料理のうんちくをふんだんに利かせたニュータイプの“情報混入型ドラマ”。

能ワキ方宝生流の森茂好は、美声と芸風で他を寄せつけない。ワキの心と技の真髄を聞く。◆能のワキは舞うことも面をつけることもなく座り続けることの多い辛抱役である。「シテは陰にうたえ。ワキは陽にうたえ」の先代の言葉通り、シテを超えず、こびず、和して競う境地こそ森茂好が求めるものである。

女優・歌手の斉藤由貴が“斉藤さんち”にゲストを迎えるトーク・バラエティー。（１９８７年５月１日〜９月２５日放送）◆第１回は、高井麻巳子が引っ越して来たばかりの斉藤さんちを訪ねる。２人はゲームや写真集、手相占い、諸々の素に近いトークで盛り上がる。「夢子さんのもしも…のお話」「ＹＵＫＩ’Ｓ　ＷＯＲＬＤ」のコーナーも。