哲学者の中村元さんが法隆寺東院伽藍にある聖徳太子坐像や救世観音と対面。太子の仏教観を再確認する。◆法隆寺東院伽藍のひとつ八角円堂の夢殿は周りを回廊に囲まれ、法隆寺の中でも特別なたたずまいをみせている。そのあたりは聖徳太子が住んでいた斑鳩の宮があった所で、太子と最も縁の深い聖地である。◆中村さんは聖徳太子の仏教観に深く打たれ、これまで何度も法隆寺を訪れている。「太子の説かれた“和をもって尊しとなす”の精神は、気づかないうちに我々に何かの形で受け継がれている。これは日本の精神史にとって大きな事柄だと思う」と、はるか太子へ思いをはせる。

平家一門の興亡を軸に、盛者必衰の理を描いた中世軍記物語の代表作「平家物語」ゆかりの地に美しい四季を訪ねる。現代の“琵琶法師”上原まりによる音曲をベースに風物、情趣、自然美を織り交ぜながら、人間の歴史と追想の中に日本の美を求める。

古くから日本で家系を象徴する伝統の文様、家紋。植物・動物・風景など森羅万象を写しとった多彩な図柄の華麗さ。平安貴族から武家社会、更に日本の隅々にまで浸透していったわが国特有の伝統風俗である。◆紋章上絵師は紋付の紋を手書きする職人で、その伝統的な工芸技術を脈々と伝えてきた。自然と人間の調和は日本人の心そのものであり、上絵師の妙なる技が今も支えている。

仕事を続けたい独身女性。明るく頑張り屋の彼女をめぐって、３人の男が恋のさやあてを展開する。（１９８８年８月２４日〜９月２８日放送、全６回）◆第一回「今夜は修羅場」。ディスプレー・デザイナーの美樹（今井美樹）は仕事、遊び、結婚の間を揺れ動く２６歳。会社の上司の津田（村上弘明）、年下のフリーターの柴崎（藤井郁弥）、妻を亡くし息子を一人で育てている堀口（西郷輝彦）と３人の男とつき合っている。ある日、美樹は津田から会社を辞めて結婚してほしいといわれる。

重い肝臓病を克服するためカナダで肝臓移植手術を受けた男の子の事例を通して、国内・海外での移植手術についての問題点を考える。◆先天性胆道閉鎖症という病気のため命も危ぶまれた富山市の４歳の男の子は、１９８７年（昭和６２）２月、カナダのオンタリオ州の病院で外国人として初めて肝臓移植手術を受けた。両親はカナダでもらった新しい命の重みを日本での移植実現に生かしたいと願う。男の子は順調に回復し、１年目の定期検診のため再びカナダを訪れた。しかし、この移植について現地では臓器売買の噂が流れるなど、外国人の移植に対する厳しい現実がまちうけていた。

パーティーで互いに身分を偽って出会った若い男女の、ちょっとした見栄や嘘から始まるラブコメディー。（１２月１９日終了、全９回）◆涼、輝也、克巳は大学時代からのヨット仲間。３人は先輩の長女に誕生日のプレゼントを贈ろうと計画し、涼が買い物に行く。エルメスの靴を買った涼は、同じ靴を探していた亜紀子に一目ぼれして、その靴をあげてしまう。数日後、二人はパーティーで再会した。主題歌：ＰＲＩＮＣＥＳＳ　ＰＲＩＮＣＥＳＳ「ＧＥＴ　ＣＲＡＺＹ！」

日本経済新聞紙上で１９５７年（昭和３２）３月に始まった「私の履歴書」のテレビ版。一時代を築いた人物が出演、自らについて語る。（１９８７年４月８日〜１９８８年９月２８日、全７８回。出演者の肩書・年齢は放送当時のもの）◆第７０回はコクヨ会長・黒田しょう之助さん（７２歳）。

明治から昭和の初めにかけて、日本の輸出の花形は生糸であった。飛騨地方からも幾千人の若い女性が野麦峠を越えて、長野県岡谷市の製糸工場に働きに出た。その彼女たちも高齢となり、生存者は数えるほどしかいない。かつて日本の経済を支えた彼女たちの貴重な証言をきく。